第2楽章 ゴッホとの再会
第7話
「にゃー」
猫が鳴いた。
しかし、その時俺はもう上野へ向かっていた。
その猫は少し寂しそうな顔で窓の外から俺の部屋を眺めている。
そんなことはお構い無しにボサボサな髪の毛のまま俺は電車に揺られている。
9時45分山手線のホームに着いた。
「少し早く着きすぎたかな」
そんなことを思いながら、俺は音葉さんがやって来る東京メトロの改札へと歩く。いつもより足取りが軽い。同じ道を歩く大学生がとても遅く歩いているように感じる。サッとその大学生を追い越した。気がつけば銀座線の改札に着いていた。まだ3分しか経っていない。
「あと10分どうしようか。」
そんなこと考えていたが、
「あ!イツキさん!」
という声が聞こえた。僕の名前を呼んでくれる人なんて一人しか居ない。振り向くといつもよりも可愛く
「あ、おはようございます」
「はしゃぎすぎて、予定より早く出発しちゃいましたっ」
「ふふっ、そうなんですね。あ、あと音葉さん、今日すごく綺麗です」
「ホントですか?嬉しい、、」
そう言って赤らめた頬を両手で隠した音葉さんは、この世の何よりも可愛かった。
「そういえばイツキさんは朝ご飯食べました?」
「あ、すっかり忘れてました。」
「私もですっ。じゃあまずご飯でも食べますか?」
「そうしましょうか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます