第42話:教育観の多様化 ⑧-1

 ただ、今は以前よりも多くの成長過程において開始時期の低年齢化や成長の早熟化などが起きている事、教育面でも早期から塾に通わせるなどして子供たちの教育機会を増やすなど競争社会を象徴する出来事も以前に比べると増えており、両親の成長過程との共通項が少ないことで、親から教えてもらったタイミングと子どもに教えるタイミングが異なる部分も増えており、適切なタイミングが掴みにくい状況でもある。


 だからこそ、教育カリキュラム全体の見直しや学年カリキュラムの追加などを検討する時期に差し掛かっていると思う。


 その理由として、現在は学習内容の増加により①子供たちの理解力や認知力に個人差が出ていること・②その個人差が子供たちの学習に影響を及ぼす可能性があるなど子供たちの学習格差や理解格差が挙げられる。


しかしながら、実際には授業計画を作成して、そのスケジュールで授業を進めることになるため、子供たちの理解の有無に関わらず授業が進んでいってしまうという状態になり、仮に授業を受けている子供たちの理解が不十分もしくはつまずきに繋がる状態に陥り、パニックに繋がる可能性も否定出来ない。


そして、教員側も子供たちの理解度の把握が難しく、テストなどの特定の機会のみで把握するしかないため、十分なフォローやケアが出来ない可能性があるのだ。


そこで、個人データをデジタル化して、個別の課題や理解不足になっている可能性のある部分を個別学習課題として計上し、タブレットやパソコン上で個別学習出来るようにすることで、子供たちの理解不足になっている部分を再度説明して分からない部分を止めながら学習することや動画に細かい解説を添付するなど視覚的な学習を導入することで分からないまま次に進むのではなく、子供たちの理解度に合わせて学習できる仕組み作りをすることで必要な事柄を学び損ねてしまう、知識不足で次の年次に影響が出るという事を避けることが可能となる。


 その他にも現在の授業時数を考えたときにこの仕組みを作っておくことで、緊急時(一斉休校・学級・学年・学校閉鎖等)に授業の遅れを作ることなく授業が進められるだけでなく、すでに理解している部分を復習することも可能となるため、お互いにメリットは多い。


 しかし、このシステムを構築にはいくつかの課題もある。


例えば、個別学力を把握し、補助教材を作るなど教員側の負担が増加することや著作権や肖像権の問題でクラス映像や音声などが使えないなど子供たちのプライバシー保護の観点から法的な権利問題が発生することで同じ授業を1からやり直さなくてはいけないなど教員側の負担が大きくなってしまい、現在進んでいる働き方改革に反するシステムになってしまう可能性があるのだ。


 だからこそ、文部科学省などが学力向上プログラムに対して予算を計上し、子供たちに合わせた学習カリキュラムを組めるようにすることや当該学年の内容を詰め込んだとしても子供たちによっては定着せず、逆に学習のつまずきや学習意欲の低下が進んでしまうことになり、万が一親御さん側が受験などを検討していた場合に家庭内不和が起こる可能性も否定出来なくなる。


 いろいろなカリキュラムを組むことは良いことだと思うし、多角的な視点を育むことで柔軟な思考力が構築出来ると思っている。


 ただ、教材作成を出版社などに丸投げするのではなく、現場からの声や教科書のデジタル化が決定していることもあり、子供たちが自分たちのペースで出来る事を精一杯出来るようにすることが子供たちの学力を上げることや個別教育観の変化に上手く対応できるのではないかと思う。


 また、中学校以上の子供たちに対しては段階的学習(基本→応用→発展→受験)を導入し、個人が出来るレベルの問題を解かせることで個人的な知識格差などを生みにくくすることや子供たちに学習選択をさせる事で本人たちが1つずつ達成出来ている事に対して達成感を持ち、そこからもっと難しい問題に挑戦しようという向上心や学習意欲が生まれる事で“やらされる学習”から“出来る学習”へと子供たちの意識が向き、高校進学・大学進学へ向けた自信にも繋がる。

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