第3話「カリスマ」

あれから、なんら気にすることなく、俺は学校へと向かった。


「与謝野晶子、ネット上から消えたらしいよォー」

とある女子の噂ばなしが耳に届いた。


俺はどうかしてたのか、開き直っていたのか、自責の念などつゆとも感じていない、という自分を演出したかったのか、躊躇いも無く口を開いた。


「与謝野晶子、俺だわ」


女子Aが言った。

「眉村が?ちょっとケータイ見せてよ」


「ばかっ、アカウント消したんだから証拠は無い」


「ま、あんたが与謝野センセイだとして、こんなに全国で自殺者が増えてるのに、のんきに登校なんかできるはずないわ。普通ならそれこそ責任感じて自殺しちゃうわよ。」


「その、与謝野晶子ってのは、お前らの間にも流行ってたのか?」


「トーゼン!」


「与謝野晶子センセイは私たちのカリスマよ!それこそ私たち若い人間から、お年寄り、時には幼児まで、その言葉の美しさには感服させられたわ。」


「まー、勝手にやってろ、トイレ行ってくるわ、俺」


俺はスタスタと教室の外に出る。


すると、俺がある程度、教室から遠のいた瞬間、「ワァッ!!!」

と、悲鳴?違うな。狂喜乱舞に近い歓声が聞こえた。


そして俺が完全にトイレへと消えた後、教室ではー。


女子、男子ともにーー

「眉村、いや、与謝野センセイ、な〜んにも気づいてなかったね?」


「あいつの正体なんて、クラス周、いや、教師にだって、なんなら、全国の日本人が知ってるのにね」


「今日は与謝野センセイ、ビオレの洗顔料使ってたよ〜」

「マジ〜?」


なぜ彼ら、いや、国民全体が彼の一挙一動を知っているのか、それには少し、説明が必要だろう。


次回、簡潔に説明予定である。


そのころ与謝野センセイこと眉村は〜


「ションベンのキレわりーなー」


ーーのんきなものである


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