第二話


 この魔法学校は古くから続く伝統ある学校だ。


 昔は他にも魔法学校があったらしいのだが、魔法が使える者の減少によりなくなってしまったらしい……と王宮にあった本を読んで知った。


 キュリオス王子の『友人』となって以降。アリアは度々王宮を訪れ、魔法の授業を一緒に受けたり読書をしていたりしていた。


 元々、あまり外に出させてくれなかった幼少期を過ごしていたのと、前世の引きこもり癖も相まって外出やお茶会が少ない事に文句を言う事なんてなく、普通に過ごしていたつもりだったのだが……。


「たまには外出しろとお母様に怒られてしまった」


 そんなアリアとキュリオス王子を心配してくれた事もあった。


 でも、その行き先は大抵『魔法図書館』だったけれど。


 別に流行のアクセサリーや服が欲しいわけでもない。ましてや花が欲しいというワケでもなく、アリアはいつも本を読んでいて、王子はそれを見ているのだ。


「――楽しいですか?」


 そう聞くと、王子はいつも「楽しいよ」と笑顔で返す。


「そうですか」


 アリアとしてはそれがいつも不思議だった。


 なぜなら『主人公』の様に明るくも活発でもなく、また『悪役令嬢』の様に花よりも美しくもないただの魔力が強いだけの『モブ』だからだ。


 キュリオス王子くらいの位の人であれば他にもいい人がいそうだというのに……。


 そこでアリアの脳裏に浮かぶのは『先祖返り』の文字だ。


「私が『先祖返り』じゃなかったら……」


 きっと王子は振り向きもしなかっただろう。


 なぜなら彼はアリアが魔法を使っているのを見て興味を持ったのだから。


「……」


 だからアリアはある日突如として現れる様になった『画面』の話はしていない。


 ただ確かな事は……アリアが魔法の実力を身につければみにつけるほど。その『画面』に表示される説明が詳細になっていくという事だ。


 そのおかげでアリアの魔法に対する知識は格段に増えた……のだが。


 今のところ一度もキュリオス王子には勝てていない。


「……」


 でも、アリアはここで不思議に思った。


 なぜなら、キュリオス王子はゲーム中。いつも成績は五位以内には入っているモノの、一度も一位は取れていなかったはずだ。


 まぁ、だからこそ周囲から色々と言われる可哀そうな王子……という立ち位置だったワケなのだが。


「……」


 チラッと横を向くと、王子はつまらなそうな表情で教師を見ている。


 それもそのはず。


 今、授業で教えているところはアリアや王子が小さい頃に学んだところで、言ってしまえば二人にとっては復習の様なモノになっていたからである。

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