第8話:幼少期の教育環境格差 ③

これが“日本における被害者救済の難しい点”として表される部分だろう。


 まず、これらの問題に対して法改正を含めた早期対応が出来る体制を整え、近所の人からプライバシーを優先して情報を集め、怪しい場合には身辺調査や張り込みなどを行いながら実態を掴む必要があると思う。


 そして、こういう家庭の傾向として子供たちがやりたいことではなく、親がやらせたいと思う事をやらせる傾向がある。


 これは、私の私見だが、自分が出会った人の中で幼少期からやりたいことを好きなだけやらせてもらえた人の家庭では虐待などの経験を語る人は少なく、親の意思決定を優先されていた人は軽度の虐待の疑いを持つことも少なくなかった。


 これらの分析から分かることは“子供の意思決定をきちんと尊重できる家庭ほど子供たちが柔軟な発想になり、自分の可能性を探究しやすくなるということだ。


 こういう子供たちが増えるように何らかの救済方法を整備しないと深刻な状況になってしまった子供たちは救えない。特に,現在は週単位で家庭環境が変化することもあるほど深刻になっているため、これらの事象が刻一刻と変わっている状態が顕著になり、家庭によっては児童虐待の可能性のある事例も多数報告されている。これらの要因として現在の社会情勢を鑑みて“良い大学に入って、安定する職業に就きなさい”という考えが再燃していて、そこに対する親の価値観と子の価値観のズレが発生し、親が無理矢理でも子供を自分の考え方に従わせようとする傾向があるからだ。


 そして、子供たちも親の期待に応えなくてはいけないという心理が働くため、ちょっとでも良い成績が取れないとパニックになってしまうということが傾向としてあるのだ。


 これは、私自身が受験をするときに感じた事だが、中学校受験の時は自分で行きたい学校を選んで進学したが、次第に“軌道修正が必要なのか”、“もっと良い学校に行かなくてはいけないのだろうか?”という疑問や不安がつきまとっていた。


実は私の同級生はほとんどが高校以降は進学校や難関校に進学していて、将来的には就職などを考えたときにそこまで難しくないだろうと思っていた。


 しかし、大学進学などの際には感じなかった壁を大学生活が進むにつれてじわじわと感じている人もいた。


 そういう人の中には“この大学を卒業すると明るい未来が待っている”や“個々の大学だから安泰”という考えの人も多い。もちろん、良い大学を出ると就職の幅も増えていくし、社会的信用度や社会的認知度にも良い影響を与える。


 しかし、全員が全員そういう道を歩めるわけではなく、子供によってスタートラインは違っている。


 そのため、親が望む子供にならない事の方が多いことを念頭に置いて考える事が必要なのかもしれない。


 ただ、教育的価値観は代々、親から子へ引き継がれていく。そのため、お母さんが良い大学に行っていると必然的に子供も同じ道を進ませようとする。しかし、子供たちは“自分はこうしたい”と思っていることが多く、そのためにどうするべきかをすでに考えている場合もある。だからこそ、子供たちの意思決定を尊重することが出来るような環境を整備し、可能な限り子供たちの意思決定を実現させていくために動く必要があるのだ。


 そして、両親や子供自身の周囲の人間関係や交友関係でも親が進路を決めてしまう、本人が“ここに行かなくてはいけない”という過剰な思い込みや使命感を持ってしまうと子供の心的バランスや少しの挫折が将来的な意思決定などに影響してくることが個人差はあるものの、将来的には避けられない事態に発展する因子を持っている事は言うまでもない。


 そのため、自分で意思決定をして、そこに向かって動いている子供は親が支えて、経過を見守ることで夢に向かって何が大事かを見つけていくことが出来るが、親が先導して子供たちに理想や方針を押しつけていると子供たちはどんどん追い詰められていき、次第に両親や先生など大人の顔色を確認し始める。すると、子供の個性が消えていき、次第に他者尊重型の意思決定が行われることになる。すると、自分の意思とは真逆の決定を尊重する形になるため、子供にとっては「自分は○○を喜ばせるために生きている」というかなりいびつな感情に中で生きていくことになる。そして、家庭によっては“良い成績を取らないと子供として認めない”や“ここに入らないと縁を切る”のように子供たちを脅して、自分たちの都合の良い子供を育ててしまうことが多いのだ。

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