第3話
「にゃー」
翌朝、俺はまたあの猫の声で目が覚めた。しかし、辺りを見渡しても昨日の猫は見当たらない。幻聴だとでも言うのだろうか。そんな事を思いながら顔を洗う。そして俺はまた昨日の事を思い出す。またあの気分が味わえるだろうか。そんな微かな期待を込め、今日も散歩へ出向いた。昨日も見た道をスタスタ歩いていると、見覚えのある俺より2,3歳若い女性が犬の散歩をしていた。
「あの、昨日救急車を呼んでくださった方ですよね。」
「あ、はい。」
「本当にありがとうございました。あなたが居なかったら私どうなっていたか」
「いや、俺はそんな、、、」
「いつかちゃんとお礼させてくださいっ」
「は、はい」
「では失礼しますねっ」
「あ、はい。失礼します」
なぜか凄く鼓動が弾んでいた。心臓が下から突き上げられるように動いていた。彼女に会えることを期待していたわけではなかったが、なにか心躍らされるものであった。
その夜は早めにベッドに入った。明日も散歩へ行こうかな。なんて考えながら。
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