第18話 新人類の性的志向 注・~いちゃこらパート~
「滅びかぁ。考えた事もなかったな」
トオルから告白された後、千早は意を決して自分達新人類は半陰陽なのだと話した。
確たる性を持たず、恋愛感が乏しく性欲もない。そのせいか男性部分はほぼ機能せず、旧人類であるトオルとは違う生態なのだと説明する。
「両性具有なのは聞いてたが。ほーん。性欲皆無ね。試してみるか?♪」
「は?」
トオルは一晩かけて、千早の説明を完膚無きまで打ち壊した。
毛布でミノムシのようにくるまり出てこない千早を愛しそうに見つめ、トオルは満足げである。
「何か分かったわ。性欲がないんじゃなくて、動物的な本能がないんだな新人類は」
新たな発見であった。
結論から言えば、千早は十分に反応した。男性機能も女性機能も、トオルの眼が眩むほどの艶かしさで魅了してくれた。
千早本人も信じられないのだろう。初めての未知の感覚に乱れ、溺れ、トオルが満足するまでの長い時間、呼吸すらままならない状態で容易く何度も高みに追い詰められた。
初めての歓喜に眼を潤ませ、本能的な怯えを見せる千早が愛おしく、彼女の全身をこれでもかとくまなく蹂躙しまくり、トオルは御満悦である。
はしたなく醜態をさらしたと思い込んでいる千早はミノムシ状態。可愛い恋人の姿に、トオルの顔が雪崩れのごとく崩れた。
「たぶんだけど、新人類は肉体支配から脱した精神支配の生き物なんだと思うよ」
トオルの言葉にミノムシがピクリと動く。
「何をしても生態的に機能しないのは、気持ちが無いからなんじゃないかな? 逆を言えば気持ちさえあれば肉体の交わりもなく達する事が出来るのかもよ? 試してみ。俺の事、考えてよ」
途端、大きくミノムシが揺れた。
トオルは満面の笑みで破顔する。
可愛い過ぎて文字通り食べてしまいたい。
普段が厳格な長殿なので、そのギャップときたら堪らない。
そんな一夜を過ごし、トオルと千早が肉体関係に問題がなく済んだ事実は、新人類達に驚愕で迎えられた。
そしてトオルが、新人類は精神支配の生き物で、気持ちが肉体を支配しており、いくら身体に生理的欲望を起こさせようとしても、心が伴わねば無意味なのではないかと説明した。
「誰かを思って勝手に身体が熱くなったり、高みに向かって身体を極まらせた事はないか?」
トオルの言葉に不思議そうな顔をする新人類達だが、その中に数人、眼を逸らす者や顔に朱を走らせる者がいた。
なるほどね。千早と同じく、はしたないとかみっともないとか、そんな事思って黙ってた感じか。
子を為せぬ新人類らにとって、恋愛など無意味という意識が根強くあるのだろう。動物的な身体の反応に羞恥心も極まれりと言ったところか。
そうなれば更に厄介だな。心の作用で身体が満足してしまい、恥ずべき事なのだという意識が、彼等に強固な鎧を作ってしまう。
たぶん周知されなかっただけで、今までの新人類の中にも同じような案件があったのだと思う。
ただ気持ちのみで身体を満足出来てしまうため、誰もがこの事実を秘匿してきたのだろう。
ガイア品質の慎ましやかな次代達なれば、十分に有り得る事だった。
恋愛楽しんだって良いのにな。
こういった問題は繊細だ。下手に手を出すと取り返しのつかない事になりかねない。
好きな人がいるらしい数人をニヨニヨと眺め、トオルは成り行きに任せる事にした。
そして話は冒頭に戻る。
「新人類らの卵子と精子は受精しませんからね。旧人類の卵子が尽きた今、次代は生まれません」
「うーむ」
難しげな顔のトオルに、千早はおずおずと話しかけた。
「あの.... 本当に良かったのですか?」
「何が?」
「私を妻にして.... 子も為せないし、....男でもあるし」
項垂れる千早に軽く眼を見張り、トオルは優しく眼をすがめる。
「俺が選んだんだ、自信を持て」
「でも...」
「俺の時代にも両性具有者はいたよ? それに同性愛者や、ニッチな嗜好の奴等も。異性同士でも子供が出来ない夫婦とか。人類学的には問題かもしれんが、個人的には問題なし♪」
もじもじと髪を掻き上げ、千早は不安そうに、やや上目遣いでトオルを見つめる。
.........何この可愛い生き物。誘ってんの?
そんな千早を引き寄せ腕の中におさめると、トオルは彼女の足の付け根に指を滑らす。
ビクッと身体を震わせ、千早の細い指がトオルの腕に食い込んだ。一々反応が可愛いらしい。
内股からそそり立つ控えめな陽根を包み込むと、千早の薄い唇から吐息が漏れた。
「俺を思うだけでこんなんなっちゃうモノが嫌な訳ないっしょ♪ むしろオマケがついててお得な感じ。俺の彼女最高♪」
昨日も怯え逃げ腰な千早を、前からも後ろからも蹂躙した時、トオルはこの陽根を掴んでいた。
そうすると千早は硬直して動けなくなり、思うがままに貪れたからだ。
ぶっちゃけ以前のトオルは女だろうが男だろうが性欲処理出来るならどうでも良かった。そこそこに見目が良く暖かい孔があればそれで十分。
性別など関係なく、陽根を愛でるのにも忌避感はない。
あるべきモノがあるべき反応をするだけ。自分の性欲を満たす事が目的なトオルはリベラルを突き抜けた思考の持ち主である。
トオル自身が整った容貌をしていたため、男女問わずそういった相手に不自由はしなかったが、生い立ちが複雑なせいでかなりひねくれており、情を寄せるような事はなく、爛れた十代を送って来た。
そのトオルが初めて心を寄せた人間。それが千早である。
恋愛初心者なのはトオルも同じ。欲情の絡まるこなれた駆け引きは御手の物だが、こういう素朴で純粋な付き合いには二の足を踏む。
結果、彼は肉体言語で千早に想いを伝え続けた。
百戦錬磨で爛れた性生活を過ごしてきたトオルの肉体言語は凄まじく、彼の想いは十二分に千早へ伝わった。
.........御愁傷様な千早である。
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