第2話 衝撃

「平間 来(ヒラマ ライ)くん、好きです」

ニッコリと笑顔で俺の目の前で

聞きなれない呪文を唱える

不思議な人物がいた

背は、低めだ

ふわっとした肩までの長い髪を上のほうだけ束ねて(世間ではハーフトップ?というらしい)かわいい髪飾りで留めている

目はぱっちりとした二重で

まあ、かわいいほうだとは思う

ニッコリと笑った笑顔も親しみがあって憎めない感じはする

でも、、、ちょっとアホっぽい、、、

ってか、

一瞬よぎった頭の中の回想を

一ミリも表に出さず、冷静に、クールに言い放った

「誰?」


休み時間の購買でのパン購入争いに遅れを取ってしまうと予測していた俺は、あらかじめ友人の元晴(モトハル)にパンの購入を依頼していた

「来、買えたぞ」

そう言って、元晴は俺に焼きそばパンをパスした

宙を舞った焼きそばパン

思いがけない方向に飛んで言った

キャッチし損なって

階段の下の床に落ちてしまった

慌てて拾おうとすると

階段を踏み外した女子生徒が

ふらっと倒れかかって

来たので、焼きそばパンが踏まれてしまうという恐怖を感じた俺は

咄嗟にその女子生徒を支えた


今思えば、あれがきっかけだ


今の今まで忘れていた事だ

焼きそばパンが無事だったことに安堵して

その女子生徒の存在やその出来事さえ、今の今まで忘れていた


「俺は、あんたを知らないし、あんたも俺をよく知らない」

そう言い放つと

その場を立ち去った

すると、後ろから大きな声で

「二年二組の笹舘一羽(ササダテ イチハ)です!あなたのことも知りたいし、私の事も知って欲しい!!!」


それからだ

俺の人生が180度変わって行ったのは


笹館一羽は、何かと俺の前をうろつきだした


昼休み、好物の焼きそばパンを食べているとガン見され、

体育の授業でも視線を感じ、

何故かバレたバイト先では俺のレジに並び、にっこり微笑んで

「スマイル下さい」とか言う始末

これは…俗に言うストーカーというやつでは?

笹館一羽は、こうして俺の人生に入り込んで来たんだ

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