第36話:教育観の多様化 ③

そのため、若い世代の居住率の低下が著しく、若い世代を育てたとしてもどんどん転出などによって流出するという負の連鎖は地方創生においても早急に解決しなくてはいけない課題であると感じているし、地方の場合は都市部と異なり、公共交通機関が限られてしまうことや車社会ということが若い世代の車離れと相関する形で影響しているのだろう。


 これらを挽回する意味でも適正な交通機関の整備や雇用確保など後継世代が生活しやすい環境を時間がかかったとしても整備しないと過疎化は止まらない。


 また、今はSNSが発達しているため、若い世代ほどネット上の書き込みやママ友などとネットで繋がるケースも増えており、“○○市に○○という先生がいるのだけど、すごく分かりやすくて先生が担任したこどもたちで受験した子は全員合格しているみたい”など学区外に良い先生がいるならそこに引っ越してでも質が高く、進路に役立つ教育を受けさせたいという親や“○○を受験するならこの塾おすすめだよ”とママ友から紹介されるとすぐに紹介された塾を見学に行って、その帰りに近くの不動産屋さんなどで相場や物件を探す親など“自分の子供が他の子たちよりも上に行き、社会に出たときに胸を張って生きていけるように”という親のアカデミック・バイアスが起きているケースなど現代において、さまざまなバイアスが存在しており、都市部・地方部関係なく“自分の子供を良い学校に行かせたい”や“○○よりも良い学校に入れたい”のような自発型競争社会を作り上げてしまい、子供の意思を尊重するのではなく、親が子供のレールを敷いてしまっていることで子供たちが違う選択を出来なくしているように感じるのだ。


そして、その社会で生き残れなかった子たちが社会から孤立していき、学校に行くことの意義も見出せなくなってしまうことで学習意欲の喪失や将来への悲観などネガティブな印象を持ってしまう可能性がある。


そうならないためにも“キャリアシート”など自分のやりたいこと・やってみたいことなどに向き合わせる機会を作り、その機会にきちんと子供たちにライフプランを作らせて、その目標に必要な事を取捨選択させるなど子供たちにその夢を叶える為に必要な事を明確に理解させる事で学校生活の過ごし方や家での過ごし方などを見直すきっかけにもなる。


また、子供たちが作ったキャリアシートを子供たちと両親が情報共有をして、必要な学習や資格などを取得する。そして、担任の先生や周囲の大人たちがその子の目標等に基づいてアプローチの仕方を模索するきっかけに繋げることで親の理想を子供に押しつける事や無理な受験など本人が望まない事に対する意思表示をすることで後悔を避けることも可能になる。


その他にも本人たちが持っている夢に対してさまざまなデジタル化が進むことで、学べることと学べないことが出来てしまう可能性もあり、本人がプロ等を目指す場合にはかなりハイレベルな教育を受けることや各業界におけるトップスクールなどの養成施設へ参加することや練習の参考にするために動画などで自分が目標としている分野のトップで活躍している人を分析して“この業界に張るためには何が必要なのか?”など子供たちが理解していなくてはいけない事を常に考えなくてはいけない。


そのため、これらの教育に対して先進的な地域と後進的な地域では育つ子供の質も違っていることや価値観のズレなどが生じたことで目指している分野の正解を不正解として認識されてしまい、地域から孤立するなど一定の教育水準が保たれず、場合によっては教育格差が生まれてしまう。


 この格差に勝てないのは後者であり、後者の子供たちが前者を希望するとなると、後者の地域では学ぶ子供たちが減ってしまうことで地域間における知識格差や成績格差などが拡大する懸念がある。また、前者を選んだとしてもその地域までの交通費など親の経済負担が大きくなるため、中学校までは親の経済力が子供たちの夢を叶える為に必要な基準の1つとなっていく。


 このように1つのきっかけが全体に作用している事を考えると、“親などの所得変化や教育観の違いが子供たちの教育観を形成し、自己判断可能年齢に到達した際にそれまで育んできた価値観で自己判断をする”ということになるため、幼少期からの教育観や家庭環境による子供たちの価値観がその地域を繁栄させるか、衰退させるかを決める重要な部分の1つとなるのだ。

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