第17話 明日奈と俺と優実と、そして神様?ACT4
「どうしたの? おにいちゃん」
きょとんとした表情で首を傾げている明日奈を見て思わず笑みがこぼれる。
ああ、やっぱり可愛いなあと思うと同時に抱きしめたい衝動に駆られるが何とか我慢することに成功した。
「明日奈」
「え?」
今度は逆に俺が彼女の言葉を繰り返したことに驚いたのか目を大きく見開いている。そんな彼女に向かって俺は言葉を続けた。
「好きだよ……」
「……っ!!」
次の瞬間には彼女の顔は真っ赤に染まっていた。どうやら照れているらしい。それがまた可愛くて思わず抱きしめそうになる自分を抑えるのに必死だった。そんな俺の様子に気が付いたのか明日奈は少し拗ねたような顔をした後プイっと顔を背けてしまった。そして蚊の鳴くような声で一言だけ呟いたのである。
「……ばか」
そんな姿がまた可愛くて仕方がなかったのだがこれ以上言うと本当に怒られてしまいそうな気がしたので自重することにした。
それからしばらくの間沈黙が続いたが決して嫌なものではなかったと思う。むしろ心地良さすら感じていたくらいだし、何よりもこうして二人で一緒にいられることが嬉しかった。だから俺はこの時間を大切にしたいと思っていたんだ。
「ねぇ、おにいちゃん」
不意に明日奈が口を開いたことで思考の海から引き戻される。何だろうか?
「どうかした?」
そう聞き返すと彼女は少し考える素振りを見せた後でこう答えたのである。
「ううん、何でもない」
そしてそのままぎゅっと抱きついてくると胸に顔を埋めてきたのである。そんな彼女の頭を優しく撫でてやりながら改めて思うことがある。やはり俺の選択は正しかったのだと……いや違うな。最初から間違ってなんかいなかったのだ。ただ単に俺がそれに気づくことができなかっただけに過ぎないのだろうと思うことにしたんだ。だってそうだろう? もし仮にあの時に別の選択肢を選んでいたとしても結局は同じ結末を迎えていたに違いないのだから……。
「おにいちゃん」
「ん? なんだ?」
「あのね……その……」
明日奈はそこで一旦言葉を切ると恥ずかしそうにモジモジし始めたのでどうかしたのかと顔を覗き込もうとしたが俯いてしまっていて良く見えなかった。なので彼女の次の言葉を待つことにしたのだがなかなか話し出そうとしない様子を見ていると何だか嫌な予感しかしなかった。そしてこういう時の予感というものは往々にして的中するものだということを俺は身をもって知ることになるのである……。
「あの……あのね! おにいちゃん!!」
ああ、やっぱりか。そしてこの後に続く言葉はきっと俺にとって良くないことだろうことは容易に想像がついたので出来れば聞きたくないと思ったものの聞かないわけにはいかなかったのだ。だってそうだろう? こんな状況で相手の話を聞かないという選択肢はないのだ。それに何よりも明日奈が何かを言おうとしている時に遮るような真似だけはしたくなかったんだ。だから俺は覚悟を決めると続く言葉を待つことにしたのである。すると案の定と言うべきか予想通りの言葉が飛び出してきたのだった。
「明日奈も優実と同じことしたい」
「えっ!」
「ダメぇ?」
「ダメって……」
何とか優実との危険な一線を越えずに済んだというのに、やっぱり明日奈も望んでいたというのか?
