第5話 科学哲学:「魔法」という語は「禁則事項です」
「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」(コピーライト・クラーク卿)
数は少ないながら、学窮都市アラタには禁則事項指定タームがあります。その一つが「魔法」。アトラにおいて、学齢期以降の人間は、「魔法」という語は、原則として口にしてはならない「禁則事項」のタームとされています。
公認された例外の一つは、太古にコピーライト・クラーク卿なる人物が魔法を定義したという「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」との格言です。
学窮都市アトラの貴族院では初等科1年生の理科の授業で、「科学技術の定義と意義」を学んだ後に、この格言を学びます。(なお、禁則事項の管理者は、科学哲学者とされています。アトラにおいて、科学哲学は物理学の一分野とされているたた、科学哲学タームは全て物理学タームでもあります。)
アトラの貴族階級の人々の多くが、この格言を守ることのありがたさを知るのは、彼らが異能を探求するようになってから。探求の過程で各自が呟く戦略的厨二タームの詠唱において、周囲から「あれ……(魔法)っぽい。」と囁かれることはかなり恥ずかしいことなのですから。
アトラにおいては、異能の詠唱文言の社会的評価基準はどこまで科学らしいかどうか。「あれ……っぽい」と囁かれるダメの詠唱の例を一つだけ挙げておきます。
「アルマゲドン・イビル」 (あれ……っポイわよ、ね)
対応する、より科学らしい詠唱の例は
「時空の彼方、無限次元の審判兵装者の乱舞」 (あら、なんて読むのかしら?)
この科学詠唱を戦略的厨二のターム体系において、なんと読むかは……皆さんへの演習問題としておきましょう。
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