第3話:なぜ、子供に投資しないのか? ①

 海外では富豪などがコミュニティサービスなどに対して寄付や援助などを頻繁に行っている。しかし、日本ではそこまで行っている人は多くない。そして、お金を持っている人は寄付をすることはあっても公表しないで欲しいと先方に伝えている場合も多い。このように日本におけるドネーション(寄付)文化が進まないのにはある理由があると考えている。


 まず第1に“自分で稼いだお金は自分で使う”という独占欲から来る心理だ。


 これは、以前から言われているが、社会的風潮として“お金持ちならブランド物と高級車と豪邸”のように社会的にすでに固定概念化している先入観がこのような状況を生んでいるのではないだろうか?


 そして、自分が稼いだお金だから自分の好きなことに使いたいという人も多いのが事実だ。


 私はこの考え方は人それぞれであることから否定をすることはしない。ただ、子供たちの能力や才能に対してきちんと支援をする仕組みを作らないとせっかく素敵な才能を持っている子供がいても力を発揮できないし、能力を活かせないことで潰れてしまうこともある。そういう子供たちを潰してしまうと、再びその才能が輝くためにはかなりの学力的てこ入れや個性を生かすための環境整備などが必要になり、これにも多額のお金が必要になる。このように人を育てるためには多額のお金が必要になり、学歴を手に入れるにしても“学費”という対価を払わないと手に入れることは出来ない。


 つまり、この社会において何をするにも“お金”が付いて回り、経済的な部分がネックになるケースも多い。そのため、お金がある家庭では学校教育以外に塾や習い事など公教育での上積みが可能となる。しかし、経済的に困窮もしくは貧困家庭にとってはこれらのことを子供たちにする事は出来ないケースが多く、社会人になった時にこのような格差による差別が起きているケースも確認されている。このような事態を少しでも減らす意味でも何らかの対策や教育策を練らないと、仮に有能な才能を持った子供を見つけて、後者だった場合に何もしないと手元からすり抜けて落ちていってしまい、せっかく持って生まれた才能を活かせないという可能性もあるのだ。


 これらを解消するためにも何らかのシステムを構築する必要があると思う。例えば、“事業提携型教育”など企業と子供たちを繋げて、子供たちが自分のやりたいことをするにはどうするべきなのか?を学ぶことが出来て、その方向性に向かって適切な行動を教えることで、子供たちが描いているイメージを現実化する支えになり、キャリア教育の一環としても一定の効果が得られると思う。


そして、企業側が先行投資する形でその子に投資をして、時間をかけて育てていくというシステムも1つの教育格差是正のための解決法だろう。


 その他にも子供たちから大手企業などにプレゼンテーションの機会を与えて、自分たちのアイディアや構想を話し、そのアイディアや構想を企業と一緒に作っていくという教育カリキュラムも今後はデジタル化が進むなら実行していくべきだろう。なぜなら、幼少期からいろいろな事を考えたとしても実行する場所が多くないだけでなく、子供たちによっては発言機会の多少が顕著になっている場合もある。


 そのため、子供たちが考えている事を表に出すためにも、子供たち全員に個々のアイディアを考えさせて、文部科学省から依頼された企業側にプレゼンテーションさせることで、双方にメリットが生まれる。子供側には“自分の話を聞いてくれている”という安心感が生まれる。そして、その意見を褒められると子供たちの自信に繋がり、今後の成長過程における自己肯定感の向上や創造意欲の向上、知的興味・関心に繋がっていくのだ。そして、企業側にも“子供たちはこういうアイディアを持っていて、こういう商品を作って欲しいのか”という企業側が見えなかった子供たちの視点を取り入れることでカスタマー・マーケティングの視点からも活用出来るデータがたくさん集まっていく。


このように幼少期から積極的に外部との交流を増やし、自分の意見を積極的に相手に発信する機会を増やしていくことで、子供たちの教育格差を是正し、彼らの置かれている環境以外を見せる意味でも必要な事だと思うし、これを実現させることが出来ると、子供たちが自分たちの意見を能力の有無に関係なく、社会に発信することが出来るため、お互いにWin-Winの関係になれると思う。


 そして、これは子供たちだけでなく、大人であっても同じである。現代の日本における労働観や価値観がかなり多様化して言っている一方で、このような人たちは邪険にされることや除外されることも多い。そして、このような人たちを利用して稼ごうとする人もいる。


せっかく良い感性を持っている人はたくさんいるし、その人の意見が業界を改革してしまうようなすごい製品や発想に化けることもある。しかし、日本において判断する部分として“学歴・経歴”・“実績“・”容姿“・生い立ち”など個人の能力や体験・経験の部分で自分たちにメリットがないとそのような人がいたとしても見向きはしない。


 つまり、誰でも上に立つと、自分の会社の利益や業務効率など自分軸で物事を考えてしまうのが人間の性なのだろうが、そういう考えでいると、今度は後継が育たなくなる、人材不足が露呈するなど会社にとって負の側面が増えていってしまう。


 そして、現在は減少傾向にあると言われている“アカデミック・ハラスメント”などもそうだが、高学歴≠良い人材という認識を持たないと多様性を持たせた企業戦略は確立されないし、場合によっては、同じ空気を吸いすぎて、息苦しくなってしまう人もいる。その結果、会社に必要な人材が他者にヘッドハンティングされる、転職してしまうというケースも少なくない。


 私はヘッドハンティングを受けるも受けないも、転職をするのもしないのも個人の自由であると思っているので、個人の意思を尊重するべきだと思うが、ごくまれに「いまの給料の2倍出すから残留してくれ!」と転職が決まった社員を引き留めようとする人もいる。


 これは、教育段階でも同じ事が言えるが、自分のメリットになる人や事柄に対して固執する人が多く、例えば、“頭の良い子がたくさん居たならその中でも成績上位の子の担任をしたい”と思う人が多いのもその子が良い成績を取ってくれる、受験して良い学校に行ってくれると自分の評価が上がるという自己利益を求める傾向が強い。そのため、特定の子をひいきする人や出来る子とそうではない子で扱いや対応が違う人が生まれるのだ。

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