第一話「赤い傘」~漫画原稿12of18「白黒世界」~

12ページ目上のコマ


白塗りのタウンカーの車のライトが、呆然と立ち尽くすモノ子を正面から照らしたとき、伸びていた影は完全に姿を消した。

前を向いたときに持っていた赤い傘は車の方を向いている。


「あっ」


とモノ子はするりと傘を手放した。せっかく拾った赤い傘が車にぶつかってしまっては、女の子は悲しむだろうと、刹那のときに彼女が思い至った行動は、赤い傘を手から放すことだった。


白い車の照らすヘッドライトは、まるで雨を消し去ったように暗い影も雨の粒もすべてを白くした、モノ子の顔も白黒に見えるほどに…


※モノ子が立体的に見えるように、コマ割りの白線の上にレイヤーを置く

※ライトアップされているため雨を除去して白い空白を強調、影も意図的に除去して白黒世界の感覚を与える


12ページ目下のコマ

白い車がモノ子の腹部に衝突する、それを否定するかのように、赤い傘はふわっと宙に舞っていく、どうか逃げてとモノ子は祈りを込めるように、手からすり抜けた赤い傘を見送る。


傘に隠れてモノ子の顔も見えない、白い車の周辺で横断歩道に少し入り込んで、叫び声を上げるモノ江と、その隣でマドツキもいる。


どうやっても助けれない、ならばせめて命を賭けて守った傘だけでも、何事もなかったかのように宙に飛んでいくことが、ただ唯一の救いだったのだろうか?


※モノ子の顔が赤い傘に隠れて見えない、どんな表情で赤い傘を手放したのか想像に任せたい、その白い外装のリンカーン・タウンカーの運転手は車のライトが前面にありスピードが速すぎて見えない、周辺には二人の女の子の足先があり、駆け寄って助けようとしている悲壮感が分かるようにしたい。1990年代生産の中国産アメ車、運転席は左。麻薬を取引するため神戸港の上海の裏ルートから入手したアメ車。

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