第7話「凍てつく銀星の叛徒」後編
第七話「凍てつく銀星の叛徒」後編
持ち主は言わずもがな、
「ははっ」
――失礼、適応力に欠けると評したのは訂正しておこう
実力で劣ると判断するや、直ぐさま火器に頼るその姿勢……
武術家としては非難されるだろうが、俺にしてみれば誠に正しい!
「っ!?は、早く手を上げて
思わず可笑しくなって口元が緩んだ俺を見て女は再度怒鳴る。
「いや、俺はお嬢様の邪魔をする気はないと言ったはず……」
「そうですね。ですがそれは……
ニヤける俺と圧倒的優位ながらその不気味さに焦る
――
いいね、ほんと……主従揃ってなかなかのモノだ。
平和ボケした
「早くしろっ!」
ガッ!
不気味な笑みを消さない俺に対する不信がMAXになったのだろう、
「はいはい……」
ガツンと視界が上下にブレる衝撃を受けて、俺は初めて仕方が無いとばかりにゆっくりとポケットから両手を出して、そして肩の高さに上げ……
グルンッ!
「っ!?」
そのまま頭部に宛がわれていた鉄塊の先を後頭部で押し返し、力が拮抗した瞬間に
ガシッ!
結果、
「馬鹿だなぁ、突きつけた銃の近くに敵の手を持って行かせてどうする?」
――突きつけられた銃口に頭を押しやって
それは、生と死を
――到底、
……と、
「っっっっ!!?」
それは瞬く間に立場を逆転された女の間抜け
「こんな
ギリリ……
「きゃ!」
俺はそのまま
――確認
ガチャ、カチャ……
「BU9……
「バンっ!」
ド定番な発射音を口まねながら、躊躇無く引き金を引いた。
バッ、バチッバチィィッ!
しかし銃口からは硝煙臭い
「やっぱ
平和な日本でこんな堂々と
「平然と違法改造した
「くっ……」
俺はニッコリと笑いながら、警戒する女の方へと一歩、そしてまた……
「待って下さい」
その声は俺の背後から響いた。
先ほどまで俺の正面だった、俺と会話していた少女の唇から出た言葉だ。
「
俺は
不測の流れからこんな状況になってしまったかに見えるが……
これはこれで俺の予測内の……いや、半ば誘導したような結果だった。
昨夜の様子からもわかるが、結構な証拠を突き付けようとも恐らくは頑なに貝になるだろう少女の口を割らせるのに俺は実力行使……つまり力の差をも見せつけたわけだ。
――権力も、状況も、そして暴力でさえ及ばないと……
「
再会から数日、俺の前では常に
”
「…………」
――これだこれ、
この状況でさえも、護衛の女でさえ”たじろぐ”俺の威圧にも、
――まったく大した少女だよ
「…………」
子供の頃から海外で地獄を見て、そして現在の地位にまで這い上がった俺に対峙してこのクールビューティーぶり……
「…………ぅ」
――あれ?
つい邪悪な笑みを浮かべ、凄みつつも感心していた俺はその異変に気づく。
「……ぅ……だって……ぅ」
――ええ?
不意に、希な程に美しい”
「そ、そんなに……責めることないじゃないですか……ぅ……」
ポロポロと、見る間に氷の星々が流れ、白い頬の上を流れ伝う。
「なっ!?
――え!ええええっ!!
即座に背後でビビっていたはずの
「い、いや、だってほら……」
全く予想外の展開に慌てまくる俺と、
「わ、私だって話さないなんて言って無いで……す……う、嘘だって……つきたくてついていたわけじゃ…………ばかぁ」
すっかりグダグダのお嬢様!
――おおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!
悪いのか?俺が全て悪いのかっ!?
ありとあらゆる
「
――ってワケじゃない!?
――いや、そんなワケない、なんてことはなくなくて……
「うぅ……」
――もうわかるかぁぁぁぁっ!!
「なし!なし!”事と次第によって”もなし!絶対に敵対しないからぁっ!」
テンパった俺は敵味方不明少女の分析を捨てて目の前の惨事に奔走する。
「こ、これ……使ってくれ」
そしてアタフタとポケットを探りハンカチを手渡した。
「う……うぅ…………ありがとう……ございます」
涙にぬれた瞳でそれを受け取る美少女。
「…………と、ともかく、お互いの話をしよう、な?な?そして協力を……」
――こうして
なんとも納得いかない形で
「…………あの……
「…………うぅ……はい」
――いや、
――こんなの予測できるかぁぁっ!!
第七話「凍てつく銀星の叛徒」後編 END
薔薇嬢(ベルローズ)と拝金王(ハイキング) ひろすけほー @hirosukehoo
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