第9話 妹に求めてはいけないあれこれと、お兄ちゃんに求めるあれこれACT1

ひたすらに謝り謝り抜いてようやく高垣の機嫌を取り戻すことに成功。

一時はどうなることかとひやひやした。


「ねぇお兄ちゃん。今日の夕食何が食べたい?」

高垣と一緒に帰る。さすがに朝のようなべっとりとした行動には至らないが、こうして、二人で一緒に歩くいつもの下校道も雰囲気が違うように感じるのは意識過剰的なものだるんだろうか。


「うぅーん、夕食かぁそうだなぁ」と、なやむそぶりをして、高垣に合わせるあたり大分この状況になれてきたのかもしれない。

「カレーがいい」

「カレーかぁ、うん、じゃぁ今日の夕食はカレーライスに決定!」

無邪気に返す高垣のその姿を目にしていると愛おしささえ感じてくる。


ちょっと待て、俺は高垣の事本当に妹として認知しているのか? いやいや俺は高垣のことは妹と言うよりもそのなんだ……。

彼女として傍にいてほしい。

でも今は……これだけでもとても幸せな気持ちになれる。

だが、望みと言うか欲望は実際つのるばかりである。



「お兄ちゃん美味しい?」

妹高垣の手料理。母さんが残してくれた俺好みのレシピノートを忠実に再現している。

文句のつけようがない味。まさしく俺好みのこのカレー。


「美味しいよ」そう言いながら止まらぬスプーンの動き。本当に旨い。その俺がうまそうに食う様子を高垣は、幸せそうににんまりとした顔で眺めている。

ごろっとしたジャガイモにニンジン。そして大ぶりの牛肉。噛まずとも肉はほろほろと崩れ、ジャガイモはホクホクとしながらもその甘みが舌の上に広がる。

香り高いスパイスと共に、深みのあるコクと野菜の甘みが絶妙に調和して程よい辛さを醸し出している。


とにかくうまいのだ。これほどまでに母さんのレシピを忠実に再現できているのも一種の才能かもしれない。

「うまいなぁ」夢中でカレーを食っていると高垣はクスッとほほ笑み。

「お兄ちゃん、ほっぺについているよ。カレー」

そう言いながらすっと高垣、明日奈の指が俺のほっぺに触れた。


その指は俺のほほについていたカレーをすくい、その指は迷うことなく明日奈の口へと運ばれた。

「えへッ。お兄ちゃんの味がする」

おおおおおおおおお! 

こ、これは……。

少し赤みを帯びた顔が可愛い。

可愛すぎる。この胸の中がぎゅううううううっと熱く締め上げられる。

ああああ! 我慢、辛抱たまらん!

己の欲望を抑え込むのにこれほどまでに苦労をしいたげられるとは。


そんな心の悶絶と戦いながらもカレーを完食した。

「お兄ちゃんおなか落ち着いたらお風呂どうぞ」

「ああ、ありがとう」さりげなく返事を返す……が、お風呂と言うキーワードが俺の脳内に広がる。


お風呂、もちろん高垣も入るんだろうな。

俺の入った後に高垣が入る。俺が使ったお湯に高垣がその素肌全身にまとい付くということなんだろうな。

そんなことを想像してしまうと…………。たまらんではないか。

いや待てよ――――その逆――――逆はどうなんだ。

高垣が入った後のお湯。

高垣のエキスが充填されたお湯をこの体に……。


よからぬ欲望が俺の下半身が意志と関係なく反応し始める。

俺、変態か? むっちりなのか? でもこの欲望て言うのは当たり前のことじゃねぇのか。好きな女性のことを求めると言うのは普通のことじゃねぇの。

それが妹という存在であっても。

俺は高垣の後に風呂に入りたい。


しかしそんな俺の気持ちを素直に言えるはずもないし、この流れで一緒に入ろうなどと言い出せるはずもない。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「いや……その」

俺は高垣に言いよどんだ。


そんな俺を見た高垣は、少し考えてから俺に言う。

「お兄ちゃん、もしかして……私の入った後のお湯に入りたいとか思ってる?」

ドキッと胸に何かが突き刺さった感がする。高垣鋭い!

「えっ? あ……ああ……うん」

俺は思わず正直に答えてしまった。

「そんな……お兄ちゃんのエッチ」

高垣は少し顔を赤らめ、体を隠す仕草をした。

そんな仕草もかわいいな。ドキドキが……。期待感と言うか期待してもいいのか?


「でも、お兄ちゃんなら……いいよ」


「えっ?」

「私の入ったお湯に……入っていいよ……」

おおおおおおおおおおお! よっしゃぁ――。

な、なら一緒に入るかって、さりげなく言ってみたらどうなんだ。

いやいやいやいや、それはまずいだろ。

兄妹で一緒に風呂に入るなんて聞いたことないぞ。


でもちょっと冗談交じりで、しかもこれはこの先の展開などのステップアップなど期待せずに……嫌われないことを祈るけど。


「だったら一緒に入るか」


「へっ? 一緒に」

「あははは、いや、それはまずいだろ。冗談だよ、冗談」自分から言っておいてなんだけど。

すると高垣は少しまじめな顔をして。

「なんで?  お兄ちゃんとなら私はいいよ」

いやいやいやいや、マジかよ、おい!


そんな俺のそんな俺の気持ちもお構いなしに高垣は俺を誘惑する。

「私、お兄ちゃんになら何されてもいいし」

なにされても…………!


俺は高垣の体をまじまじと見てしまう。

その体は俺の体とは明らかに違う、女性としての体つきをしている。当たり前である。


高垣の体は服の上からでもそのスタイルの良さを際立させている。

同じクラスメイトの女子たちの体つきからしても正直エロイ体をしているという下心を誘引させてくれるあの体。なんと言ってもあの胸のふくらみは最大限のポイントであると言えよう。


あれは普通のふくらみではない。

おのずと視線があの胸のふくらみに注がれるのは必然と言うか、男の性である。

そんな俺に落雷を的中させるかのように。


「お兄ちゃん……私の体……見たい?」

「えっ?  いや……」



誘惑する高垣、――――明日奈である。

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