第26話:なぜ、人は比較するのか? ①

私はいろいろな記事を見ると“○○大学出身の○○さん”のような高学歴なイメージを持たせる見出しや“○頭身モデル○○さん“のような固定概念を誘発し、モデルの基準が線引きされてしまっているなど容姿的要素を含んだ書かれ方をすることは違和感を覚える。


 なぜなら、こういう表記をすることで“私たちはこういう人にしか興味はありません”と嫌がらせを受けているような印象を持つ人もいる。


 そして、その目標に向かって頑張ろうとしている人の努力に水を差すことにもなりかねない。


 では、なぜこういうことが日常的に行われているのか?


私はこれらについての社会認識やメディアなどの報道内容などを細かく分析してみたところこれが要因もしれないという点や事柄がいくつか見つかった。


 まず第1に“イメージ構築”が挙げられる。これは、今の社会を生きていく上で必ず着目されるのが、最終学歴、実績、容姿などその人の表面を表す数字やブランドであり、誰もが知りたい情報が多い。そのため、それらの条件を満たすためにも“良い学歴”を持って、コンクールやコンテストなどで実績を作って、容姿のためにお金を使うという人は少なくない。


 そして、これらの事象が年々若年齢化していっており、このまま若年齢化が進みすぎると子供たちの成長や精神面・心理面に大きく影響を与えるだけでなく、子供たちの個性を失わせてしまう可能性があると感じている。


 特に、義務教育課程においては個々の精神発達や価値観の構築、身体的変化が急速に進む時期であり、相互バランスが将来的に影響してくるため、慎重に教育していかないといけないのだが、個人差が大きくなることから同じ事を教えてもイメージ出来る子供とそうではない子供に分かれてしまうと思う。


 そして、現在は以前よりも子供たちの成長が早いケースもあり、ルッキズムに起因するいじめも増えている。これは身長などの個別成長率の個人差が顕著になっていることも挙げられるが、子供たちの精神発達が早熟していることや子供たちの家庭環境と発育環境にはっきりとした個人差がついていることなど環境的要因がこのような考え方を構築していると考えられる部分がある。


 私はこういう家庭環境の格差も他者比較や他者競合(受験など他の人と順位や点数などを競い合うこと)を生むことにつながり、そういう行動が習慣化してしまうことで自分の体験していることを基準にして判断基準を作ってしまうため、自分がやっていることと違う事をしている人や塾や学校で成績や順位を付けられることに慣れてしまうとその数字が良くなった・悪くなった事を一喜一憂し始めることになり、“○○に入るには○○より上にいないといけない”のような自分を追い詰める目標を掲げてしまい、精神的に追い詰められてしまう子供が出てきてしまう懸念がある。


 特に現代においては常に誰かと比較されることや順位を付けられることが当たり前になっており、このような風潮が競争社会の低年齢化を招いているのではないか?と感じるのだ。そして、学校のテストであっても“赤点”という「この得点以下を取った場合には追加試験や留年など一定の理解度に到達しないと次に進めない」など学力の向上に対してはかなりのハードルを設けることで子供たちの挫折が顕著になり、学力の二極化を生んでしまうのだと感じるのだ。


その他にも現代においては受験をすることが定常化していて、“良い学校に入るためならどんなことをしてもいい“という考えをもった人も増えてきており、その風潮が既存の価値観に拍車をかけているケースも少なくない。


そのため、受験をする子供たちの中に自然と“○○よりも評価を良くしなくてはいけない”・“今度のテストで95点以下は取ってはいけない”など他者比較や数値設定を厳しくしてしまい、先生から褒められたとしても「○○に行くにはこれではだめなのです。もっと頑張ります」と自分を追い詰めてしまう子供が多々見受けられる。特に中学受験の場合は高校受験とは異なり、私立中学校でも上位校に受験者が集中するため、倍率が数倍程度から数十倍と激戦になってしまうこともしばしばある。その理由として、今の社会を象徴している現象が影響している事だろう。

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