8章 溶けたチョコレート
とりあえずは、日常に戻った、……のだろう。クラスでは、空白を抱えながらも、一日を終える。だから、相良さんは、阿久津先輩の妹ではないし、もちろんだが、俺の彼女でもない。
健も話しかけてくれ、居場所を作ってくれた親友だった。変わらない関係性。変わらないでいてくれた関係性。俺は知らなかったが。それは奇跡や偶然と呼ばれるものに過ぎなかったのだ。
本来は、いやになれば自然に切れ、一時の感情によって、簡単に変わってしまうため、互いに、労力や嘘を巧みに使って守るものだったのだ。どこにも、憧れていた美しい関係などなかったのだ。
無知な俺は冷たい机(もちろんだが自分の席だ)にほほをつけいつも通りを心掛けていた。両手を自分の太ももに挟み。懐かしい時間を過ごす。教室には、クーンと、ようやく、暖房が起動し始め、機械音が静かに唸る。
十分後、教室の扉が開かれ、外気で冷やされた空気をまとい、人が入ってくる。見て確認はしてないが、誰かわかる。
相良さんは自分の机に鞄を置き、椅子を、音を立てて引き座る。体が痛むほど心臓が波打つ。それはあまりに久しぶりで、せっかくついていた抗体が、忘れ去られてしまったからだ。
加えて理由があるなら彼女の座った席が、健の席で、そして絶対こっちを見ていることぐらいか。
俺はより強く瞼を、閉じる。今相良さんの見ている世界を想像しても、何を見ているのかわからない。
「……やめてください」
小さく口に出してみる。
「寝ててよ」
「だったら、見てこないで」まだ目を閉じて、最後の抵抗を試みる。
ふいに体に体重がかかる。
相良さんは、俺を椅子から半分ほど追い出し、背中を向けて同じ椅子に座る。あほな高校生カップルがしてそうな放課後の一場面に似たものが実際に起こり、背中には嫌な汗がつたう。
相良さんは、俺の背中に体重をかけて背もたれ扱いにしていた。
「あのね私、」
体が密着していることで、彼女の体から伝わる圧倒的な情報量に呑まれて、声はどこか遠く聞こえる。──こんな時まで、と言われるかもしれないが、これは男のサガだから許してほしい。
「あのさ。前言った約束──もう終わりでいいや。ありがとね、変なことにつき合ってくれて……」
「……それは……なんでかは訊かないほうが良い奴?」
「寝言かな? ふふ。んっとね、……振られちゃったから」
「…………」
「都合良いね。まぁ、別に、直哉君が気にすることじゃないけどさぁ。それにしても無視はひどくない?」
俺はしょうがないからうなずいてみた。体の動きで相良さんも分かってくれるだろう。ほんとなら、事の詳細いついて訊きたかったが、彼女はそれを望んでいないように思えた。それに、振られた女子を慰めるなんて出来るとも思えなかった。
「直哉君は、誰かに告白したことある?」
「ないけど」
だから、彼女に素直に答え続ける。どうせ、彼女に何を言いふらされても、それ以上のことをしでかしてしまっている。一つや二つ増えたところで変わらない。
「そりゃそうか。だったら、」
「ことわる」
「もう! 私ってそれなりにもてるんだよ」
「それだったら俺も、それなりに嫌われてる。多分、相良さんが好かれている人の数以上に」
「たしかに!」今までの落ち込み具合が嘘みたいな、元気な肯定をされる。
そろそろいいか。
「……それじゃあ。協力関係ももう終わりにしようか」
「そう。これからは普通の友達」
友達。クラスメイトの一人にしかならないと思っていたから、嬉しいことだった。
「それじゃあ、デートしよう」
「いや、いや、文脈が全然つながらないよ。それに普通の友達はデートなんてしないと思う」
「んー。流れでオッケーしてくれると思ったんだけどなー。
えっとね、だからこれからするのはお礼なの。これは、直哉君がこれまで手伝ってくれたことに対する感謝だよ。だからあんまり期待しないでね」
俺はしばらく考える。もしここで断れば、相良さんはどうにかして、お礼をしようとするだろう。それは学校内で保存され、校外に出れば忘れてしまう。つまり、ずっと悩ましてしまうかもしれない。だったら今校内で行える、お礼を受けるべきだ。
「──わかった。人が来ないうちに終わらせよう」
「もう! なんでしぶしぶなの!」
俺が立つと、相良さんは椅子から、ずれ落ちそうになる。
「そんなこと言えないようにしてやる」
