第4話「人類皆兄弟」

それは4年前のこと。

眉村真一は中学一年生だった。

床にAppleのノートPC、MacBook Airを置きながら、モーニング娘。の動画を見ていた。

すると、徐々に眠くなり、「クラッ」

「クラッ」と頭が上下して眠ってしまったらしい。

本人にはそこからの記憶は無い。


そして、朝ーーー


「う、うーん……?」


なんと!そこにあった光景は…!?


血だらけの部屋。


タンスにまで血が吹きしぶっている。


そして、MacBook Airのモニターの角に一番血がぬっぺりとしたたっていた。


本人には何が起きているのかさっぱり解らなかった。


そして、何か痛みがする、と思って、顔のおでこの右側を触ると、パッカリ傷口が空いていた。彼は思った。


〈これは、うたた寝して、思いっきりMacBook Air

の上端に頭をぶつけたんだな…。でもあんまり痛くないや〉


そして、整形外科に行き、傷口を縫ってもらった。


そして、彼には高校1年生になったいまもその傷跡がしっかりと残っている。


と、まあ、ここまでは表向きとしての出来ごとだが、


『事実』は違った。


中一のとき、彼は妙に「フィクション」に惹き付けられて、寝食を忘れて、本に没頭していた。それも、リアリティのある、海外の未来予見SF、陰謀論のルポ、エリア51の謎、…等である。そして、彼はある日、霊感にも似たインスピレーションを発揮して、米国が知られたくない、ある真実に…、「知ってはいけない情報」に、「触れて」しまった。彼はまだ「フィクション」としてそれを捉えているからいいものの、彼がこの先、それを事実だと確信を持ってしまうと、あらゆる米国の宇宙開発構想に大きな損害を与えかねない。


そして、ここだけの話、米国NASAには高官に、人間に成りすまして、地球を監視している宇宙人が存在する。


そして、特殊なテレパシーで眉村少年の脳内を探知した宇宙人が、危険を察知して、宇宙人にとっての危険思想を持つ、眉村少年の元へテレポートした。


光学迷彩で気配は消していたので、眉村少年から記憶を奪うのは造作もなかった。しかし、宇宙人にとってこれからも彼は脅威になりうる、と察知したNASAは、彼の額にカメラ付きの脳内透視機を取り付けた。しかし、ここからが誤算だった。母親が部屋に上がってくる気配がしたのだ。


宇宙人は、記憶を消したこと、カメラ付きの脳内透視機の埋め込み、という、二つの成果は挙げたのだから、と満足し、姿を消した。結局母親は自分の部屋に用事があったので、母親の侵入は杞憂だったのだが…。


そうして、ここからがやっと本題。


何故、現在、皆が眉村真一の一挙一動を知り尽くしているのかーー、だ。


宇宙人はNASAに帰ったあと、これは自分一人だけの力では彼の思考的発達を阻止出来ない、と考え、眉村真一を除く、全人類に彼を監視させようと、監視した国民一人一人に報酬を払う、というシステムを確立した。


もちろん、真一の母親、父親もそのうちに入っている。


宇宙人は自らの身の危険よりも、真一の脳内構造、その進化の果てに興味を惹かれたのだ。いまでは、宇宙人の高官がNASAに居ることを全国民が知っている。


そしていまはスマホの時代、真一のスマホは見事に有識者によってハッキングされているし、カメラから真一が見ているもの、脳内透視機チップにより、考えたこと、喋ったこと、全てが筒抜けだ。


そう、眉村真一は、中学一年生から現在まで、ノンプライベート人間だったのだ!


〜説明終わり〜


続く






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