14 お姉ちゃん

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ…

シンプルとしか言いようのない、目覚まし時計の音が私を起こす。

「6時半か…そろそろ起きるか。」

懸命に鳴っている音を止めて、上半身を起こす。

窓から見える空は、はっきりとしているのにどこか優しげな青空を見せていた。


「あっ、葵。おっはよ〜」

「お姉ちゃん!おはよー」

リビングに入るとすぐにお姉ちゃんが声をかけてくれた。

「今日、早いじゃん。悪い夢でも見た?」

「違うよー、ちゃんと目覚まし時計セットして起きたの」

「なるほど!理解、理解」

そんな他愛のない会話をしながら、椅子に座る。

リビングに広がる甘い香りをバックにしながら、お茶を飲んでると、お姉ちゃんが私の前にお皿を置いてくれた。

「はい、どうぞ」

「わーっ、オムライスだ!ねぇ、お姉ちゃん、ケチャップは?」

「冷蔵庫」

「ケチ」

なんてことを言いながら、私は冷蔵庫からケチャップを取り出す。

黄色い表面に赤が映えて、オムライスが余計に輝いた。


「いっただっきま〜す」

やっぱ、オムライスは美味しいな〜と思いながら夢中で食べてると、

「相変わらず、葵はオムライス好きだね〜」

隣で同じくオムライスを食べながら、嬉しそうにお姉ちゃんは、呟く。

「だって、美味しいんだもん!」

「ふふっ、そっか」

そのまま雑談しながら、二人とも10分でオムライスを食べ終えた。



「じゃあ、葵。学校行ってくるね」

家から少し遠い高校に通ってるお姉ちゃんは、7時過ぎぐらいに家を出る。

「いってらっしゃ〜い」

ちょっと寂しかったけど笑顔で手をふった。


お姉ちゃんの笑顔が眩く輝いていた。

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別室登校の俺がこの教室であの子と出会ってから Shizukuシーちゃん @sizukul

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