「いっッ」手をつねるように、つかまれると、腕をホールドされ動かせない。そして指先を、指の間に絡ませる。
「デートっぽいでしょ」
「これじゃあ、本当のカップルみたいになってしまう……っていうか、もう期待以上だよ」
どうやら、相良さんの言う、デートの意味をはき違えていたみたいだ。仲良くなるために遊ぶみたいなニュアンスだと思っていた。それこそ、友達の境界線を引くために。
「いいでしょ。人がいないんだから」
俺が体を離そうと相良さんの腕をはがそうとすると、俺の腕に頭をつけて、「……お願い」と小さい声で囁く。
普段はこんなことをしても、冗談で済ましてくれるが、相良さんは、なにも言ってくれない。──何のためにこんな意味のないことをしているのか俺にはわからなかった。
「少し、歩くだけだから」
もう一度、「お願い」と呟く。
──俺はこの意味のないことに付き合う。偉そうかもしれないが。でも、それは相良さんの気持ちがここにはない気がしてたから、俺は、少しイラついていたのかもしれない。
廊下に出ると、この時期らしくすぐに体は冷える。握られていた、手を除いては。
相良さんは学校に来た時のままだったので、コートにマフラーと、完璧装備だったので、何ともないらしく、ドラマで見る、恋する女の子のような笑顔で隣を歩く。
少し歩くと、「寒い?」と訊かれるので、「少し」と答えると、巻いていた、マフラーをほどき、俺の首に巻く。それは、まだ、人の体温の残った、生きている暖かさだった。
「変なこと考えてもいいよ」
「考えないよ」
「どうかな。直哉君って、こんなことでも妄想しそうだけどなあ」
なんてイメージを持たれているんだ。しかし、再び手を握りなおされたことで、文句を言う、切っ掛けを奪われる。
「なんかこういうの新鮮」
「俺は心配だよ。……後から殴られないか」
「それは阿久津先輩?」小声で言ったつもりだったが、こんな距離で、聞こえないわけがなかった。
「直哉君変わったよね。それはやっぱりあの先輩のせい?」
「……うん」同意でも否定でもない、返事。──それが、この場で最も悪手だった。
手をつないでいたため感情が直接的に伝わってしまったせいもある。
「直哉君は何であんな人と仲良くしてるの?」
なんでって言われてもそんなの
「俺は、……阿久津先輩を知っている。相良さん以上に。だから、」
「…………私は、直哉君にあいつと仲良くしてほしくない」
突然だった。相良さんは立ち止まる。その反動のせいでおれの腕を引っ張られる。相良さんは、二人の体温で温かくなった手をほどくと、真正面に行く手を阻むように回り込む。
「私の気持ちはどうだっていいの!」
「ちょ、落ち着いてよ」何とかこの場を収めようとするが、次の言葉で、もう手遅れだと悟った。
「わたし、わたしぃ、好きだったんだよ! なんでこんなことになるの。ずっと我慢していたのに。なんで、……なんでなの!」
相良さんは鼻声になり、たどたどしく言う。そして、俺の胸の中に頭だけを付けで、嗚咽を漏らし、涙を流し始める。俺はその感情の嵐に触れることすらできない──
「マジで今日寒いなー」「こんな日に朝練とか萎えるわー」
まずい。階段から、話し声が聞こえ慌てる。朝部活に、来る人たちが、登校してきたのだ。相良さんは自分の声で聞こえていないのかそのままの体勢を崩さない。
触れている部分が熱い。それでもこのままでは、相良さんの学校生活すらも終わってしまう。
俺は彼女の両肩をつかみ、無理やり離すと、その代わりに手をつかむ。
「なにすんのッ!」
そういって振り払われる。さっきは自分から手を握ってきたくせにめちゃくちゃだ。俺は再度冷たくなった、相良さんの手を握り、
「二人っきりになる」
「えっ」
驚き固まった相良さんの体は、軽い抵抗ですむ。途中からは、自分の足でついてくれるが、俺は手を離さなかった。
教室の前まで来ると、「ちょっと待ってて」と、扉の前で止まる。相良さんは赤く腫らした目を背け軽くうなずく。
「岬先輩、ちょっと部室借りていいですか?」
すでに起きていた先輩は、いつものラフな格好で、座ってコーヒーを飲んでいた。
「直哉君が、女の子を連れ込むとはね。それにしても、そんなに、息を荒くしてどうしたんだい。それに、僕を追い出すなんて、……まさか、ここでセックスする気?」
いや、聞こえる聞こえる!
