第15話:共生社会を目指すために ②

これは“年功序列”が生んだ負の産物のようなもので、“目上の人を敬う”という古くからの習慣が子供たちに教えられた瞬間でもある。そのため、同い年であっても立場の上下でその子に対する接し方を変える必要があると勘違いしてしまい、その子から何かされても我慢してしまうだけでなく、他の子たちから同様のことをされても我慢してしまう傾向がある子供が増えている。


 その理由のほとんどが“やり返すのが恐い”や“私が(僕が)何を言っても信じてもらえないかもしれないから”という子供たちにとっては自分の立ち位置を明確にされるだけではなく、自分たちに有利になる人は守ってもらえるが、そうではない子は守ってもらえないのではないか?という疑心につながる可能性もある。


 私は共創社会を目指すためには早期から必要な考え方を大人である親や先生などが教えるだけでなく、社会全体で子供たちに手本を見せる必要がある。


 特に、“○○はしてはだめ!”など禁止や制止が多い言葉を大人の人たちが用いることで子供たちの行動力や実行力、興味・関心を低下させてしまう可能性があり、大人の行動を見ている子供たちが違和感を覚えてしまう可能性、子供によってはこれらの矛盾に従わなくてはいけないという使命感が子供たちの関係性を築く上で衝突を生んでしまっている可能性がある。


 その他にも子供たちの情報収集の手段が増えており、多角的な考え方を柔軟に利用している印象が強いが、先輩・後輩など人間関係の確立が顕著になる中学校以降は上にいる人に従わなくてはいけないという制約が加わるため、環境の変化で体調を崩す子供が表向きはいないように見えるが、じわじわと子供たちの我慢を誘っていように感じる面がある。


 だからこそ、子供たちがある程度柔軟に関係性を構築出来るような環境整備や関係性の見直しなどを行っていく必要があると思う。


 例えば、子供たちに必修授業(現在の学習指導要領に準拠した科目)と選択授業(動画配信、起業、芸能活動、農業、プロ選手など将来のキャリアを見据えた学習科目)を用意して、子供たちに広い視野を育ませる事が大切だと思う。そして、子供たちの個性をどのように社会に生かしていくべきなのかを明確にしていくことで子供たちが教育課程を上がっていってもブレない軸を作ることが出来ると思うし、仮に子供たちが挫折しそうになってもきちんとフォロー体制を整えることで子供たちが自信を持って夢や目標に向かって進んでいけると思っている。


 これは子供たちの家庭環境や経済格差などに関係なく、夢を叶えた人とのつながりが子供たちの学習意欲や夢の実現や達成に向けたプランニングをするためにも同じ夢で成功した人との関わりが重要であることは言うまでもないし、そういう人たちから直接アドバイスをもらえる環境を整備することが必要な夢もあり、幼少期から注目されている人だけがその夢を追う権利があるわけではないと私は思っている。


 今の日本において、“夢を追うことの大切さ”よりも“現実を見ることの大切さ”の方が重要視されていて、注目されている人ではない人が活躍すると“ジョーカー”や“ブラックホース”など偶然優勝したような印象を与えるような報道をされることがある。


 こういう伝え方をされると注目されている人との熱量の差を痛感することが多い。これも言ってしまうと“期待値”の差だろう。多くのプロ選手は幼少期から注目されているか、その選手を指導しているコーチや監督の知名度なども積算されて期待されることが多い。


 そのため、誰かの期待を背負っている人だけがその道を作ることが一般論という風潮が定着してしまい、きちんと努力している人やその夢に向かって頑張っている人を挫折しやすくしてしまうことが多くなっている。


 これらの問題をどのように解決することが重要か?私は“どういう人であっても夢を叶えられる。だから、挫折しそうになってもあなたなら出来る”というメッセージを強くしていく必要があると思うのだ。


 私も小さいときからいろいろな習い事をしていた。これまでもスイミングスクールに通い、ピアノを習い、公文に通い、学習塾に通い、少年野球をやり、部活をやり・・・と多岐にわたる習いごとをしてきた。しかし、最後まで上手くいった習い事は1つもない。つまり、どれも向いていないことだったのかもしれない。ただ、これらの習い事が人生に活きていた部分も少なからずある。

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