2 家族結婚

 当時の家族結婚を見てみましょう。


 前項に書いた通り、結婚は家同士の取り決めによる結婚が主流でした。どうして家同士の結婚が主流だったのでしょうか。まず、結婚相手にどのような役割が求められたか見ていきましょう。


 昨今は性別で役割なんて、という考えが主流になりつつあるわけですが、当時は性別で明確に役割が求められました。男が女に求めたのは子孫の確保、財産の維持を求めました。その見返りとして男は女に提供したものは生命の安全そのものになります。


 現代感覚ではイマイチピンとこないでしょうし、人によっては女を物のように!と憤るかもしれません。しかし、少し冷静に考えればどうしてこうなったのかわかるかと思いますので、順に追っていきましょう。


 当たり前ですが当時は現在と違い、ワンクリックで物が届くわけではありません。毎朝トラックが店に商品を運んで安定的に食べ物が売っているわけではありません。それだけ流通インフラが貧弱な時代でした。よくある塩が高いというのもこの流通インフラの貧弱さが関わってきます。


 塩は人体に必須な物と昔から認識されていましたが、塩が採れるところから遠ければ遠いほど高価になります。それはなぜか。採った人から商人に渡り、そこから別の商人に、さらに別の商人に渡ってと、何人もの商人を経由する為、産地から距離があればあるほど輸送費が非常に嵩んでしまい、必須なものでありながら価格が非常に高くなりました。今と違いトラックで1日かければどこの配送センターにも届くわけではないからですね。そこに洪水による道の水没や盗賊の出没情報などが加われば流通は簡単に止まってしまいます。水はけの悪い道で、大きな水たまりができたり、その水たまりが濁っていたりしていたでしょう。もちろんコンクリートによる舗装なんてありませんから、どろどろになった道です。輸送のメインは馬車が用いられましたが、泥水の中に馬が足をとられる、馬車の車輪が変なところに挟まってしまい身動きがとれなくなる、変な深みになって馬の脚が折れてしまう。もちろん盗賊の危険性も。そんなリスクは誰もおかしませんから物流は簡単に止まってしまいます。


 これが飢饉等で遠くから食べ物を運んでいた時だとどうなるでしょうか。当たり前ですが、飢饉なんてなれば周囲一帯が全滅している状況です。みんなが食べ物を求めます。他国から輸入となれば、食べ物がない事を良い事に価格を吊り上げるのも容易に想像できますね。そうなると店に食べ物が物理的になくなるというのが容易に想像できるかと思います。現代感覚でのあるところから買えばいい、というのができなくなるわけです。なお、現代日本でも食料自給率を高めたいのは他国の関係悪化により止められてしまう危険性を常にはらんでいるからです。だから多くの国にお金で支援をして輸出を止められないようにいい顔をする必要があります。他国の前に自国民をなんとかしろ、ではなくそういったリスクを少しでも減らす為に支援を行っているわけです。


 話しが反れましたが戻してましょう。男に求められるのはそんな時でも安定して食わせる事ができる強さとその強さを子供に受け継ぐことです。この保障の代わりに子孫の確保と財産の維持を女に求めました。なので何かあった時安定して食べ物を得る強さをより高める為に力が強い家同士の繋がりを強め、より大きな力をつける必要がありました。


 こういったことから、昔の結婚というのは仕事であるという考えであり、生死に直結することでした。


 女を物のように、ではありません。男も女も等しく家を維持、存続させる為の道具であり、そうしないと生きる事ができない時代でした。そういう考え方の時代でした。


 続きはまた次回の休憩の時に書きます。次回テーマはそんな時代の恋愛事情。余裕があれば家族結婚から恋愛結婚への移り変わりまでを書こうと思います。

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