「するわけないじゃないですか!」
「えー。それじゃあ、こんな格好の先輩を追い出すんだね。ぐすん、ぐすん」
「それは謝りますけど、もう少し普段の格好は考えてください」
「まあいい、かわいい後輩の頼みだからね。出ていくよ」
そういうと、制服を着始める。そして、教室を出る。
「待たせてごめん」「う、うん」
廊下からは、「寒いよう」なんて声が聞こえてきたが無視して、心の中でもう一度謝る。
教室は適度な温かさを保っていた。俺は、近くの椅子に座り、相良さんにも手ぶりで近くの椅子を勧める。
「……直哉君はこっちのほうが良いでしょ」
そういうと、さっきの教室と同じ格好になる。かなりの窮屈さを感じるがそれでも、相良さんの体の心地よさを選ぶ。
俺は相良さんが話し出すのを待っていたが、なかなか口を開いてくれなかった。もしかしたら俺が話さなければいけないのかなどとも思うが、結局何も浮かばず黙りこくる。
それでも、その体温を交換しているからか、気まずい沈黙ではなかった。それが一方的でないといいが。
背中にかかる重さが、増える。相良さんの呼吸が体を通じてわかる。背中が揺れ息を吸い込む。ああ、やっと言葉が発せられる。
「……好きなの」
「それは健のこと?」一応勘違いしないため。
「うん」小さくうなずく。
相良さんは、ぽつりぽつりと、告白し始める。
「健に言ったの。……直哉君のことで話があるって言って呼び出して。ごめんね、そんなことに利用して」
「いや、全然」
「そしたらね、健も私に告白しようとしてくれたんだって。へへ。なんか自分で言うの恥ずかしいな」
そう笑う、相良さんの顔はきっとかわいいのだろう。背中合わせのため、想像することしかできないが。
「だったら、どうして、振られたなんて。そんなこと起こりようがないんじゃ……」
「…………」
「ど、どうしたの?」
突然相良さんの、体が小刻みに震える。
「いや、ごめん。ごめん。なんか直哉君にこんな話してるのを改めて考えたら、なんかおかしくなって。……でも、私が勝手に思い込んでいただけなのかも」
何のことを言っているのかすぐに分かった。
「両想いなのにそれを、それを言葉にしたら、駄目になるなんてさ」
「それは、阿久津先輩のせい?」
「……知らないよ。だって健は理由言ってくれなかったもの。
でも、好きだったとだけ言ってくれた。──私だってそれだけでよかったのに。ずっとそれだけで我慢してきたのに」
「告白はしたの?」
「なに? そんなこと気になるの? まあいいけど。──してないよ。ってかそんなことさせてくれる隙もくれなかったよ。
もうさぁ、一方的。一方的に、はい終わりって感じ。ひどくない? せっかく……。せっかくだったのにさぁ……」
俺の中には、その答えともいえる考えが浮かんでいた。
しかし、それは同時に自分の友人をも否定する羽目になるほどの、凶悪さを持っていた。それに彼女に伝えるには、屈強な門番を蹴散らす必要があった。
相良さんは突然「あ」と声を出すと、
「そうだ! さっきのは冗談にしても、健を嫉妬させるために、少しの間付き合わない? まだ協力関係は続いているわけなんでしょう?」
言っている途中で、相良さんの指がわき腹に突き刺される。
──まいったな。……それは俺の何かせき止めていたものを、一突きで崩してしまうほどの力があった。
「ああ本当に相良さんは、ずるいなあ」
「そう? わたし、結構性格悪いよ──」
俺は、相良さんに触れて、椅子から立ち上がる。相良さんはそのまま椅子に自分で座る。
距離を取ったのは覚悟の時間を作るためだった。
唾を飲むとのどが低く鳴った。緊張ではない。多分これは恐怖からだ。相良さんをこれから死に近づける、人殺しにも近いことを行うことに。
俺は携帯を取り出し、通話をかける。相良さんに気づかれないように、通話状態を保ったまま、ポケットに入れる。そして、置いてあったコーヒーを一口飲みこむ。口の端からこぼれ、それが顎を伝う。
「健は相良さんのことが好きじゃない」
「う、うん? ……そんなの直哉君にわかるはずないじゃん」
その言葉には怒りが混じっていた。思わずそれに少し笑ってしまう。自分が怒られていることが妙におかしかった。だから、くすくすと、わざとらしい声で笑って見せた。むすっとした表情に変わる彼女を見てから、続ける。
「わかるよ。相良さんしか知らない健がいるように、俺しか知らない健もいる。例えば、健の親友とか」
「……なにそれ。自分のこと言ってるの?」
「違う。俺と健は友達でしょ。……え、もしかして親友なのかな」
「友達でしょ」
相良さんは、わかりやすく、いやな言い方をする。
「知っているよ。だから別の親友がいたんだ。……その親友は、んっと、その、……相良さんのことが好きだったんだ。そして、健もそれを知っていた」
