人はそれを運命と呼ぶ

蒼桐 光

第1話 運命の出会い

私は信じてる

いつか現れる

運命の人

いつか、出会えるって

絶対絶対出会えるって信じてる


お昼休み

昼食を食べ終わった後

お菓子をつまみながらいつもの女子トーク

大人っぽくて美人の瑞稀(ミズキ)は、彼氏が途切れない

1人目は同中だった同級生

2人目は二学年上の先輩

しかも今は、四つ年上の大人な彼氏

彼女の恋愛トークを聞きながら

いろいろ勉強させてもらっている

一方、その話に興味深々で、彼氏募集中の麻菜(マナ)は口癖のように

「いいなぁ、私も彼氏欲しい!!!」

って、いつも言ってる

いつも聞き役な私

「一羽(イチハ)は?」

突然、私に話が振られた

「今度、麻菜に男の人を紹介しようと思うんだけど、一羽はどうする?」

「私?!私は、そう言うのはいいかな」

「えーなんでよ?」

「トリプルデートしたい、夢なんだよね」

瑞稀と麻菜はそう言ってニコニコしながら私を見た

ラブラブとか、ドキドキとかうらやましいとは思うけど

私は本当に心の底から好きだと思える人と恋したい

「始まるよ」

「始まるね」

ふたりが顔を見合わせる

机を叩いて立ち上がり

「私は、いつか出会える、運命の人を待ってるの!!運命の出会いって言うのは、自分で設定したものでは決して無くて、予期せぬ時に予期せぬ形で突然訪れるようなもので、まるで雷にでも打たれたかのような衝撃的な感覚に襲れて、一瞬で"この人だ"と認識できるような本当に不思議で特別な出会いなんじゃ無いかなって、思うの!そんな、この世で唯一無二のたったひとりと、私は出会いたい!!」

熱く語ったところで、教室中から視線が集まっている事に気づき、静かに着席した

その様子をみて、2人が笑い出す

特に瑞稀、笑いを堪えながら

「一羽の、そのまっすぐで純粋な所、好きだよ、天然記念物的な」

麻菜は

「そんな事言ってるうちに、あっという間に歳をとっちゃうんだから!今、青春を味合わないでどうするの!」

「まあ、一羽の王子様が現れるのを気長に見守ることにするよ、気が変わったらいつでも言ってね」

こんなちょっと変わった事を言ってしまう私の事を、受け入れてくれる2人が好きだ


そして、その時は、予想よりも早く訪れた


昼休み、3人で話に盛り上がりながら移動中

階段を3〜4段くらい上がったところで、対面を歩いて来た集団を避けきれず、よろけてしまった、後ろに倒れそうになったその瞬間に

誰かに肩を支えてもらった

その男子生徒に一瞬で目を奪われてしまった


彼は一言ボソリと

「無事だった」

と、呟き、静かに去って行った


サラサラの髪と、長身でスラッとしたスタイル、表情は無表情だったけど、綺麗な整った顔立ちをしていて、とても魅力的だった


一瞬で、心を奪われた

"彼だ"って、思った

出会ってしまったんだ

運命の人に

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