第9話 おまけ
好き
想いは毎日積み重なって
どんどん大きくなって
いつの間にか
"笹館一羽"が
"笹館"になって
"一羽"になった
まだ、特別な言葉はもらってない
この関係は、なんだろう?
まだ、友達の一人でしかないのかな?
「来くん、今度のお休み、いつ?」
「…土曜日」
「デートがしたい…」
「デート?!」
来くんは、ちょっと躊躇したけど
"わかった"と言ってうなづいてくれた
初めてのデート
行きたい場所は決まってる
水族館
来くんは
大人っぽい服装に身を包んで現れた
シャツと黒いスキニーと
長いコート
ちょっと違和感あったけど
カッコいい
似合ってる
来くんは、私の私服姿、どう思ったかな?
白いセーターとパステルカラーのロングスカート
メイクもしてる
髪の毛も頑張って巻いてみたけど
チラッと見ただけで
あんまり興味無さそう
会話は少ないけど
来くんがご機嫌なのはわかる
なんとなく
口元がゆるんでる
2人で大きな水槽を見上げる
自由に泳ぐ魚達を
ゆっくりと眺めた
ふと、近くに来くんの手があったから
頑張って触れて見た
来くんは少し固まった後
そっと握り返してくれた
伝わる体温
ドキドキしてふわふわした
水族館をひと回りして
イルカショーを見て
その間もずっと手は繋いだままだった
売店でお土産見て
2人でアイスを食べた
帰り、海辺の公園を散歩しながら
来くんは呟いた
「また、来よう…」
「うん!」
「来年も…」
「!!うん!」
「再来年も…」
「!!!」
「いつか、家族で来たいな…」
そう言って
ふわっと私を包み込んだ
そして、耳元で
「ずっと一緒にいて…」
「俺の隣で笑ってて」
「うん!」
来くんの肩越しに見えた夕焼けが
涙で滲んで綺麗だった
長い人生
楽しい日々ばかりじゃない
大雨の日も
台風の日も
暗闇で前が見えない日々も
でも
君と
貴方と
一緒なら
きっと………
人はそれを運命と呼ぶ 蒼桐 光 @aogiri211101
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