「は? もしかして直哉君、私に健との関係をあきらめさせようとしてない? もしそうなっても、直哉君のこと好きになったりはしないよ」
それには答えず言葉を続ける。
「その親友は、死んだ。──そして親友の、好きの気持ちは、健の記憶として保存されたんだ。世界に既に存在した、【相良さんのことが好き】という、事象を崩さないために。だから、健の感情は、偽りの感情なんだ、……と思う」
「何言ってんの……。ふざけないでよ‼ 中二病ってやつ? それだったら本当にうざいんだけど。私の好きを馬鹿にしないでよ‼」
岬先輩が話しているのを思い出しながら話してみたが、相良さんには受け入れてもらえそうもない。しかし同時にそれは、相良さんが裏の世界の住人ではないからしょうがないとも思う。いきなりそんなことを言われても受け入れられるわけもない。
「なんで、……なんで直哉君は、そんなこと言えるの」
何の前ぶりもなく、突如泣き出すから驚いてしまう。それも二人だけの空間に自分のせいで泣いている。心臓がつぶれそうなほど、痛む。
──彼女の、鼻水をすする音、悲しみの声、それだけが、この教室に響く。
それは心を整理するための時間なのだ。だから俺をその悲しみを黙って聞いておくことしかできない。相良さんはしばらく声をあげて泣いた後、自分を傷つけた人を呼び寄せ、その目を制服で拭き、目の周りを赤くさせる。
「なんで直哉君がそんなこと言うのかわからないけど、もし、健が元から私のこと好きじゃないって、慰めようとしてくれてるんだったらお門違いだから。私の好きは、そんなことじゃ崩れない」
「わかってる……つもり。でも、俺が言ったことはすべて真実だから、どう解釈してくれてもいい」
再び沈黙が支配する。
「……気持ち悪いストーカーして、暴力も振るうし、あいつがいなければ。
なんで、直哉君もそんな人と仲良くしてんの。あんなやつ、消えればいいのに」
結局、相良さんは、阿久津先輩のせいにしたようだ。そして、それから、いくつかの言葉にして、阿久津先輩を貶した。
それが終わると、これまでの自分の恋路を語りだした。相良さんにとって、告白を受ける、される、そのどちらも初めての経験ではなかった。
「はー、ほんと最悪。もう死にたいなぁ」
やがて、しゃべり続けていた相良さんがぽしょりと呟く。それは、おそらくよくある過剰な言葉による、脅しにも似た道化な言葉として言ったのだろう。しかしこの場所。この部室には、それは明確な意味を持ち、教室の異様さに吸い込まれるように広がっていく。
「どうして?」直哉はたっぷり時間をおいて、訊く。
「ほら、私、将来したいこととかないし、好きな人には振られるし、何のために生きてるのかわかんないや。それにさ──」
全身が冷たく、気怠さに包まれていく。目の前にいる人が、変わっていくような感覚。失恋した女の子は髪を切るように、目の前の女の子が作り替えられた、別人のように思えてくる。
俺はそれをなるべく目に入らないように、相良さんがしゃべり続けている間、教室をゆっくりと観察することに意識を傾けることにした。この教室に何度も来てるはずなのに、じっくりと、この教室を観察したことはなかった。一見すると、時が止まったように、移り変わることのない景色だが、その一つ一つに目を向けると、傍にある白い望遠鏡は、誇り一つなく清潔に保たれ、机の上には、時々目にしていた、ノートが広がり、そこには、さっきまで使用されていたボールペンが転がっている。そんなものを目で追って、一本の線で結んでいると、──やっと、相良さんのおしゃべりが終わる。
「……それじゃあ戻ろうか」
気が済んだらしい。相良さんは、俺から体を離し立ち上がる。
「それにしても、意外だった、直哉君がこんな部活に入ってるなんて」
相良さんは、いまだに少しかすれる声で言いながら、不思議そうに、教室を歩く。
俺もそれの後ろをついて歩く。彼女は不思議そうに、望遠鏡を指でなでる。
「なんか結構面白そうな部活だね。私こんな部活あるなんて知らなかったよ」
「…………」
妙なイラつく気持ちが沸き起こる。それは、相良さんがある意味では侵略とも取れる行動をとっているからもあるが、
「…………⁉」
気づくと、そんな感情を行動に移していた。相良さんを後ろから腕をつかむ。
あまりにも細く、簡単に折れてしまいそうで、それなのに、その脆弱さで踏み荒らすしていたと思うと、さらなる怒りこみ上げ、
「な、なに⁉ 離してよ!」
力を弱めることができず、相良さんは、後ろの机にのけぞるような形で倒れこみ、はからずも相良さんを押し倒す態勢になってしまう。
「っな、なに? もしかして、さっき、あの先輩が言っていたことを実行する気?」
