第7話:幼少期の教育環境格差 ②

これらの思考が生まれる背景には“自分よりも立場の低い人に対して何を言っても良い”・“自分よりも年下だから・”自分と同い年だから何をしてもいい”という考え方が生まれてしまう可能性があるのだ。


 それらの考え方がそのまま本人の人格形成につながり、そこから第三者に対して同じ事を模倣して、負の連鎖を作り上げてしまうことでこれらの行為は正当化されてしまう。それらが代々定常化していくことで、一般的には恒久化として捉えられるべき問題が次第に一般基準になっていき、これらの問題を考える上で“これは正しい”という認識が広がってしまうとこれらに付随する悩みや相談が出来なくなっていく。


 これは児童前期(小学1年生から3年生程度)における最重要解決課題として挙げられる問題だと思っている。


 なぜなら、年齢が低い子供たちの方がこれらの問題を受けた際の精神的ダメージが大きくなる事も多く、こういう行為が精神発達に大きく影響していくのだ。


 特に、兄弟がいない子や年が離れている兄弟・姉妹がいる子にとっては母親の愛情のバランスが子供の精神発達に大きな影響を与えることが分かっており、同時に父親がいる子供といない子供でもかなり分かれてくる。もちろん、小学生になった途端に親離れをする事が出来る子も多いが、このような子供はごくわずかだ。しかしながら、小学校3年生までに人格形成の約4割程度(個人的見解)は形成が完了すると言われており、これらの人格形成には基礎的な部分、精神的な部分が大半を占めている。つまり、この時点でどれくらいの教育が受けられているかで子供たちの経験値がある程度決まっていき、その経験値の中だけで生きていかなくてはいけない。そのため、子供たちの受けられる教育限度が低くなると、子供たちの視野が狭くなり、学習意欲や興味・関心にも大きな影響をもたらすことになる。


そして、裕福な家に生まれた子供とそうではない一般家庭に生まれた子では後者の方があとからの問題が次第に大きくなっていく。なぜなら前者はどのような習いごとであってもやらせてもらえることが多いだろうが、後者は自由に習い事をさせてもらえる状況にない場合が多い。そして、今は当たり前のようにスマホを持っている子やブランドの服などを着ている子が多いが、こういう小さな部分であっても教育格差や経済格差に直結していく。


 この問題を一部の人しか問題視しておらず、このままでは子供たちの価値観が上手く形成できない可能性や、他者比較をするようになってしまうなどかなり子供たちの精神発達面での影響が大きくなる。


 ここで1番起きて欲しくないのは“うちはお金がないからこういうものは買えないの”などの我慢を強いる言葉を子供にかけることだ。これは、科学的なデータや根拠は示されていないが、親から怒鳴られる、暴言を吐かれるなど自分を追い詰められるようになると子供の場合は脳が萎縮してしまうということを言われている。つまり、幼少期から縛られて過ごしていた子供たちにとって“○○することは出来ない”のように制限される、我慢を強いられるなどした場合に判断力や行動力が下がってしまうのだ。


 次に“幼少期から親を含めた周囲から虐待や暴力を受けて来た子”だ。これは私の分析の中では最も気を付けなくてはいけないケースの1つで、精神的にも心理的にも発達不十分の可能性があり、普段からネガティブな言葉や集団からの孤立など自分の存在に気付かれないようにその日を生きている子が多い。


 そして、周囲から遊びに誘われても断る子が多い。この理由として推測されるのが“お父さんにバレてしまって怒られたらどうしよう”・“お母さんにバレてしまって、怒られたらどうしよう”という心理が働くこともある。


 つまり、子供たちは自分の行動を自分で決定し、行動する事が出来ないことも多く、“親が・・・”という親の顔色や言動を気にする子供も多い。


 そのため、周囲が早期に異変に気付き、その子に向き合って違う視点を見せることも子供たちが深く追い詰められる事を避けることに繋がるし、子供たちが助けを求められる場所を確保することで子供たちの心にブレーキが掛かりやすくなり、時間は掛かるが子供たちが自分の考えを持って良いという発想が芽生えてくる。


 今は虐待や暴力などが表に見えないことが多く、よほど関係が親密にならない限り予兆を掴むことが難しい。そして、仮に親密であっても関わる時間が長くないと判断する事は出来ない。

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