骸に咲いた黒桜

@sy1222

第1章 

酒と煙草と自慰。これは武陵な男を慰める三銃士である。狭い四畳半のバスティーユに閉じ込められたテディベアの体は黄ばみ、腐敗が進んでいる。

沢山の曖昧草が積み重なりそれはやがて山脈を連なる。その麓には腹部が凹み漏れ出した黄金色が湖を作り小蝿の憩いの場を作り出した。

地面には無造作に丸めらたティッシュが、半分開いた屑籠を探して今宵も彷徨っている。

カーテンの隙間から若干漏れている朝焼けの光を見ながら、「はぁ。」と深いため息をついた。腕時計に目をやると朝の6時を少し超えている。着慣れないスーツに身を包み、つま先が少し禿げたローファーを乱暴に履いた看守は牢獄を後にした。


この都市は一日のうちに二度シトリンより輝く。

一度は朝日が海を反射した時。もう一度は夜にあの山を登った時。

瀬戸内海と春夏秋冬多様な姿を見せる六甲山に囲まれるようにして作られたこの都市は、古くから日本とアジア周辺諸国、ヨーロッパなどの国々とのマザーポートとなり高度経済成長期の発展を支えた。

和と洋を融合させてできた独自の都市景観は、

毎年発表される魅力都市百選の上位常連たる理由であろう。

まだ冬が抜けきれない三月中旬の朝。残雪を踏み分けながら歩く男の顔は引き締まっていた。

公園を抜けた先にあるコンビニに寄り、ホットコーヒーとタバコを二つ買う。













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