第10話 妹に求めてはいけないあれこれと、お兄ちゃんに求めるあれこれACT2

「お兄ちゃん。私の体……見たい?」

自分から言っておいて、ものすごく恥ずかしかった。

でも、私はお兄ちゃんにすべてを捧げたい。


たとえ兄妹。私は儀妹だから。正確には血の繋がりのない兄妹だとしても超えてはいけない一線。私達はその一線を超えてはいけないのだ。


分かっている。分かっているけど……私にはこの胸の高鳴りを抑えるのは難しいのだ。

赤城翔太。見た目はどこにでもいる普通の男子。でも彼は私にとって隠れた憧れの人なのだ。

たぶんお兄ちゃんは覚えていないだろう。私がまだ中学生のころ両親が離婚して少しあれていた時があった。その時目をつけられていた不良グループに絡まれたとき偶然に通りかかったお兄ちゃんに助けてもらった。


もっとも喧嘩なんかしていない。「お巡りさん、こっちです早く早く!」と大声で叫んで私の手を取りその場から一緒に逃げただけなんだけど。見るからに喧嘩なんて弱そうなこの人が私を助けてくれた。

その時は別になんとも思わなかった。ちょっと助かったかなって言うくらい。

でも、そのちょっとしたことが私を揺るがす出来事だった。



私の家庭は両親が離婚する前から崩壊していた。

お父さんはほとんど家に帰ることがなかった。だからあまりお父さんのことは記憶にはない。そのせいかもしれないけど、男の人に対して免疫がなかったと言えばそうかもしれない。でも、それでも私は家族が本当にバラバラになることが許せなかった。

家に寄り付かないお父さんに、そのことに諦めていたお母さん。

冷え切った家庭、家族。


お母さんに引き取られた私は運命の出会いに導かれた。

お母さんの再婚、そしてお兄ちゃんとの出会い。

これは運命としか言えなかった。


でも初めはお兄ちゃんを正直受け入れるまでに時間がかかったのは本当だ。それでも一緒に暮し始めるとお兄ちゃんのやさしさがこの冷めた家庭で育った私の心を温かくしてくれた。

そんな思いからかもしれない、兄妹となった私はお兄ちゃんを一人の男性として見るようになったのは。


たとえ血のつながりはなくとも私達は兄妹になったのだ、その関係はこの人を恋愛の対象として想ってはいけないという属世間の習わしに反するものだ。

でもいい。たとえ何を言われようとも私はお兄ちゃんが好き。……愛しているんだから。


「えぇ、本当に見たいのぉ?」

ちょっとじらしてみた。お兄ちゃんはどう反応するんだろう。

「お兄ちゃんは妹にそんなこと言わせるの?」

「いや……あの……」

ちょっとじれったくなってきた。恥ずかしがってないで早く言ってよ、このヘタレ。

でも、そのヘタレなところが好きになってしまったんだから仕方ない。


私はもう覚悟を決めたんだから!  だから……早く言ってよ!

「見たいの? 見たくないの? どっち!」

もうじらされたくないから私はお兄ちゃんを急かした。


「そ、そりゃぁ見たいけど」

「見たいなら早く見せてあげるよ。だから、ちょっとまっててね」

私は自分の部屋に行った。もちろん服を脱いで裸になるためだ。

お兄ちゃんはどんな反応するんだろう? やっぱりドキドキしてくれるのかな?  私は期待に胸を膨らませて服を脱ぎ始めた。


「お、おい!」

お兄ちゃんが何か言ってるけど気にしない。どうせ私の裸を見たらもっと見たいとか言うに決まっているんだから! ……でも、もし本当にそうなったら……私どうなっちゃうのかな……。


「じゃぁ、服脱ぐね」

私は自分の部屋のドアを開け、ブラウスのボタンを上からひとつづつ外していく。

まだ下着があるけど、下着を見られるのもものすごく恥ずかしい。


「お、おい! 何脱いでんだよ」

「だって見たいって言ったじゃん?」

「だからって……いきなりすぎるだろ!」

あれ? 私が思っているのとお兄ちゃんの反応が違う気がする。期待していたものとは全然違う。もしかして私の勘違いだった?


日和ひよった? お兄ちゃん。


「もう、お兄ちゃんが見たいって言ったのに……」

「いや、そりゃぁ見たいよ。でも、まだ心の準備ってものが……」

「もう……お兄ちゃんのヘタレ」

「ヘタレで悪かったな!」

やっぱり私の勘違いだったみたい。でも、ちょっとくらい期待したっていいじゃない!  もう!  私は少し拗ねながらスカートを脱いだ。これで私は下着姿だ。


「お、おい! 何脱いでるんだよ!」

「だって見たいんでしょ?」


あれ?  私はお兄ちゃんの反応にまた違和感を感じた。

もしかして、お兄ちゃんはここまでなら私で興奮してないってことなのかな?  そんなの……やだ!  もう後戻りできないところまで来ちゃったんだから責任とってよね!


「もう、お兄ちゃんが見たいって言ったのに……」

「いや、そりゃぁ……」

「もう……ヘタレ」

いや、今私が期待しているような展開になるなんて私は少しも思ってないけど、期待させといてそりゃないじゃない!  私の裸を見るのがそんないやなの?

「ヘタレで悪かったな!」

いや、だから別に怒ってるわけじゃないんだけど……もう、お兄ちゃんったら変なところで鈍感なんだから。


もう!  こうなったら私がお兄ちゃんをその気にさせるしかないじゃない!  もう後戻りできないんだから覚悟してよね!  私は覚悟を決めて最後の一枚を脱ぎ始めた。

「お、おい!」

あ、やっと

気づいたみたい。

「だって見たいんでしょ?」

「だからって……いきなりすぎるだろ!」

あれ?  また私の勘違いだったみたい。でも、お兄ちゃんの反応がちょっとおかしい気がする。

もしかして、私の裸で興奮しすぎててそれを隠すためにわざとヘタレなふりをしてるとか?  いや、それはさすがに自惚れすぎかな?  でも、もしそうだとしたら……嬉しいな!  もう!  お兄ちゃんたら私のこと大好きなんだから!

 

お兄ちゃんたら私の裸を見るのがそんないやなの?  これはちょっと悲しいな。私なんかじゃ興奮しないのかな?  そんな心配を胸に少し泣きそうになりながらも私は最後の一枚を脱ぎ始めた。


「お、おい!  何脱いでんだよ!」

あれ?  もう気づいたの?  それとも気づいてないふりなのかな?  あ、もしかしてお兄ちゃんも期待してるとか?  もう! お兄ちゃんたら大胆なんだから!  そんな期待を胸に私は最後の一枚に手をかけ一気に脱いだ。


「ま、待て……」

やっぱり私の裸に期待してたんだなこのムッツリさんめ。 もう!  そんな風に誘われたら私も我慢できないじゃない!  こうなったらお兄ちゃんが私の裸に興奮しすぎてそれを隠そうとしてヘタレを演じてるのをいいことに私がお兄ちゃんを襲っちゃうんだから!  覚悟してよね!  後戻りなんてできないんだからね!  私は覚悟を決めたんだからもう後には戻れない。だから……お兄ちゃんの好きにさせちゃうから……いいよね?


「お、おい!」

「もう、お兄ちゃんが見たいって言ったのに……」


えへ、もう一押しで落ちるかな? お兄ちゃん。

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