これからの身の振り方

「これからどうするか……」


僕は引き続きベットの上でこれからの事を考えていた。

そんな中で僕は1つの案を思いついた。


「よしまずはこれからの僕に起きる事を思い出そう」


と僕はこれからレイ・ハーストンに起こる事を思い出すことにした。


「まずレイ・ハーストンが命を落とすのは確か17歳の6月だったな……」


その日、レイ・ハーストンは父親の放った刺客によって命を落とし、その罪を自分の政敵のせいにして蹴落とした。確か妹のラウラルートではその父親の罪が白日の下にさらされるのだが、ラウラ以外のルートでは特に触れられない。ラウラ以外のルートではバレずに何とかなったのだろう。まぁもしかしたら特に記載されていないだけでバレているのかもしれないが、今の僕にはまずその死亡するのを回避しないといけない。

と考えているとふとある考えが頭をよぎった。


「というかそもそもこれって僕が計画の一部に使われないようにすればよくないか?」


だってレイがその様に使われたのって父親に“道具”としてしか扱われていなかっただけだろう。ならばこの場合父親に好かれるようにすれば僕が死ななくて済むはずではと思った。父親に“道具”としてじゃなくて“家族”として認識させれば流石に息子を死なせてまでしないだろう。


「なんだ意外と簡単じゃーー

でも……いや待てよ……」


レイの父親は作中でも権力に貪欲で出世意欲が高い人物として描かれている。そんな人物だと例え家族であっても自分の出世のために使うのでは? そうしたら幾ら父親に“家族”として認識させても意味がないのでは?


「……

ーーうん、別の案考えよう!!」


僕は父親に好かれる案を一度頭の隅に避けて別の案を考えるようにした。

そうして次に考えた案は


「ヒロイン達と仲良くすればいいのでは?」


作中でレイはヒロイン達との関係は“酷い”の一言で片づけられてしまう。



まずメインヒロインのフローレンス・ライシング

彼女は他のヒロインよりはまだマシってぐらいでそれなりに嫌われている。幼少期にレイはやりたい放題していたため昔から呆れられていた幼馴染ということもあって見捨てなかった。だが彼が主人公を貶めようとした際には今まで我慢していた怒りをぶちまけた。



次に義理の妹のラウラ・ハーストン

レイとはヒロインの中では一番関係が悪い。彼女はハーストン家の小さな分家の生まれだったのが両親が不慮の事故によって失ってしまい、レイの家に引き取られた。彼は彼女が分家ということもあり毎日のように“分家の分際で”とか“お前如きが俺の妹なんてーー”みたいな暴言を吐いていたらしく、ラウラが学園の中等部に入学するのと同時に家から通えるのに学校の寮に入ったぐらいだ。



3人目はチャス・アルマンダ

彼女は家こそ一般家庭だったが優秀な成績を持っていたため学園には特待生で入った。それをレイはよく思っていなかったらしく“一般市民のお前のような奴がいるから学園の品位が下がる”なんてことを言って、その瞬間にチャスの怒りの導火線に火が付いたはずだ。最後、レイが糾弾される際にチャスは彼が今までやってきた行いを全て調べ上げて学園中にばらまいた。



4人目はミラ・ルネフ

彼女は父親が国の騎士団の団長なのだがレイは“女のくせに”とか“騎士やるやつなんておかしい”なんて言った挙句、彼女が尊敬する父親の事を馬鹿にされて校内でレイの首元に剣を突き付けた。その場はなんとかなったがそれ以降、ミラはレイの事を強く恨むようになった。



5人目はアリーヌ・ベスランド

彼女に至ってはレイ・ハーストンという人物を認識すらしてない。幾らレイが話しかけても彼女は無視していた。どうやらそれには彼女のお気に入りのティーカップをいたずらで隠してしまった挙句、失くすという事をしてしまったようだ。



……って感じで軽く説明したが予想以上に酷い。どこまでレイ・ハーストンはクズなのだろう。

そして僕はこの状況に陥っていくのだろうか。

だがこれに至ってはこれからの僕自身の行いでどうにか出来るだろう、と思う。いや思いたい。


「ヒロイン達との関係はまぁ普通ぐらいでいいや、好かれなくていいから

ーー嫌われないように頑張ろう……うん」


ヒロインと恋人なんてものは望まないから平凡でいい、何ならただのクラスメイトでいい、とにかく嫌われたくないのである。なんせ嫌われたらバットエンドに近づくのだから。


「そして魔法だよな……」


今まで言ってきた2案は生前の知識でどうにかなるだろうけど、魔法に至っては未知の領域だ。そもそも魔法がどのような仕組みで、どのような条件で発動するのか全く想像出来ない。

確かレイ・ハーストンは大した魔法の能力はない。そのためもし本当にレイ・ハーストンに転生したのなら魔法の技術を上げるのが一番大変だろう。


「てか……僕5歳の時点で詰みすぎじゃないか……?」


ここまで自分の今置かれている状況を整理すると結構なハードな人生だと思う。

というか無理ゲー過ぎません、これ?なんかもう転生1時間で転生前の人生の方がまだマシだったのではと思うぐらいに。


「ま、まぁまだ死ぬって決まったわけじゃないしね!! これからの頑張りで何とかなるよね?

が、頑張れ僕。負けるなレイ・ハーストン」


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