だが……しかしだ……さっきの優実との反動と言うべきか燃え上がっ都あ欲望を無理に究極に抑え込んだせいかもしれない……男のあの、男子のあの……部分が全く反応しないのだ。萎えている……可愛いほどピクリとのせずに反応すらしてくれないのだ。
気持ちはないのか? ということを言われれば全くないということはないのだが……はいそうですかと言う感じで、明日奈の申し出に乗っかることは出来ないという感じである。
「その、ごめん明日奈」
正直に話すことにする。いつまでも隠し通せることではないのだから……と思ったもののやはり言いたくないという気持ちが強く言葉を発することができなかったのだ。
すると明日奈は何を勘違いしたのか泣きそうな顔になると言ったのである。
「やっぱり私じゃダメなんだ……」
「いや違う! そうじゃないんだ!!」
そんな顔をされてまで黙っているわけにはいかないだろう? だから俺は正直に話すことにしたんだ。
「実は……その、なんだ」
「うん?」
「えっとだな……」
いざ話すとなるとやはり恥ずかしいものがある。だがここで誤魔化したり嘘をついたりするのは良くないだろうと思い正直に言うことにしたんだ。
「……勃たないんだ」
「……え?」
あ、あれ? 反応が反応がおかしいな? もっとこう驚くとか恥ずかしがるとかあると思ったんだけどなぁ。いやまあ俺も同じ状況だったら同じような反応になったかもしれないけどさ。でもちょっとくらい何かあってもいいんじゃないかと思うんだけど……って、あれ? なんか明日奈の様子がおかしいぞ。
「あの……おにいちゃん?」
「……はい」
思わず敬語になってしまったがそれも仕方のないことだろう。だって今の明日奈の表情が明らかに怒っているように見えたからだ。いやでも何で怒ってるんだ? 俺が何かしたか? いや、何もしていないはずだよな? じゃあなんでだ? そんなことを考えているうちにも彼女はどんどん不機嫌になっていき遂には頬を膨らませてそっぽを向いてしまったのである。そしてぽつりと一言だけ呟くように言ったのである。それはとても小さな声だったので聞き逃しそうになったがなんとか聞き取ることができた。
「……ばか」
「え?」
思わず聞き返すと明日奈はキッとした目つきで睨みつけてくると言ったのである。それはまるで子供のようだったが、同時に妖艶な雰囲気も漂わせており俺は思わずドキッとしてしまっていた。だがそれも束の間のことですぐにいつもの彼女に戻ってしまったので少し残念に思っていると彼女は続けて言ってきたのだ。
その目は先程とは違いどこか期待に満ち溢れているように感じられたのだが……気のせいだろうか?
「……えっち。もうお兄ちゃんのエッチ!最低!」
「お、おい明日奈!?」
突然叫んだかと思うと今度は顔を真っ赤にして怒り出したではないか。一体どうしたんだ? 何故急に機嫌が悪くなったのか分からず戸惑っていると今度は明日奈までもが声を上げたのである。
「もう知らないんだから!!」
ああ……また怒らせてしまったようだ……何でこんなことになってしまったんだ?俺はただ正直に話しただけだというのにどうしてこんなことに……。
「はぁ……まったく……」
ため息しか出てこないなこれは。まあとりあえず優実の機嫌が直るまで待つしかないかと思い、しばらく様子を見ることにしたんだ。それから数分後のことだっただろうか?ようやく落ち着きを取り戻したようで先程までの怒りはすっかり消えていたようだったので安心したよ。だがそれと同時に今度は別の感情が湧き上がってきたようで頬を赤く染めると恥ずかしそうに俯いてしまったのだった。その様子を見て思わずドキッとしたことは秘密である……って俺は何を考えてるんだよ!? しっかりしろ!!
「……おにいちゃんのばか」
「え?」
あ、あれ? また怒らせたかな?でもさっきと違って今度はどこか嬉しそうな顔をしているように見えるんだが気のせいだろうか?まあとりあえず謝っておくことにしようか。うんそれがいい。
「えっと……ごめん?」
すると明日奈は何故か驚いたような顔をした後で小さく微笑んできたんだ。その笑顔を見た瞬間に心臓が大きく跳ね上がるのを感じたよ。だってあんな可愛い笑顔を見せられたら誰だってこうなるだろう?現に今も顔が熱いしな……って違う!!今はそんなこと考えている場合じゃないんだよ!
「おにいちゃん?」
「な、なんだ?」
「あのね……その……」
ああもうなんなんだ一体!? さっきからずっとこの調子じゃないか! 言いたいことがあるならはっきり言えばいいだろうに!! まったく……。
「おにいちゃんは明日奈のこと好きだよね?」
あ、あれ? なんか急に話が飛んだ気がするんだけど気のせいかな? まあとりあえず答えておくか。好きかどうかと聞かれたらそりゃあもちろん好きなんだけどさ。でもそれを本人の前で言うのはちょっと恥ずかしいものがあるというかなんというか……って、え? 何でそんな悲しそうな顔してるんだよ!? 俺何かまずいこと言ったか!?
「えと……」
「……好きじゃないの?」
いや、その聞き方は卑怯だぞ。
だってそんな言い方されたら好きって言うしかないじゃないか!でもここで好きだって言ったらまた何か言われそうで怖いんだよな……だからここはあえて何も言わないという選択肢を選ぶことにするぞ!よし決めた!!
「そっかぁ……好きじゃないんだ」
思わず意もしないことを口にしてしまった。
そのあとだった。
あれれーおかしいなー? なんでだろうなぁ……なんか急に寒気を感じるようになってきたんだけど気のせいかな??
クラスメイトがエロ可愛いブラコンシスターになったら。ねぇどうするお兄ちゃん! さかき原枝都は(さかきはらえつは) @etukonyan
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