意外にも彼女から出てくる言葉は冷静だったが、そのつかまれた腕は震え、体は強張っていた。
彼女の悲しい表情が俺を罪の牢獄に突き落とす。今さらながら、自分が取り返しのつかないことを、人としての何か大事なものを失ったことに気づく。
──でも……それなら、もう仕方がない。俺はもう変わってしまったんだ。それなら、せめてそれに合った行動をしよう。
「うん。だって、俺にあんなことしたんだよ。相良さんは、健にしたいことを俺で代わりに使ったじゃないか! 気持ちをもてあそんだのは、相良さんの方だろ」
そんな、意味のない言葉を吐く。とっさに出た言葉としては、自分でもなかなかそれらしい言葉が出てきたと思う。こんな強姦まがいのことをしている男になり切れていると思う。
予定ではここで、相良さんに殴られる蹴られるなんでも暴力を振られ、関係を終わらせるつもりだった。だから、これを見つけたのは、偶然としか言いようがない。
さっき、観察したノートと同じものが段ボールに入っていた。それが何であるか。
今思えば、そこにはたくさんの選択肢があったように思える。だが、それを見た瞬間、それが日記であるとわかった。
俺はポケットに入れていた携帯を取り出し、通話を切ると、メッセージを書き込み相良さんに見せる。
【ちょっとの間そのままでいて】
ノートには番号が振られていた。目についた中で一番小さな番号の書かれたノートを手に取る。
中身は思った通り日記のようだった。迅速に、単語だけを、読み取り、そして、一冊分のページをめくり終わる。詳細などはわからないが、ある一つの事実を知ることになる。ノートをもとの場所に戻すと、相良さんから離れる。
「──ごめん。もうこんなことしない」
「……最低ッ」相良さんは、顔を、強張らして軽蔑した目線を向け言う。皺になったスカートを手で払い戻すと、
「私、もう直哉君がわからないよ。……お願い。しばらく関わらないで。……勝手でごめん」
震えて、おびえているのに、その眼はまっすぐ俺をとらえていた。
俺は彼女が恐怖によって動かなかったのだと思っていた。だが彼女は、こんなことをしてもなお、純粋にばからしい友情なんてものに寄り添っていてくれていたのだ。だが、それももう……。
「いや、俺が悪いんだ。……わかってる。もう関わらない」
相良さんは、答えを聞くことなく教室を出ていく。俺はその後姿を、目に焼き付けていた。
「もう、後戻りはできないなぁ」
平穏に戻ったこの教室で呟く。白い望遠鏡、積み重なった段ボール、紙カップでさえこの教室に根を生やしていた。きっと、これらは外に出れないのだ。ここではない場所では、意味を持たなくなり、すぐに誇りのかぶった、ガラクタに変わる。
それは感情もだ。さっき相良さんに向けた感情が一種の気の迷いによるものであったのではないかとさえ思えてくる。──あの時俺は、まだここの部外者だったのだ。
俺は何度も自分が崩してしまった場所が元通りになっているか確認し外に出る。
「あぐはぁー」
「ずいぶんお疲れのようだね」
「なにしてんすか」
扉のすぐ横に二人は座っていた。岬先輩はひらひらと手を振る。
「何盗み聞きしてんですか、岬先輩。それに、なんで、雨音先輩もいるんですか」
まあ、一人は察しがついていたから、別に聞かれていたことは気にしない。
「いやあ、まさか、直哉君が大胆なことをするとは思わなかったよ」
相良さんに言ったことをとがめない。裏の世界についても話してしまおうかと考えていたのに。
「よくあんなのに耐えれるわね」雨音先輩が言う。
「そりゃあ、」
「違うわよ。あの子よ。よくこんな気持ち悪い奴の、気持ち悪い言葉を聞けるなって」
「それ、悪口ですよ」
「違うわ。事実。あんたの学校生活終わったわね」
「……」
「どうするの?」
「……とりあえず、阿久津先輩に話さなくちゃいけないみたいです」
「そりゃそうよ。……まあ、なんかあったら、岬先輩が身代わりになってくれると思うわ。ね? 先輩」
鋭い視線を、岬先輩に向ける。これは、雨音先輩なりのやさしさなのだろう。
「はは、まあ、この世界なら、よほどのことは起こらないだろう」
岬先輩は柔和な笑みで答える。
「ありがとうございます」
よかった。たぶん感づかれてはないはずだ。阿久津先輩に会うのは、謝罪のためもあるが、事実を確認する必要があった。
阿久津先輩のいる場所はいくつか思い浮かんだが、直感的に屋上に向かう。
×××
屋上の扉を開く。そして、やはり男は、そこにいた。
「すいませんでした」
「ふー。それで、死ぬ準備はできているんだろうな」
阿久津先輩はフェンスに持たれかけさせていた体を起こすと、軽く指を折り、ぽきぽきときれいに指を鳴らす。
「だったらさっき殴りに来てくださいよ。……聞いてたんですよね?」
