第14話:共生社会を目指すために ①

 現在はお互いに支える事が大切だと思うが、これを幼少期からきちんと学ぶことが大切だろう。


 なぜなら、幼少期というのは自分の事で精一杯になっているところに“相手を思いやりなさい”や“相手に優しくしなさい”など自分がやってほしいことを相手にしなさいと言われても本人たちは経験をしたことがない、もしくは経験していても覚えていない事が多いため、いきなり言われてもイメージを掴みにくいという印象なのだろう。そして、そのイメージを掴めた子供たちは人に優しくするということから視野が広がっていくが、そうではない子供たちはいじめなどやってはいけないことを引き起こす可能性を持っている。


 私はいじめに関しては反対だが、いじめを起こす子供たちの生い立ちや背景を理解し、そこに至るまでのプロセスで何らかの気付きを与えることでこのような問題を引き起こすことは少なくなると思っている。


 私自身もいじめを経験したことがあるが、自分はかなり特殊な状態になっていることが多かった。


 私が経験したことの1つに“派閥型いじめ”といういわゆる価値観の違うグループ同士がお互いに潰し合いをするというもので、お互いの価値観の正当性を主張していじめに発展したのだ。これは今の時代にもあるのかは分からないが、どこか誹謗中傷に似たようなニュアンスであり、その人だけを対象にした発言と全体を対象にした発言とがある。ただ、私自身はまだデジタル化が進んでいない時代であり、現代のようにデジタルでのいじめが進んでいる事はなかった。


 このように時代的背景によって変わってきている部分もあるが、変わらない部分も多数存在している。


 このような状況を改善するチャンスはこれまでも何度もあったが、それらのチャンスを逃してきた。その背景にあるのが、いじめなどの発生事例に対する認識不足と問題に対する問題認識の低下が挙げられる。


 この2つは私が子供の頃から感じていた違和感で、この部分が変わらないと共生社会は作ることが出来ないと思っている。


 特に日本の場合は自分の得を考える方が多く、自分が損をしてでも育てようという認識がないだけでなく、この認識が幼少期から個別の環境下におかれてきたことで“自分が納得しないことは誰かを蹴落としてでも貫き通すことで実現できる”という価値観が生まれてしまう。その価値観が学年上がっても、年齢が上がってもそのままの価値観を残したまま成長してしまうため、なかなか好転しないのだろう。


そして、子供たちがいじめをしたとしても犯罪に問われない事も多く、いじめに対する法律も存在はしているが、適用範囲が限定的で適用年齢も高校生以上に適用されるケースが多く、中学生以下には少年法や補導などと犯罪に問えないもしくは将来性を鑑みて猶予を与える意味で判断される事も多い。


 まず、こういう部分をきちんと見直していかないといけないと思うし、これらの要因が子供の自殺や精神疾患の罹患長期化を生むことになることを認識した児童・生徒指導を検討することが重要だろう。


 そして、今の日本には“いじめを相談するとエスカレートする”という風潮が以前から恒久化し、これらの認識から形成された価値観が年数経過によって次第に定常化していっており、この意識をどうやって変えるか、そのような意識が生まれる背景に何があるのか?を考えていかないといけない。


 そして、いじめをすることが当たり前になってしまうとこれらの認識を変えることは難しく、変えるためにはかなりの時間が掛かってしまうことも多い。


 特にこども園など精神発達が途上の集団生活におけるいじめの発生も顕著になっており、幼少期から誰かに対して暴力行為等を用いて力関係を築いてしまう事も懸念されているため、いじめの発生に対する問題認識をもっと高く持たなくてはいけない。


 そして、私が懸念するのが学年内におけるパワーバランスの構図が出来てしまうことだ。例えば、Aさんは学年委員長の子供だから言うことを聞かないと大変なことになると思った親が「Aさんにいじわるをしてはいけないよ。」などと言われた時に子供たち(特に小学校低学年)にとっては「なぜ、いじわるをしてはいけないのか?」という疑問が生まれる。しかし、その事を親に聞ける状態ではないもしくは説明されても理解出来ない事の方が多いのは周知の事実だろう。

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