十五、明かされた真実

「まさか…、そんな…。」

 ユリナは父のガジュ・シンから明かされた兵器の全容を知り、愕然としていた。

「はっきり言おう。これなら勝てる。」

 ガジュ・シンは自信たっぷりに言った。

「だからといって、こんなことは許されません!」

 ユリナが声を荒らげる。

「一時的に勝つことはできても、その先には大勢の無実の人々を殺害した悪党として、世界中から攻撃を受けます!末路は破滅しかありません!」

「我々が、悪党だと?」

 ガジュ・シンがユリナに近づく。

「では、帝国はどうなのだ。我が国を属国化し、兵力の調達源として利用し、アヘンの製造までやらせた。これでも許せると?」

 ガジュ・シンはさらに続ける。

「お前が生まれる前から、この国は搾取されてきた。慢性的な食糧不足で、親は我が子を売る。国境沿いの売春街に、まだ十代前半の子供が売られていくんだぞ!今日の糧を得るために、我が子をそんな地獄に送らねばならない親の気持ちがわかるか!」

 ガジュ・シンは感情が高ぶったのか、そこで一息入れ、

「首都でチーズとコーラ、ハンバーガーで生きてきたお前や、あの合衆国人たちにはわからない現実だ。」

 ユリナは続ける。

「私は認めません。」

 ふう、とガジュ・シンは息を吐き、

「この計画にお前は関係ない。暇を出す。首都で医学の勉強を続けるといい。」

「私を見逃すと?」

「わしも甘いな。お前を口封じする気は起きない。どのみち、お前が帝国軍に通報したところで全てが手遅れだ。」

 ガジュ・シンはユリナとともにいる地下シェルターの防弾ガラス越しに見える兵器を見てそう言った。

「〈Devils Fist System〉を搭載したこの新兵器、〈ヴォルフラム〉の前ではな。」

 ガラス越しに見えるのは、鉄でできた飛行船のように見えた。だが、飛行船とは違い、〈ヴォルフラム〉は破壊の限りを尽くす。

 我々の勝ちだ。

 ガジュ・シンの思考は、いかに帝国軍の戦闘機部隊を血祭りに上げるか、それしかなかった。



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