ホールケーキを焼いたホームは何人家族?
かるめら
第1話血の繋がりとは真に色濃く関係を築くのか。
あっちのケーキはいちごが大きい
そっちのケーキはクリームが美味しそう。
隣の芝を見て自分と比較する。
その行為に果たして意味も価値もあるのか。
包丁で均等に隔てられたケーキも関係も、同じものでも誰かから見たら別のもの。
世間体というショーケースに並べられたホールケーキは切り削られて身をすり減らすけれども、無下に廃棄される想いのない非常識な彼らに善意はあるのか。
悪意があるからケーキを切るではなかろうか。
罪悪感があるからケーキを比較するのではないだろうか。
善意があるのであれば初めからケーキをたくさん作らないだろう。
そうでなければ、自分の身に余るケーキを作って、腐り落ちて残るは腐敗臭。
ケーキは見た目は飾り立てられるものだけれど、それ以前に人の手でケーキは構成されていくのだ。
スポンジという身体を作り、ホイップクリームの服を着て、デコレーションされた毛髪を持ち、デザイン通りに顔を造形して。
そうして出来上がるハッピーバースデー。
こうして生まれたケーキが手元に渡った時から、ケーキが美味しく食べれらるか、ケーキが残され冷たくなるのか決まっていくのだ。
残ったケーキがゴミになるなら、それは色などつかずに血もつながらなかったという悲しい食べ残しである。
ホールケーキを焼いたホームは何人家族? かるめら @carumera
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