第18話:学歴が評価される社会 ②

 これは、幼少期から重要になるポイントで子供たちの“体験”や“機会”を大人たちの“経験”と上手く融合させることで子供たちの思考に幅を持たせることが可能となり、柔軟な思考力と発想力が身につく。そして、そこから問題解決能力などの今までの応用を使って問題を解決する為に必要な答えを導き出している。


 しかし、多くの子供たちが成長過程で最もつまずきやすいのが“人間関係”だ。これは学校内で“同学年だからといって普通に話しかけてはいけない”・“○○君はこういう家の人だから問題を起こさないで”など大人の事情が子供に反映されることで上下関係が自然に生まれ、その関係性を守らなくてはいけないという心理が働く事が懸念されるのだ。


 これが大人になってから“人間関係が上手くいかない”、“人と話すときに緊張する”などたとえ同期や同級生であっても上手く人間関係を構築出来なくなる要因に繋がることがあるのだ。


 日本というのはいくつかの社会的価値観が社会形成に大きく影響を及ぼしていると私は考えている。


例えば、“優劣至上主義”のように男の子なら“○○君かっこいい!”と言われる人と“○○君かっこ悪い”と言われるのでは雲泥の差だし、女の子でも“○○ちゃん可愛い”といわれる人と“○○ちゃん可愛くないと言われるのでは言った相手に対するイメージがかなり変わってしまう可能性がある。しかも、この基準を多くの人は幼少期から繰り返している事で日常的かつ一般認識のような感覚で人を判断していくことになる。そのため、”人気モデル“や人気俳優“など社会的に好印象を与えられる人や人気がある人、”有名大卒“もしくは○○大卒”のように社会的認知度が高いことで自らに有利に働くと考えられる人などその人のイメージと経歴などが優劣判断の材料になってしまうことが多い。


 そのため、“Fランク大学卒で年収350万”という人と“有名国立大学卒で年収2000万”では相手が持つ印象も異なるし、前者は“自らに利益がないのではないか?”と文字だけで判断して、損得勘定の天秤にかけてしまう人も多く、後者は“こういう人と交流できるなんて夢みたい“など自分とは違う世界に住んでいる事に対して憧れを抱く人が多い。


 では、なぜここまで学歴にこだわる社会が形成されてしまったのだろうか?


 これはあくまでも私の私見ではあるが、日本という国で生きていくためにはかなり高いハードルが用意されている。例えば、幼少期から塾に行くことや習い事をすることは当たり前、幼稚園から受験することは当たり前、ちょっとでも良い成績を取らないといけないと親に教えられるなど家庭によって多少の個人差はあるが、自分の理想を子供にも押しつける、周囲の子供よりも良い成績を取らせたいなど大人の事情が絡んでいる事も少なくない。この考え方が子供たちのメンタルの不調を助長し、子供たちを死へと追いやってしまうことになる。


 そういう事は私が子供の頃から周囲の同級生や下級生に対しても起きていた事例であり、今でも成績至上主義が定着してしまった以上良い成績を取れることが正義になってしまっては子供たちの教育格差を埋められないし、このままこの状況を維持することになると日本の社会全体における差別行為に繋がっていく。


実際、学歴が高い人たちは学歴が高い人たちとしか交流を強化しない。しかし、SNSなどでは“努力するならこういう世界は獲得できる”や“こういう努力をしてきたからこういう結果になった”という経験論は積極的に語っているが、そこに寄り添うという姿勢はあまり見受けられない。


 そして、学歴が低い人たちはそういう人たちに憧れるが、社会的イメージが弊害となり、そういう人たちが学歴の高い人、実績のある人と同じ立場に立つことが出来るのは僅かな人間しかいない。つまり、学歴で判断されてしまうことがその人の社会的地位の優劣感情を生んでしまい、その結果、夢を追うことを止めてしまう、夢を諦めてしまうような状況になることで社会のパワーバランスが維持されているように感じるのだ。


 私は学歴よりも“個性をどのように社会に活かしていくのか”、“1度社会から離れてしまった人をどのように社会に戻すのか?”など個に焦点を当てた考え方や方針を打ち立てていかないと安直な考え方で物事を見てしまい、その人たちを潰してしまうだけでなく、その人たちが持っていたヒントを得られないという弊害も起きてしまう。

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