第33話:社会は何を求めるのか ⑥

 時代の変化と共にそのような状況が増えたという話を聞くと私が聞いた内容もあながち間違いではないということになる。


 ただ、以前から起きているこの問題に対して問題視する動きや抜本的な対策・手段などを検討しているような姿勢は見られないため、この問題が発生した場合は現場だけで解決しなくてはいけなくなり、現場での対応が迫られてしまったことによる現場の疲弊や業務崩壊などが伴ってしまう可能性がある。


そのうえ、この問題に対する対策や支援が十分に広がっていかないため、この問題が永続的に続いてしまうと思うと今後の子供たちの教育環境が悪化する懸念が払拭できない。


 その理由として第一に“昨今の受験に対する当事者意識の向上”が挙げられる。


 現在、ニュースやドラマなどでも受験に関するテーマを取り扱うことが増えている。私も中学校から受験をした経験があるため、受験生の気持ちは痛いほど分かる。


そして、自分の同級生も少人数ではあるものの、受験をして別の学校に進学した。


私が当時感じていたのは“受験はこんなに楽しいこと”だった。それまでは成績などに左右されたことで絶望感や将来を悲観してしまう事が増えていった。しかし、受験できるようになったことで“自分は出来る”という自信が出てきた。


ただ、当時起きていたことを考えると、心中は複雑になる。


例えば、受験することが今ほどメジャーではなかったため、“受験をした人は偉い”や“受験できるのは相手に認められたから”のような高飛車な発言や“お前は受験するな”・“お前が合格すると国が壊れる”のような相手の人格を否定する発言など受験に対してかなり特別視されていた印象がある。


現在は以前に比べると受験に対する距離感が近い印象を持つため、この問題に対する意識の高まりが良い方向に作用しているなら問題ないのだが、今は家庭の多様化や情報管理の徹底などで直前まで相手がどうするのかを知らないなど友人関係に亀裂が入ること、それを知らずにそのまま進学して、進学先で孤立してしまうなど逆効果に転じてしまうこともあるのではないか?と危惧する場面も多い。


 これから社会が変わっていくときに相手が求めている事に応えるために何が出来るかを考える習慣や自分が受験するなどして上のステージに上がっていくならその立場を活かして人を思いやることの大切さや上のステージで出会った人とアクションを起こして人を助けるなど受験から社会貢献活動に進み、可能なら受験したい子供に対する経済支援も必要だろう。


 教育格差が社会の求めているものや人材を遠ざけてしまう。


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