第13話 また逢える約束
時恵さんの言葉は説得力が有って、何となく、私も、サンダーから特別視されているような気持ちにさせられてしまう。
だからって、それを鵜吞みにして、今までみたいに期待してはダメ!
「確かに、今まで目にしていた岩神君の言動とは、かなり違和感が有りました......でもそれが、私には嬉しかったんです!こんな事を時恵さんに言うのは、すごく恥ずかしいんですけど、私、あの日の朝は、2回続けて岩神君とハッピーエンドになる夢を見たんです!それで、そんな事が有るわけないって分かっているのに、つい正夢になるのかもって期待したんです......」
笑い飛ばされそうな恥ずかしい夢の内容なのに、不思議と時恵さんの前では、スラスラと話せてしまう。
時恵さんも、うんうんと親身になって聞きながら頷いてくれるから、安心して話せるのかな?
「スゴイ、2回続けて夢で見るなんて!そんな夢を連続で見せられたら、私が日菜ちゃんだとしても、正夢になるのを期待すると思う!きっと、
「そんなのって......多分、買い被りです。岩神君の周りには、キレイな女子ばかりで、時恵さんも美人だし、お父さんのお仕事柄、キレイな人は見慣れているようだから、私みたいな不格好な女子なんて、岩神君に相手にされないです」
「確かに環境的な要因で、
2人のお母さんは、全身美容整形を繰り返したのが原因で亡くなったの......?
それで、時恵さんもサンダーも美しさは執着していないなんて......
そんな事を時恵さんから言われても、私は頷けない。
だって、時恵さんも、サンダーも通り過ぎる人達の誰もが振り返りたくなるくらいの美形なんだから。
「あの......すごく聞きにくいんですけど、もしかして、時恵さんや岩神君も、整形済みですか?」
私の質問が、また時恵さんのツボにはまったらしい。
しばらく、私の前で、笑いが止まらない様子の時恵さん。
私、またバカな事を言ってしまったんだ......
「笑ってごめんなさい、私達はしてないし、もちろん、これからもするつもりないわ」
「そうですよね。そうだと思ってました。こちらこそ、失礼な事を唐突に聞いてごめんなさい」
まだ時恵さん、笑っている。
私、あんな事を聞いて、どうするつもりだったんだろう?
サンダーが、整形由来の美形だったって分かったら、その時点でキライになってしまっていた?
キライになる事は無いかも知れないけど、少し考えてしまうかも知れない。
まだ高校生で、しかも男子なのに、美に執着しているような人だったとしたら......
「ごめんなさいね、いつまでも笑ってしまっていて。思いがけないような内容だったから、つい......それより、私は2人が仲良くなれるように協力を惜しまないから、日菜ちゃんも、これからは深手を負った
深手を負ったサンダーの心のリハビリ......
私に、そんな大役が務まるなんて思えないけど......
でも、時恵さんにこんなにお願いされているのだから、もしも私に出来るなら、手伝いたい。
まだ2回しか会ってないけど、時恵さんの事は大好きだし、尊敬しているし、それに何より、私はサンダーといられるのは、やっぱり嬉しいから!
「私が、岩神君や時恵さんのお役に立てるのなら、喜んで引き受けます!」
不思議、いつの間にか、泣いていた自分が嘘だったかのように、心からの笑顔の自分がいる。
時恵さんといると、あんなに不安定だった心が落ち着きを取り戻せる。
こんな素敵な人が、本当のお姉さんだったらいいのにって思えるくらいに。
「ありがとう、日菜ちゃん!これ、私の名刺。これからは、
時恵さんの名刺は、眼科の受付に置いてあった白いシンプルな仕事用の名刺ではなく、プライベート専用のようで、
慎重派っぽい職業だし、LINEはやらないのかな?
家に戻ってから、早速、スマホに登録して、ショートメールで時恵さんに、今日の診察のお礼と、私の携帯番号やアドレスを連絡した。
私達の世代なら、即、返事が来る事が多いけど、帰宅後の時恵さんは忙しそうで1時間くらい経過して、顔文字付きの返事が来た。
『電話番号とアドレス、ありがとう。今度、連絡するわね(^-^)』
サンダー本人と、こんな風に、スマホでやり取りが出来るのが本望だけど、こうして、時恵さんを通して、サンダーとまた外で逢って食事が出来るなら、それだけで大満足!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます