第25話:教育格差が人材育成を阻害する ③-1

 私が今まで関わった人たちの中にもこの法則が当てはまるのではないか?という疑問を持ったこともあった。


 その理由として、両親から受け継ぐ遺伝子性ホルモンの分泌率やこれまでに関わってきた子供同士の人間関係等における価値観変化、発育環境における性認識の基準など本人過ごしてきた環境などが本人の性認識などに関係があり、その子にとって自分という身体はどちらの身体なのかを幼少期からの記憶を基に辿っている場合も少なくない。


例えば、ある子は両親ともどちらかの性に偏っていることも、突出した発言もしないが、高校生の時に突然「女性になりたい」と言って容姿は男の子だが、スカートを履きたがったり、髪を長髪にして結んでみたりしていた。その光景を見た両親は「○○君どうして?」とびっくりしていた事を覚えている。ただ、その時は私の中では“1つの個性”であり“彼の選択”という認識だったため、特に違和感などを覚えた事はなかった。


 そして、別の子は外見の容姿だけを見ると両性で、声も男声というよりは混声に近い声だったため、“すごい個性を持っている子だな。“と私は彼の個性を尊重していた。そして、服は何を履かせても似合ってしまうほど多様性に富んでいたが、両親を見てみるとそういう気配は全くなかった。


 ただ、後者の子は一緒に過ごしていて感じたのは人間関係を見ていると異性との交流が多く、同性との交流もあったが、そこまで多くはなかった。


 つまり、幼少期から同性よりも異性との価値観が似ていたもしくは意気投合できるほど合っていたというのが正しいのかもしれない。


 そして、兄弟関係などで姉と妹に挟まれている子ほど考え方が女性的で気持ちが優しい傾向にあり、兄弟のみ・姉妹のみの関係性だといずれかの性の価値観しか持っていないか、いずれももっているが併用できないかのどちらかだろう。


 これは幼少期から男女の違いをきちんと教えることや性同一性障害など性が一致しない人がいること、いろいろな価値観を持っている人がいて、その人が知らないことを教えてくれることを根気強く教えていかないと社会における性差別や男尊女卑の考え方、多様性に対するセクシャルマイノリティの考え方などは改善されていかない。


 しかしながら、日本というのはこれらの問題に対しては先進国の中ではかなり後れを取っていて、ここ数年で問題視されるようにはなったが、完全な改善には至っていない。


 私はこれらが改善できない背景に“法律の壁”と“固定的な価値観や概念が社会的に浸透していることで多角的な見直しや是正などを伴った改善が出来ない”などのいくつかの要因・原因があると思う。


 まず、“法律の壁”は現行法や現行条例ではその問題が起きた際に法律に明記されていないため力のある方が強くなり、問題を解決出来ないもしくは法律に明記されていても法的根拠や基準が曖昧でトラブルに発展する可能性もあるなどの課題解決を進めなくてはいけない。


 例えば、同性婚や選択的夫婦別姓など昨今の日本社会において顕著な問題として取り上げられているが、民法の改正の手続きを開始している様子はなく、改正などには時間が掛かるだろう。


 しかし、子供たちには新しい情報や社会に対する情報を敏感にキャッチして、学校などでも話題にするなど子供たちのほうが先行して知識などを蓄えていっているように感じる。そのため、子供たちのほうが賢くなっている事もしばしばで、これは若い世代も学習機会を求める傾向にあるため、法律が時代相応に変化していかないと子供たちが受けている教育が皆無になるだけではなく、教わったことと現実に起きている事が違っていると子供たちも大人に対して不信感を持ってしまう可能性が否定できない。


 そのような不信感が子供たちに政治など決定権を持っている世界から引き離してしまうことに繋がるのではないだろうか?そして、学校で教わっている事と今社会で起きている事が違っていることで“大人は嘘を教えているのではないか?”や“新しい事を教えて欲しい”という気持ちも子供たちに味方して、背中を押しているような気がする。


 教育格差は個別の問題だけに留まらず、全体の問題になりつつあるこの現状を変えられる人は現れるのだろうか?

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