閑話─???

「戦況は?」

「よくはない」

「戦線は明らかに押し込まれている」

「このままではいずれ……」

「やはり、か。原因は────」

「考えるまでもない。あやつ個人の戦闘力が高すぎるのだ」

「いや、正確にはあやつが使う武具の戦闘力が高すぎるのだ」

「まずはあの武具を何とかせねば」

「そうは言うが、あの武具をどうにかするのは至難だぞ?」

「確かに……あの武具を容易くどうにかできるのであれば、我らがここまで苦戦するわけがない」

「左様。あの武具があるからこそ、あやつは無敵なのだ」

「…………だが、あやつの武具を破壊するか封じるかできれば、あやつ自身を打倒することも可能となろう」

「しかり。いや、それしかあやつを打倒する方法はあるまいて」

「だが…………あの武具をどうにかすることなど可能なのか?」

「…………」

「どうなのだ?」

「黙っていては何もわからぬぞ?」

「貴公には何か考えがあるのではないか?」

「貴公らが言うように、現状ではあやつの武具をどうにかすることはできまい。だが、できないのならば、できるようにすればいいだけのことだ」

「貴公、何が言いたい?」

「一体、貴公は何を考えている?」

「確かに、現在の我が陣営にあの武具をどうにかする方法もなければ、どうにかできる者もいない」

「うむ……それは我らの誰もが痛いほど分かっておる」

「今更貴公に指摘されるまでもないことよ」

「で、あれば、だ」

「むぅ、もったいぶるでないわ」

「貴公のそういうところ、よくはないと我は思うぞ」

「しかり。我も前々からそう感じておったわ」

「ほれほれ、早う先を続けよ」

「うむ、では、我の考えを述べよう」

「そこまでもったいぶる以上は、確度の高い方法であろうな?」

「ここまで焦らしておいて、ふざけたことを言うようではただではおかぬぞ?」

「まあ、まあ、貴公ら、まずはこやつの意見を聞こうではないか」

「左様、左様。貴公らが急かせば、こやつも言うに言えまいて」

「うむ…………では、改めて。我らにはあやつの武具をどうにかする力も方法もない。ならば、どうにかできる方法を新たに得ればいい。つまり────」

「つまり?」

「つまり?」

「つまり?」

「つまり?」

「あの武具をどうにかできる力を持ったモノを召喚するのだ」




「召喚?」

「召喚だと?」

「貴公、今、召喚と言ったか?」

「気は確かか? 召喚などと……」

「うむ、貴公らが思うように、いかな我らとて召喚は決して簡単ではない。だが、現状ではそれしか方法はないと我は思っている」

「むぅ……確かに貴公の言うことは正しい。正しいが……」

「あの武具をどうにかできるだけの力を持つ者、もしくは道具か何かを召喚する? そんなことが現実に可能だとは我には思えんがな」

「貴公らの懸念ももっともだろう。だが、現状他の手段はあるかね? 反論するだけならば、我らではなくともヒトであっても容易いこと。反論するのであれば、我が意見に代わる別案を提示してくれたまえ」

「むぅ…………そう言われるとだな…………」

「で、あろう? 別案などあれば、とっくに実行しているであろうからな」

「だが、一口に召喚とは言っても、どこから何を召喚するのだ? 仮にあやつの武具を何とかできたとしても、今のあやつ以上の脅威となるようなモノを召喚してしまっては意味がない」

「そこは召喚の条件を細かく設定する」

「召喚条件を細かくすれば、それだけ召喚そのものの難易度が上がるのではないか?」

「左様。よって、召喚条件を細かくする半面、それ以外のところを甘くする。さすれば、正と負が釣り合って必要以上に難易度が上がることもあるまい」

「ふむ……召喚自体が我らを以てしても高難易度な奇跡。それを実行する以上、いろいろと準備をする必要がありそうよな」

「だが、召喚だけに注力するわけにもいくまい。なんせ我らは今、あやつとの戦争の真っ最中なのだ」

「その通り。よって、召喚の準備は我が進めよう。その間、あやつとの戦争は貴公らに任せることになる」

「…………それしかあるまいな」

「我らの中でも、召喚という奇跡を起こせるのは貴公だけだろう」

「あい分かった! あやつとの戦争は我らに任せ、貴公は召喚準備に専念するがよい」

「なに、貴公が抜ける分くらい、我らにんで何とでも補えようて」

「理解してもらい感謝する。我は召喚を必ず成功させることで、貴公らへの礼としよう」

「うむ。では、早速行動に移ろうか」

「左様。貴公はすぐに召喚準備に入るがいい」

「あいや、待たれよ。その前に少々相談したいことがある」

「相談したいこと…………とな?」

「まだ何かあるのか?」

「先程も言ったように、召喚条件を細かくし、その他を緩くするわけだが……どこをどの程度細かくし、緩くするかを皆で相談して決めたい」

「ふむ……確かにそれは必要よな」

「で、あるな。貴公を信じぬわけではないが、貴公一人に決めさせるのもやや心配よな」

「ここは我らにんでとくと相談して決めようではないか!」

「しかり」

「しかり」

「しかり」

「感謝する。では、早速相談に入ろう」







~~~ 作者より ~~~


 この閑話はおまけのようなもの。

 でも、物語完結に向けて結構重要だったりもします。ぶっちゃけ伏線だ!(笑)


 そして、これにて今章は終了。

 いつものように少し休憩を挟みまして、次章へと入る予定です。

 次回は8月14日(月)に更新します。

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