第2話 私の居場所

 クラスに浮いているどころの話ではない私にも唯一安心できる場所がある。放課後、毎日のように通う区立図書館の窓際の一番後ろ。そこで本を読むことが私の毎日の日課だ。SHRが終わって、週番の号令がかかると同時に机を下げてそそくさと教室を後にする。毎日、それを繰り返している私を止める人なんてもうどこにもいない。

「あ、今日掃除当番だった。」

放課後になった解放感から騒がしい廊下に誰に言ったでもない私の声は溶けていった。どうせ誰も私を呼びになんて来ないし、むしろ私がいない方が場の空気というのも悪くならないだろう。よし、私がいない方がクラスメイトにとってもいい。そう決めつけて私は喧騒の中を再び歩き出した。

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 今日は途中で好みの雰囲気のカフェを見つけて立ち寄ったからか、馴染みの図書館に着くころには空はもううっすらと茜色に染まっていた。好みのカフェに巡り合えるとは何ていい日なのか。そんなことを心の中でぼんやりと思いながら、空と同じ色に染まる館内を軽く見渡し、本を返却しにカウンターへ向かう。初めて見る顔の司書さんが私の2人前の女性に、にこやかに笑いかける姿が目に入った。あの笑顔は作り笑いなのだろうか。そんな自分でも性格が悪いと思う疑問を浮かべながらぼんやりと眺めていた。私の2人前の女性は、その笑顔に顔を赤らめて足早に去って行った。あの人は自分の顔に自信しかないのだろう。キラッという効果音が聞こえそうな笑顔を振りまいて、漫画のヒロインになっていそうなイケメン。私とは正反対の世界の住人だ。ああいう人間に悩みはないのだろうか。そんなことないかと考えを改めながら、ゆっくりと進む列に足を進める。返却ですね~と笑いかけながら事務作業をする目の前のイケメンを眺めながらどうせ不愛想とか思ってるんだろうなと他人事のように考える。あの愛想の良いさわやかな笑みで笑いかけられるが、いつも通りの無表情でいつもの席に向かった。

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