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別邸に帰宅した夜のこと。
誰かが訪ねて来たような気がしたけれど、なんとなく嫌な感じがして居留守をする…そんな夢を見た。
朝、目が覚めてから『あれはもしかしてベイルードがまた夢に入って来ようとしたのかも?』と思ったけれど、きっと意識しすぎて変な夢を見たのだろう、と結論づけた。嫌な予感がすると口にした時ほど、嫌なことがおこる、あの現象。
もし仮に、本当にベイルードが夢への侵入を試みていて、それに失敗したのだとしたら…何をネチネチ言われるか!想像するだに怖い。絶対に単なる気にしすぎの夢でありますように!!
せっかくの新学期なんだから!と、無理矢理に気分を変えて朝食の席に着く。
公爵はもう出勤したらしい。彼こそ、この世界のブラック社畜だと本当に思う。
会社じゃないから…城畜?語呂が悪いな。
体を壊す前に勤務状況を見直さないと、王国が誇る宰相公爵が過労死なんてシャレにならない…。
それも、これも…成人して国王の補佐をすべき王子が今の所、声が大きいだけの自称『王太子』の
本来なら成人した王族や、未成年でも立太子した王子は国王の補佐をすべく政務に着くのがこの国の王族としての役目だっだ。
しかし、第1王子があまりにも政治向きな性格でもオツムでもないので、役職を与えてはいるが政治的な重要度のない立場に置いてお茶を濁している。
肩書きだけはやたら豪華にしたので本人は満足しているが、派閥の人間は不服なので物申しも多い。
おかげで、まだ未成年な上に立太子もしていない…候補でしかない第2、3王子に仕事を振るはめになっていて、それでも手が足りず頭が足りずにパンク寸前だ。
これでよくこの国が運営できてるか不思議でならない。
あんな、友人に友情以上の感情抱いてるうえに、女に節操なしなオッサンだけど政治力は抜群に高いのだろう。
だからと言って、ゴールの見えない耐久レースがしんどいから、強固な後ろ盾のある嫁をもらった王太子と言う戦力欲しさに『
申し訳ないけれど、その目論見には乗れませんので!!
いずれ
真面目な学園…ではなく、ゲームの仕様上で夏休み明けの初日から授業だ。
公爵夫人による『お嬢さま教育のおさらい』のおかげで、初日の授業から教授たちにお褒めいたただきありがたいことですが…それよりも、ヒロインを!彼女の努力をもっと褒めてあげて欲しい!!
恐らく夏休み中に、宿題や生活費のためのダンジョン探索の合間に必死に練習したであろうマナーや教養の数々。
平民出身で、1学期には死の淵にすらいた彼女の完璧な『お嬢さま仕草』をもっともっと褒め称えてあげて!!
そりゃ、クラスの大半が貴族令嬢なので突出しては見えないだろうけれど…たったの数ヶ月でそんな群れの中にいても遜色なく見えるのって、実は凄いんだから!!
出来て当たり前って感じの空気だけど、あとで…また放課後かな?目一杯褒めよう。
そう、決めて彼女の努力に1人賞賛をしていた姿を、実は見られていたなんて毛ほども思わなかった。
と、言うか…失念してた。
あまりにも
同じクラスに、第2王子のスパイにして死に戻り経験者の…第3王子の護衛騎士、ダスティンの存在を。
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