「ああ、聞いてた。でも駄目だ。お前は触れていけないものに触れようとしたんだ。それの責任は取るべきだ。わかるだろう?」
「それじゃあ、その代わりに一つだけ質問してもいいですか?」
「いや、まずは罰の執行が先だ」
言うやいなや、歩いて眼前まで来ると、顔面に拳を、めり込ませた。痛みが脳内に響く。俺の体は衝撃によって、簡単に地面に倒れる。
「恵は俺のすべてだ。俺の生きる意味だ」
そんな言葉放ちながら、倒れた体の腹を蹴り上げる。奇妙な浮遊感とともに、痛みが脳みそを破壊する。このままでは死んでしまう。
しかしそれなのに、守る気力が湧いてこなかった。むしろ先ほどした自分の罪への罰だとも思い、すべて受ける気概さえ生まれてくる。──睾丸を蹴られたときは、内臓が、飛び出るかと思うくらい、むせ返り、何度も、酸性の液体が口の中を満たし、地面を転げまわった。──痛い。このまま死ねたら楽だなと思うくらいには。そして、とどめを刺したのは己だった。判断力を失った俺は、最後の絶望を問う。
「先輩は、どのくらい、裏の世界に住んでるんですか」
「あ?……まだしゃべれるのかよ」先輩はやり切ったとばかりに、一服し始める。
「それが、お前が聞きたかった質問か? ──そうだな、……二年だ。俺が三年生になって、これが二回目だ。どうだ? お前が望んでいた答えか?」
「……裏の世界には、……おわりはない、」
今流している涙は、痛みだけのせいではないだろう。
「ああ、やっと、お前も知ったのか。──8人だ。8人死んだよ」
阿久津先輩は、白い曇った息を吐きながら、俺に事実を伝えた。
「同じように一緒に戦い生き抜こうとした奴が。裏の世界を終わりたいなら化け物に食われる以外ないんだよ。……だから言っただろ、俺は恵がすべてだって。あいつが卒業できるように、俺が守るんだ」
「…………やっぱり……先輩ってずるいですよ」
先輩は、虚空に描かれる記憶の断片を、冷たい眼差しで見つめながら、言葉を発する。
「……俺の初めての卒業式は、三人だった。はは、あれは傑作だった。三人だけしかいない卒業式を当たり前のような顔してしてるんだぜ。今年は何人になるかな」
そうかそうだ。自分たちのクラスはすでに半分の人間が消えた。そしてこれからも減っていくのだろう。自分の命も含めて。
それなら、先輩の選択肢は正しいのかもしれない。大事な人を守るために戦う。それじゃあ、もし自分の大事な人が無事守れたとして、自分自身はどうなる。阿久津先輩と同じなら、この一年生を繰り返す。そして終わらない命を懸けたあんな化け物と戦い続ける日々が続くのだ。生きるために戦う。人間の本質的な生き方にそれは近いのかもしれない。
それはいつまで? 先ほど見た、日記の日付を思い出す。そこには、七年前の日付が書かれていた。岬先輩は少なくとも七年間この世界に生きているということになる。そしてそれは裏の世界の脱出が、阿久津先輩の言うとおりになるしかないことでもある。終わらない、ただ生きるためだけにこの生活を続ける。同時にそれは、常に、大量の死を観測し続けることでもある。
今年が終われば、また一年生になる。おそらく健や相良さんの記憶から「佐々木直哉」の存在を消されることで、その矛盾がなくなるのだろう。つまり自分が守りたい人から、存在を消されるのだ。
そうなっても、戦う理由になるだろうか。聡の死ですら、他人の死と変わらないと思ったのに。──……それは無理だ。
「裏の世界にいる限り、生きる意味なんてないと思ったか」心の内を当てられ、思わず先輩を見上げる。
「そりゃあ。……俺は先輩みたいになれないと思います」
「でもな、よく考えてみろ。。それは成長しても変わらないんだよ。お前は何か、世の中に名前を残すほどの、才能を持っていると思うか?」
それはないだろう。
「つまり、お前の替えは誰でもきくんだ。それなら、こんな世界でもいいから、自分の命をかけて戦うっていうほうが良いかもしれないぜ」
「でもいつかは死にます」
「そらそうだ。死なない人間なんていない。あんな、化け物だって死ぬんだ。だがな、それでも死ににくいし、能力だってある」
それは生き残ったから言える言葉だ。
「……それでも無理なったら……墓でも立ててやるよ。俺は強いからな、お前よりは長生きしそうだ。あんな能力の使い方してたら、お前は今年で死ぬかもな。かはは」
阿久津先輩は、笑いながらそれを言う。人の気持ちがわからないのだろう。でも、正論だ。死んだらいけない理由ってなんだ。前までは死んでもいいと思っていたではないか。
──殺してくれる存在だっている。後のことを気にする必要もない。
