お互いを知ること
クラスにいるリコ。
とにかく正義感が強い。
きょうだいにも優しい。
そんなリコが最近気になって仕方ない。
あの子は、いつも弁当を持ってくる。
もしかして、自分で作ってるのかもしれな
い。
オレは、母親に持たされてるだけだ。
しかも、弁当箱すら帰ったらすぐに出さな
いなんて事もしょっちゅうだ。
同い年なのに頑張りが全く違う…
オレ、情けねぇな…
それからは、リコに釣り合うような男にな
りたくてとりあえず勉強を頑張った。
何かに打ち込めるってのは、案外いいもん
だ。
少しずつ料理も覚えた。
しばらくして、リコが学校を休んだ。
リコと仲良しの女子に聞いてみた。
どうやら風邪をひいたらしい。
お見舞いに行ってみようかな…
でも、迷惑かな…
しばらく迷ってやっぱり行ってみる事にし
た。
飲み物とか、ゼリーを持って。
ピンポン。
しばらくしてリコが出てきた。
ふらふらじゃんか⁈
今にも倒れそうなリコ。
どうしたんだよ!
「あ…やっと弟達落ち着いてさ…」
クタッ。
「おい!リコ」
すごい熱じゃねーか。
とりあえずリコを布団に寝かせて冷やし枕。
弟も妹も風邪か。
自分を後回しにするなんてリコらしいな。
三人を起こさないようにたまごがゆを作っ
た。
よかった。少し料理覚えておいて。
ちょうどおかゆが出来上がった頃リコが目
を覚ました。
「えっ…瀬口君?」
「あっ、ごめん。勝手に上がり込んで台所ま
で借りて。」
「ううん…」
「あ、飲み物買ってきたんだ。あと、ヨーグ
ルトとゼリーどっちがいい?」
シーン…
ん?
リコを見ると静かに肩を震わせて泣いてい
た。
だからオレは、リコの細いからだを抱き寄
せて言った。
「何でも一人でがんばんなよ。辛い時は頼れ
よ」って。
小さくうなずくリコ。
おかゆを食べてまた一眠りさせた。
少ししたら、妹が目を覚ました。
起きたらオレがいてびっくりしてたけど、
リコが起きないようににっこりしてシーっ
てしたら、妹も真似してシーってした。
かわいいな。
リコ同様妹にもおかゆとゼリーと飲み物を
摂らせた。
で、また眠る妹。
すると弟も起きた。
また同じように食べさせた。
ふぅ。
看護って意外と大変だ。
リコよく頑張ってんなー。
みんなの茶碗を洗ってそっと家に帰った。
で、次の日復活したリコが登校してきた。
なんかお礼がしたいから考えといてって言
われたんだけど、特に欲しいもんなんてな
いんだよなー。
オレが欲しいのは…
よし!決めた。
「リコ。お礼なんだけどさ日曜ひま?弟と妹
も」
「え?二人も?」
「うん。だってリコの事だからきっと日曜日
は、お父さん休ませてあげるために二人の
面倒みてんだろ?」
「あ、うん。よくわかったね」
それくらいリコをみてたらわかる。
「おれさ、今料理覚えててさ味の感想三人に
聞きたいんだ。だから、ピクニック行こう。
昼は、オレが持っていく。だらかデートし
よ」
「え?それがお礼?」
「うん。最高のお礼」
リコは、ちょっと納得してない顔だった。
だって、お礼がピクニックなんだもんな。
でも、オレが欲しいもの。
それは、リコの笑顔だから。
ピクニックの日、たっくさんリコからお礼
をもらうんだ。
で、ピクニック当日。
いい天気。
「おにーちゃーん」
すっかりオレに懐いてくれた双子ちゃん。
二人が嬉しそうにするとリコも嬉しそう。
四人でシートに座ってお昼ご飯。
「人に作ってもらうご飯久しぶりだな」
しみじみ味わうリコ。
二人の双子は、とにかく何を食べても美味
しそう。
人に料理を提供して美味しいって言われる
の意外と嬉しいな。
リコ達と一緒にいるといろんな勉強になる
な。
ありがとう。リコ。
沢山のお礼をもらった。
でも、リコはピクニックが何でお礼なのか
いまいちふに落ちない感じだった。
むしろ、負担じゃない?って。
だから、
「リコの笑顔がオレのお礼。なーんて」
って言った。
そしたら、
「なんだそれ」
って言いながらも恥ずかしそうに笑った。
それから、よくオレたちはピクニックに行
ったり放課後買い物に行ったりして過ごし
た。
はじめは、強いと思ってたリコ。
でも、意外とよく笑うしよく泣く普通の女
の子だった。
で、数年後結婚したんだけどリコは相変わ
らず頑張り屋さんだ。
だから、少しでもリコが休めるように休み
の日は、オレがご飯作ったり掃除も一緒に
やった。
負担を減らして笑顔を増やす‼︎
雑誌を読みながらコーヒーを飲むリコを見
ると安心する。
リコ今まで頑張ってきたもんな。
そんなリコにお菓子を出した。
「あーっ、これ好きなやつ。ありがとっ」
こんなオレにかわいい笑顔をくれた。
マジでかわいいんですけど。
思わずリコを抱きしめてしまった。
リコ、ずっとオレのそばで笑っててね。
大切にするから。
おしまい
クラスのあの子はモテるオレなんて眼中になかった 猫の集会 @2066-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます