第五話
この事によって今後のゲームの展開が大きく変わってしまう。要するに一つの分岐点の様なモノである。
ただ、先ほどケビンお兄様が言った様に「ここからが学校生活の本番」という言葉が意味する通り、実は今回の『星空会』を含めた『学校行事』は基本的に学年関係なく行われるのが特徴だ。
もちろん、三年生と一年生とでは課題の難易度に多少の差はあるが、それ以外の条件に大きな違いはないと言う。
「三年生に関しては……もはや思い出作りみたいな感じだな」
「そうなの?」
「ああ。三年生の残す行事と言えば……後は『卒業式』くらいだろうからな」
「……そっか」
それならば「思い出作り」という表現も納得が出来る。
「今の時点で三年生のほとんどは進路をほぼ固めているだろうからな。学校側としても落としたくはないだろう」
「まぁ……そうね」
そうなると、必然的に退学対象者は一年生と二年生だ。
「一年生は初めての『学校行事』だからな。噂になっている……という事はどこかしらで退学者の話は聞いているだろうし、本当に初めてだからこそ、対策は万全にするだろうな」
そうした傾向が強いからなのか、一年生は「初めて」という事でその難易度の易しさも相まって実はあまり退学者が出ないらしい。
「ただ、二年生になるとその経験が逆に
「……と言うと」
「一年前……つまり一年生の時はどの程度か分からずに対策をしたモノの、拍子抜けするほどに簡単だった。その経験から二年生になって難易度が上がっていてもその時ほど準備をしないヤツが多くてな。普通に考えて一年の時より二年の方が難しいのは当たり前のはずなのだが」
「……」
要するに「準備不足」の結果、退学者が続出してしまうそうだ。
「――それは毎年の事だけどな」
「……」
ちなみに学校の購買店員のクリスは……いつもこういった『学校行事』には学校側からの依頼でこの行事で使われる備品を準備する為にいる事が多い。
そして、主人公が本来通るはずのルートをクローズたち貴族令嬢の策略によって大きくルートを逸れて道に迷ってしまい、それに気が付いたクリスが助けるのだが……主人公は怪我を負ってしまう。
主人公は「何があったのか」尋ねるクリスに対し、事の次第を話したのだが、それに対してクローズは位の低い自分の取り巻きの貴族令嬢に責任を押し付ける事によって上手く責任を逃れている。
そして、このイベントのスチル……つまりイラストがとても綺麗なのだ。
「――あの」
「ん?」
「どうして『星空会』というのでしょう? 普通にオリエンテーリングとすればいいのでは?」
「ああ。それは行事が終わるのが夜で、ゴール地点から星空が見えるのが由来だそうだ」
要するに「そのまま」という事の様だ。
「ああ、そういえば」
「?」
そこでケビンお兄様は思い出した様に軽く指を「パチン」と鳴らす。
「確かこの行事では『ゴールする時に手をつないでいるとその人と添い遂げる事が出来る』というジンクスがある……とか女子が言っていたな」
「え」
ケビンお兄様にそう言われ、アリアは思わず固まった。なぜなら、アリアが前世でゲームをプレイしていた時、そんなジンクスは……なかったはずだからである。
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