こんな死ぬために整えられた舞台。そして一部の人の記憶に残る、壮絶な死に方をする。雨音先輩か相良さん、健を助けて、英雄的な死に方をするもよし、犬死して、少しの悲しみを残すもよし。自分が取れる死の選択肢は無数にある。それはとても喜ばしいことではないか。求めていたことでもあったはずだ。己の性質は変わっていない。それだったら、既にとる選択は、決まっている。
「未来は考えるな。今を生きろ。今したいことをすべてやれ」
「なんすか? いやですよ。先輩みたいになりたくない」
「ははは、そういうことだ。これだけ殴られておいて、お前はそんなことを言えるんだ。まだ生きれる」
先輩はその間もタバコを吸いながら、痛みで苦しんでいるのを見て楽しんでいるのか、その場にとどまっている。
俺は、灰色の空を見上げていた。何度か涙がでては、すぐ止まり、再び涙を流す。そんなことを二、三回繰り返した後、何となくだが意志が固まった気持ちになる。
「そういえば、裏の世界のこと、雨音先輩は知ってるんですか?」
「さあ、多分知らんだろう。岬さんは、言わないからな。俺も、あの部室の日記を見て、知ったんだ」
「言ったらどうなりますかね」
「さあな、それでも、どうせもうすぐ知ることになる。なんだ? お前が言うのか」
「いや」俺は否定しようとする。
「嫌われるぞ。それともあいつの、絶望した顔を見るのが好きな、サディストか?」
「まさか。先輩がどうするか知りたいだけです。それに深く傷ついた時がチャンスらしいですから」
「きもいなお前。よくそんな考えが出てくるな」
「冗談です。でも、こんな世界に、知らずに必ず訪れる絶望より、知って訪れる絶望のほうが良いじゃないですか」
──そんなの、後付けだ。俺は、雨音先輩の行動が知りたい。この生きる意味のなくなった世界で、先輩のとる選択肢を知りたいだけだった。
「そりゃそうだ。お前も人間として終わってるな」
同意するのに、自分の性質は否定するのかよ。それに、人間性はお互い様だ。
「先輩はもし、相良さんが卒業したらどうするんですか」
「未来は考えるなっていただろ。だが、その答えは簡単だ。生きる意味がなくなったら、……わかるだろう?」
「それじゃあ、もし相良さんが……」
言いかけてやめた。相良さんが死ぬときには、この男は生きていないだろう。
「そんじゃあ、俺は戻るわ。殴らせてくれた礼として、あいつとの時間はお前だけにしてやるよ」
俺は倒れたまま横目で、その姿をとらえる。そこには、雨音先輩の足が見えた。すらりと細いきれいな足だ。
阿久津先輩が消えた後、風の音だけが流れる。
「……先輩。いつから聞いてたんですか?」
「あなたが私のことを好きといった時からよ」
「そうすっか」
「嘘。あなたが泣いているところから」
「できれば忘れてもらいたいんですが」
「泣き虫は治らないのね」
「めちゃくちゃ痛かったんですから。それにしても、こんな傷だらけの人がいたら助けてくださいよ」
「いやよ。だって、全然抵抗してなかったじゃない。そんな人助けても意味ない」
なんとか上半身だけ起こし、雨音先輩を目で追う。先輩はまっすぐこちらに近づいてくる。すると俺が伸ばしていた足の上にちょこんと横向きで座る。それは地面が汚れているので、直接座りたくないだけの理由だろうが。その姿は年上であることを忘れ、純粋に一人の少女に、見える。俺は足の骨が重さによってきしむのを感じ、痛みによって冷静さを保っていた。
「雨音先輩、」
その体重を分散さすために、雨音先輩の体を自分の方へ引き寄せる。先輩の頭を胸のあたりで受け止める。ずきずきと、体に痛みが響くがそんなものは気合で無視する。
雨音先輩は胸に倒れかけるように、体重をかける。全身で先輩を感じる。抱きしめ
てしまいたい衝動に駆られるがそんなことしたら、先輩は、ここから消えてしまうだろから、妄想するだけにとどめる。
「……先輩は俺の言ったこと信じますか?」
「あの女、笑っちゃうわよね。あんな守ってもらっておきながら、死にたいだって」
先輩は乾いた笑いを、胸に吹きかけてくる。
「死にたいなら死ねばいいのに」
ぽつりとつぶやく言葉も、この距離ならすべて聞こえる。横を見る先輩の表情はいたって真剣だった。
「わたし、守っているのよ。誰も死んでほしくないから。……あんな光景見たくないの」
知っている。先輩こそが、英雄とか呼ばれる人なんだ。自分の命を懸けて、他人を守る。
「裏の世界の奴らもそう。おかしい奴だらけ。……自分のことしか考えていない。人の死をどうでもいいものと思いすぎ! だから……だから、わたしが守ってやらないといけないんだ!」
訴えるように、強い言葉でいう。雨音先輩を助けることはできない。むしろ今の自分の意志はそれにさらなる、負担をかけるものだ。だからただ聞くことしかできない。
「……もう誰も死んでほしくないの。……あんなになる人を見たくない……よぅ。目の前にある死に気づかないなんて……」
