第三話
ひょっとしたら、主人公の立場であるソフィリアがクローズに何か罠をしかけてくる可能性も否定出来ない。
ただ、その可能性よりはキュリオス王子かクリスにアプローチをする可能性の方がまだ高いとも……。
「――もしくはその両方かも知れないわね」
正直「どちらか」よりもこの間の彼女を見た限り、その可能性が実は一番高いかも知れない。それくらい打算的な性格をしている様にも見えた。
「……」
ただ、そうなるとその方法が……皆目見当つかないのだが。
「とりあえず……」
対策としてはクローズを『星空会』の間は一人にしない方が良さそうだ。
「それと――」
今回、ソフィリアが何かアクションを仕掛けるとするならばその相手は……きっと「クリス」だろうと思った。
なぜなら、他の攻略キャラクターたちはオリエンテーリングの後に二人でゴール地点で星空を見ているシチュエーションのスチルだったのに対し、クリスはお姫様抱っこをしているスチルだったからだ。
コレだけの違いがある事を踏まえて考えると……コレは「クリスのためのイベント」だったと言いきれてしまうほどの差である。
そして、それは当時のゲームファンからも指摘されている。
確かに、あのイラストを見た限りそう言われても仕方ないとは当時のアリアも思っていた。
それに、コレから先に起こるであろう「イベント」と言う名の『学校行事』を見ても、ここまでクリスが前に出てくる事はない。
それらを含め、なおかつ主人公がアリアと同じ転生者だという事も考えると、やはり「クリス」狙いではないだろうか。
「――ん?」
アリアはそこまで考えると、ふとどこか「ホッ」としている自分に気が付いた。
「……なんで?」
今回の『星空会』というイベントはゲームではそこまで危ないモノとして描かれていなかったが、実際は「制限時間以内にゴール出来なければクラスも学年も……身分も関係なく退学処分になってしまう」という大変なモノだ。
それに加えて主人公がどんな行動をしてくるかも分からないという状況――。
コレのどこに「ホッ」とする部分があるのか分からない。それなのに……。
「……」
アリアはどうして自分がそう思ったのか分からず、困惑した。
「――お嬢様」
「わっ! ビックリした。どうしたの?」
「キュリオス殿下よりお手紙でございます」
「殿下から?」
「はい」
「……早いわね」
確かに、長期休暇に入る前に「手紙を書く」とは聞いていた。
しかし、今はまだ休暇に入ったばかりの序盤も序盤だ。そのあまりの速さに、アリアは思わずクスッと笑ってしまったものの、リアから手紙の入った封筒を受け取ったのだった。
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