第13話 ヘタレにもいらぬ意地はある……かもACT2

リビングに続くキッチン。そこから一望できる庭にそのギャルはいた。


「あ、おねぇちゃん」

「やっほぉ! 明日奈ちゃん」


おねぇちゃん? ん? どういうことなんだ!

よく見れば明日奈とうり二つ。ちょいけばいギャル要素が以外にも似合っていると言うか……。


「どうしたの? こんな朝早くから」

「あははは、明日奈のことが心配で見に来たんだよ」

「もう、来るなら来るって連絡くらいしてよね」

「別にいいじゃん。妹に会いに来るのに連絡なんかしなくたって。面白そうな話も聞けたしねぇ。仲良くやっているみたいじゃん、ねぇお兄ちゃん」

「うっ……」

お兄ちゃんって、明日奈に姉? 明日奈って双子だったんだ。


「おうち上がっていい?」

「あ、はい……どうぞ」

彼女は玄関に回り家に入った。


「ふぅーん、落ち着いていい家じゃない。ここが二人の愛の巣って言うことかぁ」

「やだぁおねぇちゃん、愛の巣だなんて……恥ずかしい」

「まぁ仲良くやっているみたいだからいいんじゃない――――ねぇお兄ちゃん」

おいおい、こっちにふるなって。


でもなんかうり二つでも、こうして明日奈以外からお兄ちゃんなんて呼ばれるとなんか照れるなぁ。

「ところで、お父さんは元気なの?」

「ああ、あのくそおやじかぁ! 元気元気、あれは殺したって死なねぇわなぁ。毎日仕事で私の事なんか目もくれないんだから……だから……喧嘩して出てきちゃったぁ」

はぁ? 喧嘩して出てきたぁ……?


「ちょっと、それどういうことなの?」


「だからさぁ―、しばらくここに置いてくれない? お母さんたちも今いないんだし、あんた達二人っきりなんだしさぁ。二人の邪魔はしないからさぁ。ムフフ、夜はちゃんと耳栓して寝るから声どんだけ出してもいいよぉ! ねぇ、いいでしょ……お・に・ぃ・ちゃん」


だから俺にふるなって! 

でも……なんだ……その……さすが双子。だよな。顔つきも明日奈とほとんど同じだし、声も同じように聞こえてくる。それにだ、制服のブラウスの襟元からむっちりと出っ張る胸はもしかしたら明日奈より大きんじゃないのか? 


そそるおっぱいの大きさにあのきゅっとしまった腰つきにデンと見栄えのあるお尻。つまりスタイルは最高に俺好みであるというこの好条件。多少……か? まぁギャルっぽいところは……いやそれがまたなんか微妙に色っぽさを醸し出している。


清楚さ一図の明日奈とは違う色気を感じてしまう。ギャルの色気。もしかしたら彼女は大人の階段をすでに登っているのかもしれない。


ゴクリ。

飲む生唾は俺の下半身の制御を不能にする。おいコラ、今そんなに目立つような姿にしてしまっては非常にまずいではないか。


昨夜の明日奈との出来事が俺の脳裏に反復するように生み出されてくる。しかも明日奈だけじゃなく彼女のその想像しえる一糸まとわぬ姿が生成されてくる。

ああああ! 健全健康な高校生男子の性はここまで敏感に反応するのか!


「ねぇ、ダメぇ―……お兄ちゃん。お願い……私ここ以外行くところ無いんだぁ。こんな可愛い妹に野宿しろだなんて言わないよねぇ――。それとも誰とも分からない男にこの躰と引き換えに夜露をしのぐ一夜限りの宿を得るということをお兄ちゃんは望んでいないよねぇ」


一夜限りの宿ってなんかとてもなまめかしい響きです。

「お兄ちゃんは私が見も知らない男に抱かれてもいいの? この体がめちゃくちゃにされちゃうんだよ……いいの? ほんとに…………」

いやいやそれは困る。明日奈と双子の姉妹なんだ、当然明日奈だってそう言うことは望んではいない……と思うけど。


「もうおねぇちゃん、お兄ちゃんが困っているじゃない」

「し、仕方がないなぁ」

「えっ! いいのぉ! お兄ちゃん」

「困ったときはお互い様って言うじゃないか……」

「そ、そうだよね。やっぱお兄ちゃんは優しくて話が分かるなぁ」


あはは。困ってそうだからね。言っておくが俺は色気に押されたわけじゃない……ぞ。彼女が困って……そう言えば名前まだ聞いてない!


「あのぉ……明日奈の姉妹だって言うのは分かるけどその、名前聞かせてもらえると嬉しいかな」


「ああ、ごめんごめん。まだ自己紹介していなかったよね。私明日奈の姉の高垣優実たかがきゆうみです。明日奈とは双子の姉妹です。よろしくね……翔太お兄ちゃん」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る