第3話「悪屑」後編
第三話「
――カラーン、カラーン
――放課後
俺は現在は特別教室でしか使われていない旧校舎の屋上を訪れていた。
勿論、一般生徒は進入禁止の場所である。
無論、俺がそんな場所に入れるのは本校へ多額の援助を納めた賜物だろう。
「ええと……」
そして、何故にそんな場所に俺が居るかというと……
「で、”S.K”さん。俺が
少々のビル風が鼓膜を叩く中、俺はスッと振り向く。
「
日差しにキラキラと輝きながら風に踊る黒髪と添えられた白いリボンをそのままに、生粋のお嬢様は”らしく”ペコリと頭を下げる。
――
世間一般には知らされていないが、実は
それは、一説には
とは言っても、現在の一般的な史書や一般人向けの教育で、その存在は公にされていないのだが、
――その
「それはまぁ、置いていおくとして、キミが俺に近づく理由を知りた……」
”一見”殊勝なお嬢様に対して俺がそう言いかけた時だった。
「
俺の態度に切れたのか、鬼の形相で二人の間に割り込む様に体を入れてきたのは女……
教室での自己紹介の折り、
「
そして俺と同じくらいの身長であるその女は、主人であるだろう
――この動き……
柔術か?……いや、居合いの……
近代格闘術とはかなり毛色が違う雰囲気の初動に、俺はポケットの中に在った拳をそっと軽く握った。
ガガッ!!
「随分と……物騒な国ですね、挨拶を”当て身”でとは」
だが、結果から言えば俺が動く必要はなかったようだ。
「っ!誰だ?」
いつの間にかその場に駆けつけて来た第三の女が、襲われかけていた俺の前に素早く割り込み、そして間一髪!凶器である相手の拳を高そうなブランド物のハンドバッグで防いでいたのだ。
「
もう言うまでも無いが、感心にも主人を自らの
――
弁護士、司法書士、国際医師免許、果ては
「このっ!」
「甘いですよ!」
グイッ!
初撃を防がれ、
――そうそう、先程の経歴に付け足すなら、
「いい加減にしなさい!
そんじょそこらでは見られない
それを完全に制止させたのは、この争いの原因である少女、
「重ね重ね、すみません。彼女は私の事となると……」
そう言って今度は深く深く頭を下げる少女。
ふわりとシャンプーのだろうか?とっても良い香りが俺の鼻孔をくすぐる。
「
下げた少女の
「はい、あの件は私も当日聞かされたばかりで……満足に理由も説明されないまま、あの場に……」
――なるほど……
だから
納得できないままに強引に連れてこられたと……
「ですが、あの後、お爺さ……会長からお話がありまして……」
彼女の俺に対する態度は、この前の夜とは随分と違う印象だ。
「あれから一応こっちでも色々と調べてある。多分、キミがお爺さまとやらから聞いた話とそう違わない内容だと思うけど、俺はその件に関しては……」
事実は一つだが、実は少々の行き違いがあるだろうと、俺が釈明を始めようとした時だった。
「”復讐”……でしょうか?いいえお気になさらずに。私も武門の娘です、事ここに至っては覚悟も出来ております」
――!?
全く笑ってない笑顔を作って真っ直ぐに俺を見る。
「いや、そういうわけじゃ……うっ!?」
微塵も恐れること無く俺を真っ直ぐに捉える少女の
夜闇の天蓋に
――”
美術品の域まで完成された
その口元に感情の無い笑みを浮かべて少女は……
「…………うぅ」
眼中にないなんてものじゃない。
彼女にとって俺なんて者は同じ世界の住人でさえないような……
「
そう言うと、彼女はもう一度、綺麗な紅の口元をニッコリと上げてから、まるで感情の喪失した”
第三話「
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