第35話:教育観の多様化 ②

 次に挙げられるのが“若い世代は干渉を嫌う”ということだ。


 これは地方に多く見られる傾向だが、子育てをしていると何らかのトラブルが起きることや子供が不登校になってしまうなどさまざまな状況が想定される。


 その際に1日学校に行かないだけで「うちの子が言っていたけど、○○さんところのお子さん学校行ってないみたいよ。」と近所などで噂が立ち、両親のSNSなどに「(○○君もしくは○○ちゃん)が学校休んでいるってママ友から聞いたけど、本当?大丈夫?」のように原因を細かく掘り出そうとする動きや家族以外の親戚などが「学校行けないという噂が立っていて恥ずかしいから学校に行かせなさい。」などと子供の意思を尊重せず、世間体のために自分の意思で子供を振り回してしまうケースが多くなる。


 これは地方特有の考え方の1つなのかもしれないが、“仮に何かあったとしても、休んだりするな”という精神論や根性論に繋がっている事は裏を返すとその家の評判や周りからの見方などに影響するなど自分たちの評価に繋がってしまうから避けたいという心理が働いているのだろう。


 そこで、何かあったとしても平静を装う事でその事を避けられるという心理が働き、結果として子供たちに負のイメージを植え付けてしまうことになるのだ。


 そして、子供の数が少ないと今度は全く知らないところで自分の情報が流れていたりすることもあり、子供からすると過度のプレッシャーやストレスに晒されるケースも目立っている。


 このように地方における教育的価値観と都市部における教育的価値観では真逆の事象が起きているため、若い世代からするとどのように割り切るかが難しい部分だろう。


 特に、思春期の子供たちがそのような状況に遭遇した場合に“私はこういう場所では子育てをしたくない”と思う可能性もあるため、周囲の価値観の共有や本人の意思を尊重するような動きは人口減少や過疎化に歯止めをかける場合には必要だと感じる。


 今の子供たちは何事においても自分で決めた事をやりたいと思う傾向にあり、第三者から干渉されることで関係を絶ってしまいたいと思う子も少なくない。


 そのため、親であっても接し方を間違えると大変なことになる場合もあり、最悪の事態に陥った際のバランスを取ることがかなり難しい印象がある。


 その例として、“18歳の壁”がある。


 これは、高校卒業など人が流動的になりやすい時期で、学生は進学等により、実家などの地方から都市部への転出、都道府県外への転出が活発になる事がある。特に、18歳(高校卒業年齢)の人口流出が顕著に起きることで、学生は都市部へと流れていく傾向にあり、就職者も地方よりも都市部や同じ都道府県であっても中心地などに集中する傾向にある。


 これらの理由として学習面では“就職などに繋がりやすく就職実績の高い学校に行きたかった”、“自分のやりたいことが出来る学校、資格を取りやすい学校に入りたかった”など自分の将来のためを考えて進学をしたいと考えていること、生活面でも“近所関係”・“防犯面”・“通学における利便性”など自分たちのストレス因子を可能な限り避け、自分の学生生活を快適に過ごしたいと考えている学生も多い。


 その一方で、地方から都市部に引っ越す学生の多くが口にすることとして“公共交通機関が少ないもしくはないため、進学する学校に通学するのが難しい”や“行っている学校などを周囲に知られるのが嫌だ”・“実家だと周りが家のことを知っている”など地方ならではの事情もあるのだと思う。


 そして、各学校を卒業後に就職するにしてもそのまま都市部などの会社に就職をして、地方には帰ってこないというケースも昨今は目立っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る