第3話 理想の関係

学校が終わると、私はまず幼稚園へ向かう

妹の一花(イツカ)のお迎えだ

幼稚園の預かりの先生は、私を見かけるとすぐに

「一花ちゃん、お姉ちゃん来たよー」

と、帰り支度を促してくれた

「お姉ちゃんいつも偉いね」

笑顔で返す

先生とはすっかり顔馴染みだ

その後は、一花と一緒にスーパーで買い物

三日分くらいの献立を考えながら、

「お姉ちゃん、あれ食べたい!」

一花のオヤツおねだり攻撃に

サイフと睨めっこしながら

「…今度の買い物の時かなー」

「ちぇー」

残念そうな顔をする一花を見て、買ってあげたくなったけど、我慢して堪える

一花もそれ以上はおねだりしない

物分かりが良くて助かっている


「ただいま〜」

買い物をして家に帰ると

「おかえりー」

「腹減ったー」

「こんばん、何〜?」

弟達が出迎える

「今日はシチューとハンバーグにします」

「わーい」

「やったー」

「宿題してよー」

「へーい」

台所に行き、食事の支度を始める

一花は、そろそろと近づいて来て

「玉ねぎの皮むきくらいなら手伝える」

「ありがとう」

2人で食事の支度を始めた

私は、5人兄妹の長女で

家では弟たちの面倒を見ている

長男、中一の史也(フミヤ)

二男、三男、小四の双子

光也(ミツヤ)と真也(シンヤ)

次女、一花(イツカ)

忙しい毎日を送っているけど楽しい

父と母は共働きであまり家にいない

裕福ではないけれど

笑顔と会話に溢れていて

幸せだ

この家に生まれて良かったって思う


ご飯ができた頃、母が帰って来た

「ただいまー」

「おかえりー、ママ、あのね、今日学校でねー…」

「先生がさー…」

弟達が玄関に出迎え、みんなで母の周りを取り囲む

母は、ひとりひとりの話をちゃんと聞いて

その後は私のところに来て

笑顔で声をかけた

「今日はシチュー?やった」

母は、匂いでメニューを言い当てる

「ただいまー」

少し遅れて父が帰宅する

また、みんなで玄関でお出迎え

「おかえりー、パパあのねー…」

「今日、学校でー…」

ひとりひとりの言いたい事を聞いた後、私にも声をかける

「おっ、シチューか!うまそ」

そう言って笑う父の顔はまだどこか少年っぽさが残っていて、和む

そして、必ず

夫婦でイチャイチャし始める(笑)

その時だけは子供達の事は一瞬忘れてる(笑)


家族揃ったところで、みんなで「いただきます」

してご飯を食べた

ハンバーグは、少し焦げてしまった

シチューは、ちょっと薄め

料理はそんなに得意なわけではない

それでもみんな、文句言わずに食べてくれた


父と母は中学生からの付き合いで

高校卒業してすぐに結婚したみたいで

苦労も多かったみたいだけど

だけど今でもラブラブで

そんな2人みたいな関係を夢見ていた

そんな関係が憧れだったし、いつかそんな人が現れるって信じてた

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