09話.[それならいいや]
「亮太朗、僕は本当に後悔しているんだよ?」
「青をからかって楽しんでいたんじゃなかったのか?」
「違うよ、そんなことしないから」
そうなのか、でも、それでなにかが変わるわけじゃないしな。
俺はこれまでの俺らしく親友の励といるだけだ。
「怖かったんだ、青ちゃんみたいに頑張ることができなかった」
「俺だって自分が求める側だったらそうだったよ」
大体の人間が怖いと感じることだろうからおかしなこととは言えない、それでも勇気を出して動けた人間がいるなら褒めるしかない。
「僕は親友のままだよね?」
「当たり前だろ、小さい頃から今日までずっと過ごしてきているんだからな」
「それならいいや」
ちなみに今日のことはちゃんと話してあるが、青の方はあんなに勝ちとか負けとかを意識していたのに「分かりました」と言ってきただけだった。
早くも効果が現れているということなのかもしれないものの、そういう変化を求めておきながら心配になってしまった。
関係が変わった日に拒んでしまったのが影響してしまったんじゃないかとか、そういう話をこちらから一度もしないのが悪いんじゃないかと考えてしまった。
「なんか亮太朗の部屋にいると眠たくなるんだよね」
「何回も入ったことがあるからだろ、屋内で遊ぶとなったら俺の家だったからな」
百回どころの話じゃないから自分の部屋みたいに落ち着けるのかもしれない。
一緒にいて安心できるとか落ち着けるとかそういうのはいいことだろう。
常に警戒が必要な相手だったらやっぱり疲れてしまう、ある程度はこういう人間と人間性が把握できているのもいい影響を与えているはずだった。
「膝、借りてもいいですかい?」
「それは怒られそうだから断っておくわ」
「これぐらいはいいじゃんかよー、もうそれ以上のことだって毎日ここでしているんでしょー?」
「してないぞ」
「え、嘘だ、青ちゃんが我慢できるわけがないでしょ」
ということは単純に青の中にそういう欲求がないということでは?
まあ仕方がないよな、だって相手が俺だからな。
卑下をする人間ではないが、母に言われなくたって励の方がよかっただろと俺も言ったし、考えたぐらいだからな。
「あ、でも、相手が友達じゃないとそうなのかもね」
「ああ、多分そうだろ」
そういうことであってほしい、流石に一週間も経過しないで終わるのは嫌だぞ。
これこそ勝手に悪く考えて自滅、ということになるので、すぐに話題を変えて励との時間も楽しんでおいた。
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