第34話:教育観の多様化 ①

 昨今、子供たちの間で心配なことが以前に比べると増えていて、その反動で起こしてはいけないことや起きてはいけない事が起きているように感じる。


 第1に“自分よりも社会”という心理を挙げてみたい。


 これはここ数年で見られる傾向だが、自分が思い描いた夢を諦める選択を出来る環境がどんどん減っているように感じる。


 その理由としてはいくつかあるが、最も考えられる要因として昨今の雇用情勢の動向と自分の夢の採用状況や採用傾向などがミスマッチを起こすこと、塾など自分と同じ子供たちが集まる場所に通うことで「自分はこの子たちの中でどのくらいの一にいるのだろう?」と自分が夢を叶えられるのかどうかを考えてしまうことなどが挙げられる。


 この2つは受験を考えた時に最も起きやすい事であり、この部分をきちんとコントロールできるように日頃から意識して生活することが望ましいが、現状は一筋縄ではいかない。


 まず、このような状態になる人の多くは“親が理想の子供に育てようとしている”可能性があるからだ。


 もちろん、親が理想の子供像を持っている事を否定するつもりはないが、子供が両親の理想を全て叶えられるわけではないし、子供が親と全く同じ能力であるという可能性も考えにくいケースもある。


 そのため、子供たちに“こうなりなさい”と理想を押しつける事で子供たちは“パパとママを悲しませてはいけない”と子供たちは頑張ってしまう。


 そして、メディアや新聞などで“○○大学卒○○さんの作った商品が受賞“や”○○さんが総理大臣賞を受賞“など良い大学を出ている人ほど活躍出来ると錯覚を起こす見出しを見てしまうと、”社会から求められる人はこういう人なのか“と自分のレベルを下げることが出来ず、親が言っていたこと、目で見た事が求められていると感じてしまう。


 その他にも起業したいと思っている子供は“起業して有名になっている社長さんたちはどのような学歴を持っているのだろう?”と夢を叶えている人のことを調べる。


 しかし、親が“公務員になれ”や“有名企業に入社しろ”など自分たちの理想を押しつけると、今度は子供たちとの関係性にヒビが入る可能性がある。


 このように、現代においては子供たちと両親を含めた大人たちとの教育観がかなり異なり始めている傾向がある。


 特に、子供と親の進路に対する認識のズレは年代相応のズレなら良いが、競争意識や自分の満足のためなど周囲で負けたくない子などと同じような進路を進んで欲しいや自分で自慢できる子供など親の価値観や世間体重視によるズレの場合は修正のしようがなくなってしまう。


 その上、地方などでは昔からの風習やしきたりのような習慣が残っている場合も多く、昔の価値観と現代の価値観のズレが起きたことで子供たちのストレスに繋がってしまう可能性もある。


 そして、私も経験があるが、“○○さんのところのお子さんだから”・“○○さんのところのお孫さんだから”と家柄で判断され、理想論を突きつけられるということもある。


 私の場合は教育だけではなく職業まで指定されたこともあるため、自分としては疑問に感じていた時期もあり、その時期は何をするべきなのか分からなくなっていた。


 このように親の教育観がそのまま反映されるなら良いが、問題は周囲が親や親族などに干渉するケースや“なんで○○君・○○ちゃんはお父さんやお母さんと同じ職業に就かなかったの?”とその家の子供と言うだけで職業を決めつけられてしまうケースも目立っており、この事が地方から都市部へ若年層が集中していく事に繋がっていると感じている。


 もちろん、地方の良い点もたくさんあるが、このような1つのきっかけで状況が著しく変化してしまうケースも目立っているのだ。

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