クラスのあの子はモテるオレなんて眼中になかった
猫の集会
このオレを知らないのか⁉︎
美野梨子 みの りこ。
高校二年生。
腰くらいまである長い黒髪。
それを上の方で高く縛っている。
あの子は、合気道をやっていて男の敵扱い
されている。
今日も朝から悪い奴らを退治していた。
プッ。
面白い子。
「キャー先輩今笑ったぁ。カッコイイ」
近くにいた一年生。
自分で言うのもなんだけど、オレはとにか
くモテる。
名前は、瀬口健太 せぐち けんた。
ついこの間まで学年一美人と付き合ってた
んだけど、なんかお互い見た目だけに惹か
れて付き合って駄目になってしまったとこ
ろだ。
だから、当分恋愛はいいかなぁ。
なんなら、あの強いリコって子見てた方が
面白いかも。
さっそうと歩くリコ。
途中女子同士の喧嘩が勃発していた。
リコって子どうするかな?
するとまさかの割って入ったぞ。
しかも…
スゲー‼︎
さっきまで揉めてた女子たちがリコのおか
げで笑い出したじゃねーか。
さすがだ。
だから、思わずすれ違いざまに
「お前すげー奴だな」
って言った。
そしたら、
「だれだよ、あいつ」
って聞こえた。
このモテ男を知らないなんてなんて無謀な
奴め。
ま、いいだろう。
で、放課後。
さてと、帰るかー。
ピコン
ん?メールか。
牛乳買ってこい⁈
かーちゃん自分で行けよぉ〜。
ま、仕方ない。
どうせ通り道だし。
ウィーン
「いらっしゃいませ」
夕方のスーパーも意外と混んでるんだな…
「ねー、お菓子買ってよー。りこねー」
お、小さい子がお菓子の催促していやがる
懐かしいなー。
って、リコじゃん。
しかも、幼い子二人も連れて。
オレは、牛乳だけの買い物だったからすぐ
に終わった。
すると、また騒がしい子供達とリコが店か
ら出てきた。
買い物袋二つもぶら下げてきょうだいの世
話まで。
かーちゃんか!
「荷物もつよ」
「え⁉︎何?」
「お姉ちゃん?ドロボー?」
「あ、違う…よ。同じ制服だし…。」
「そっ。ねーちゃんのお友達!よろしく!」
幼い男の子と女の子に挨拶をした。
すると、オドオドしながらも小さい声でよ
ろしくって返事が返ってきた。
「うん。よろしく。二人は双子?」
「そうだけど、あなたなんで…?」
「あ、オレもおつかい。ホラ」
牛乳を持ち上げて見せた。
プッ。
笑うリコ。
「何で笑うんだよ」
「あ、ごめん。なんかかわいいなって思っ
て」
え…かわいいのそっちだろ‼︎
なんて思ってたら双子の女の子の方がぐず
り出した。
歩けない。疲れたって。
「なら、おんぶしてやるよ」
「やったー!お兄ちゃん大好き」
子供って単純だな。
リコと顔を見合わせて笑った。
しばらく歩くと
「ありがとう。うちここのアパートなの」
って指差すリコ。
でも、おんぶしてた子ねちゃってるから部
屋まで連れて行く事にした。
「ただいま!お母さん」
いちもくさんに男の子が向かったさきは…
お母さんの遺影…?
思わず立ちすくんでるとリコが、
「母親は、この子達産んですぐ亡くなったの。
だから、私がお母さんの代わり。なんか初
対面でいきなりこんな話ごめんね」
ってかなしげに笑った。
そんな事があったのか…
ってか、初対面ってなんだよ。
同じクラスだろ!
ま、今はそんな事どうでもいいか。
寝ている子をそっと布団に寝かせた。
「今日は、ありがとう。助かった。お茶でも
のんでって」
「あ、いいや。牛乳腐っちゃうからさ」
そう言ってリコと男の子に手を振ってアパ
ートを後にした。
いつも強そうって思ってたけど、そう言う
事だったのか。
なんか、力になりたいな…
次の日教室に行くと入り口のドアでリコと
すれ違った。
「あ、よかった。今お礼を言いにさがしに行
こうと思って…でもクラス聞いてないって
思ってたところなんだ。同じクラスだった
んだ…昨日は、ありがとう」
やっぱり全くオレの事眼中になかったのか。
ま、これで覚えてもらえてよかった。
「うん。いいよ。オレよく買い物頼まれるか
ら、またそん時!ってか、今日雨じゃん。
迎えと買い物大変じゃない?」
すると、
「今日は、お父さんがお迎えなんだ。私は、
合気道の日なの。いっぱい強くなって二人
を守らなくちゃ。」
にっこり笑いながら拳を握るリコ。
リコ…
続く。
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