12 優しい味

「ありがとうございました。」

美味しそうなお昼ご飯の弁当を覗きながら、帰り道を歩く。

今日は、楽しかったな~

同じ小学校の人もいなかったし、みんな優しかった。

海兄ちゃんは、常にテンション高くて、みんなを盛り上げてくれたし、

一輝と和也は、休み時間の度に来てくれて、分からないことも教えてくれたし、一人にならないように一緒にいてくれた。

やっぱ行って良かったな、フリールーム。

「明日も待ってるよ。」

そう言ってくれた、みんなの優しい声は、

私の宝物。


「ただいまー」

誰もいない部屋の電気を付け、弁当をあっためる。

いつもと変わらないことをしているのに、何か違う気がする。

 全てが新鮮で、初めて何かをするようなあの感じがする。

 

 適当にテレビを付けて食べた弁当は優しい味がした。

 みんなで一緒に食べているみたいだった。

 一人で食べてた昨日までの寂しい味の弁当とは、全く違った。


「一人の僕を救ってくれたのは、新しい仲間クラスメイトでした。」

 ふと、聞こえた声に振り返ると、

 テレビにでてる少年が、とっても幸せそうに笑ってた。


 今日出会ったみんなは、

私の新しい仲間クラスメイトなんだ。

あの頃と違う新しい仲間…

「明日も行こっと!」

あのときの不安とは大違いの決意だった。

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