心の言葉。雨音先輩は傷ついたそのこぶしで、俺の胸をたたく。──痛い。心臓を直接たたかれたような衝撃。二人分の体重を支えていた、二本の腕が限界を迎え、体が地面に倒れる。
先輩はその上で、寝そべるような態勢になる。胸の上に顔を押し付け、嗚咽を漏らす。腕が限界を迎えたのと同様に、先輩の心も限界だったのだ。
「いつ終わるの……。何人の人が死ねばいいの‼ こんなのって、こんなのって……」
先輩の言った願いはかなうことはない。人はこれからも死ぬだろう。そして先輩は、そのたびに自分の一部を犠牲にして、戦い続けなければならない。終わらない、地獄。
俺は支えるために使っていた手の片方を先輩の頭にのせる。先ほどまで地面についていたせいで、汚れていることに少しの躊躇があったが、なるべく優しく、撫でる。なぜこんなことをしたのか自分でもわからなかった。妹がいれば、こんなことでもして上げることがあるかもしれない。ただ一つ言えるのは、恋とか好きとそういうものではない。
同じ世界にいる唯一の傷を知る者として、俺は撫でることで、雨音先輩の負った傷の痛みを少しでも和らげたかった。
「生意気」
「傷ついているときがチャンスらしいですから」
「わたしには彼氏がいる」先輩は顔を胸に押し付けているせいで、もがもがとするが、何とか聞き取れる。
「……付き合ってないんじゃなかったですっけ? あの同級生にこんなことはできないですよ」
「ふん。もっといいことしてくれるわ」
「例えば?」
「こんなこととか」
先輩は、よじ登るようにして、顔を、近づける。これからする行為は簡単に予想がついた。俺はそれを自然に受け入れていた。先輩の顔は涙のせいで、目が赤く、充血し、前髪は押し付けていたせいで、乱れている。先ほどの言葉を撤回しよう。妹にはキスなんかしないし。こんな感情も抱かない。これはまさしく、恋で、愛なのだ。
俺が、髪を一撫でするとそれを合図にするようにキスをした。それは体液が交わるような激しいものだ。永遠に──これは願望かもしれないが──続くような。
雨音先輩がゆっくり離れる。
目の前にある先輩の眼を見つめると、雨音先輩は少し笑って「これはこっちの世界だけ」そう言う。吐息が顔にかかる優しく包み込まれていく。
俺は何か言わないとと、思うが、口だけが痺れたように動かない。だから、代わりに抱きしめてやった。
「ちょ、ちょっと⁉」
先輩は、もがくが、しばらくたつと、収まる。
「苦しい。それにこれセクハラじゃないの。後輩のくせに」
少し口を開いてみると、痺れはなくなっていた。
「俺、相良さんの気持ちわかるんです。何の目的もなしに、ただ死にたくないから生きてるって、それならきっぱり死んだほうが良いんじゃないかなって思うんですよ。……でも死んだらこのぬくもりを感じられないとなると悲しいです」
「生きていても感じさせないわよ」
そう言って突き飛ばすように先輩は離れてしまう。立ち上がると、自分の腕で涙を拭い、乱れた前髪を、直す。赤いリンゴのような顔に気持ちよさそうな風があたり、髪を揺らす。
「先輩は、あいつのどこが好きなんですか?」
「教えない、君は私のこと好きなの?」
「まあ、」
「はっきり言うと?」
「めちゃくちゃ好きで、さっきみたいなことずっとしたいです」
数十秒の沈黙の後。
「…………まあ、裏の世界だけなら付き合ってあげもいいわ」
「……それ、倫理観的に大丈夫なんですか。……そういうの不倫とかいうんじゃないんですか」
「なに? 付き合いたくないの」
「こっちの世界でも付き合えるように頑張ります」
「それは一生無理ね。勝ってるところが、一つも見当たらないもの。よかったわね競争率の低い世界で」
「はは、」
「いつまでもそこで寝ていたら、風邪ひくわよ」
「痛すぎて立ち上がれないです」
「そう、それじゃあ、先に戻っておくわ」
なんとも薄情な彼女だ。ああ、最悪だ。──意志が崩れてしまいそうだ。こんな希望を与えられたら。俺はこれからも、こんな希望を見つけては、そのためだけに生きようとするのだろうか。
希望というそんな曖昧な、あるかどうかわからない未来のものに縋り付いて、飼いならされる家畜。そんなものに自分をたとえてみる。
自分のしゃべっている言葉に意味がなくなっていく。鳴き声。それは同じ世界に住む者にしか通じない。必死に泣いている哀れな自分を想像する。
俺はこれからもあの化け物に、腕を食わせ、足りなければ、足を食わせ、それでも足りなければ、体の半分ほどを刃にして戦い続けるのだ。どうせ治る。どうせ、どうせ、どうせ、どうせ────人は死ぬ。
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