過保護な会長
それからというもの会長はことある度に僕と一緒に行動するようになった。
お昼時……
「ねぇアルお昼ーー」
「レイ君、お昼一緒に行きましょう」
「姉さんいつの間に!?」
教室の出ようとした瞬間、目の前に会長が出てきたものだから思わずいつもは使わない呼び方である“姉さん”が出てしまった。
「それは勿論今来ましたよ。
ーーさぁお昼に行きましょう」
「いやいや会長、いくら何でも来るの早すぎない? さっきチャイムが鳴った感じだよね?」
授業終わりのチャイムが鳴ってから数分も経ってないはずだし、会長の教室からどう考えてもそんな早く来れるはずがない……。
「何を言っているんですかレイ君? さぁ行きますよ」
「えぇ……僕の質問には答えてくれないんですね……」
「はい、では行きましょう」
と僕の手を引き、学食に行こうとする会長。思わずアルに助けを求めようとしたのだが……
「アルーー」
「坊ちゃんファイトだぜ~!! 副会長補佐として応援してんぜ!!」
なんかよく分からない応援をされていた。
「何に対してのファイトなんだよーー!!」
そして僕は会長に引かれるまま学食に向かったのだが……
「フフ、今日のシチューは美味しいわね。レイ君のハンバーグも美味しそうで
ーーレイ君、体調悪いの?」
「いや体調は悪くないよ」
そうなのである
「そう、気分が悪くなったらすぐ私に行ってくださいね?」
「ありがとう会長……」
結局、僕達は学食で好奇な目線にさらされながら食事をしたのであった。
……会長は全然気にしていない様子で食べていたが、僕はとても食べにくかったのは言うまでもないだろう。
放課後、生徒会室にて……
「ーーでは、今日の会議は終わりです。
レイ君、一緒に帰りましょうか」
会議を終えるや否や流れ、その流れのまま僕を連れ立って帰ろうとする会長。
「あの会長……会議を終えた流れのままに僕を連れ出そうとするのを何故ですか?」
「はい? 何かおかしいですか?」
「いやいやそこで首を傾けられても……」
「さぁ帰りますよ。
ーーでは、皆さんお先に失礼します」
「ち、ちょっと会長ーー」
「「さ、さようなら……?」」
僕の意思など無視して僕達は生徒会室を出た。その際のみんなの唖然とした顔は忘れない。
ーーーーーー
レイがフローレンスに連れて行かれた後の生徒会室……
「後輩クンが流れるように連れていかれましたね……お姉さん寂しいです」
「な、なぁアルマンダ殿」
「……多分私が思っていることととミラが思っていること同じだと思うぜい。
というか昼にも同じような状況見たよね?」
「見た、レイに有無を言わせずに連れていった」
「坊ちゃん、尻に敷かれているな!!」
「……皆さん、何を言っているんですか帰る準備しますよ」
「へいへい~帰りますよ~あっ、ミラ帰り店くる? 新作のお菓子がーー」
「ーーアルマンダ殿の母上から既に教えていただいているので今日行く予定であった。是非伺わせていただく」
「……お、おうミラってたまに凄いな」
「じゃあ俺も行っていいか?」
「おうとも来たまえ!! アリーヌ先輩やラウラも来ますか?」
「せっかく誘っていただのでたまには行こうかしら」
「お誘いは嬉しいのですが、今日は帰らせていただきます」
「そう、分かった。また都合が良い時に来てよ。
私のママさ、ラウラの事結構気に入っているからさ」
「ありがとうございます、今日は行けなくて申し訳ないですとお伝えください」
「おっけ~
ーーアリーヌ先輩、トリスケール君、ミラ行きますよ~」
「あぁ」
「うっし、行くか」
「えぇラウラさん、また明日」
「はい、皆さんまた明日です」
パタン
「フローレンスさん……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帰り道にて
「ちょっと姉さん」
僕は会長……姉さんに思っている事を尋ねてみた。
ちなみに呼び方を変えたのはここが学園外なのと僕と姉さんしかいなかったからだ。
「はい、何ですかレイ君?」
「最近さ、僕に対して過保護過ぎない?」
「はて、どこがですか?」
この様子だと姉さんは本当に分かっていないようだ。
「どこがですかって……それじゃあ……」
僕は最近の姉さんの状況を素直に述べることにした。
「まず僕と学園までの行きと帰り一緒だよね?」
「えぇレイ君の登下校を守らないといけませんから。
登下校何が起きるか分からないので」
「ま、まぁ学園の行き帰りは百歩譲って良いとして……休み時間毎に僕の教室来てるよね?」
そうなのである。
最近、授業の合間にも僕の教室に来るようになった。
「えぇ、授業中に何が起きるか分かりませんから」
「……授業中に何かあったら流石に授業どころじゃない気がするけど」
「なので休み時間毎に見に行っているのです。
そしてレイ君の無事な顔を見て、ほっとします」
「それもそうかーー
ーーんな訳ないでしょ……姉さんちょっと最近おかしいって」
「おかしいですか?」
「僕はそこまで弱くないんですから……それよりも姉さんは大丈夫なの?
それこそ姉さんは女の子だし、最近僕に構ってばっかりだし」
朝は僕が屋敷を出るころには僕の屋敷の門にいるし、帰りは僕を送ってから来た道を帰るような形になっている。それに学園生活も休み時間になる度に僕の教室に僕の安全確認をしにくる。
そんなに僕に時間を割いていて自分のことは疎かにならないのか心配だったのだが姉さんはそんな僕の心配は気にしてないようで
「私は大丈夫ですよ、毎日レイ君の家に行くのと送った後は屋敷の方に迎えに来てもらっていますし学校のことは家でしっかりこなしてますから」
と返されてしまった。
「そうなの……」
「それよりもレイ君、今日ベスランドさんがねーー」
と姉さんが話題を変えたので僕はそれ以上聞くことが出来なかった。
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