第11話 橘じゃなくて夢花と呼んでください
「楽しかったね」
「そうね。透くん面白い人だった」
透と解散して、電車に乗って最寄りの
一緒に昼ご飯を食べて分かったことがある。透は良いやつってことだ。
俺だけに話を振るのではなく、たまにも話を振ることで片方がつまらなく感じることをなくしていた。
それに話のバリエーションが多い。色んな話題があって話してて楽しかった。特にこの地域の都市伝説とかは面白かった。
「お兄ちゃん青春できたね」
「じゃああれで死ぬ運命変わるってこと?」
「あれだけじゃ全然変わらない。もっと青春しなさい」
青春できたのは良かった。たまが言うにはもっと青春する必要があるらしいけど。
あっ、そういえば冷蔵庫の中身全然なかったな。スーパーあるし買い物するか。たまもいるからまとめて買っても家まで運べそうだし。
「よしっ、たま食料品買いに行くよ」
「やだ」
「やだって食べるものなくなるぞ。冷蔵庫何もないんだから」
「お兄ちゃんだけが買ってくればいいでしょ」
「そこをなんとか。たまが居ればまとめて買えるから」
「それって荷物持ちしろってことだよね。重いのいやだよ」
「鎌の方が重そうだけど」
「あれとこれは話が違うの。私は行かないから」
「あ!ちょっと!」
曲がり角まで走ったたまを追いかけたが、どこにもいなかった。瞬間移動しかたのようにいなくなっていた。
死神パワーか……
「……また死神パワーでも使ったのか。ほんと便利そう。はぁぁ、俺だけで買うのか……」
「あら」
意気消沈してると聞いたことある声がした。
「昨日ぶりですね。夏輝さん」
「橘さん久しぶり」
「橘じゃなくて夢花と呼んでください」
「えっ」
「呼んでください」
「夢花……さん」
「よろしい。して、夏輝さんは何をしていたのですか?」
橘……いや、夢花さんがいた。
今日は迷子になっている様子はなく、落ち着いている感じだった。初めて会った時が泣いてる夢花さんだったからなんか新鮮。
落ち着いているとお嬢様の雰囲気あるな。なんか上品な感じがする。服もフリフリしててかわいいし。
「その、入学式の帰りに食料品の買い物しようとしたら妹に逃げられたところ」
「夏輝さん妹さんがいらっしゃったんですね」
「あ、うん。言ってなかったっけ。白倉たまっていうんだよ」
「たまさん……猫さんみたいですね」
それは俺も思ってた。
何を考えてたまっていう名前にしたんだろう。今度機会があってら聞いてみようと。
「立ち話をあれですし、お買い物でもしながらお話をしましょう」
「買い物?夢花さん何か欲しいのあるの?」
「
「あるけど俺1人でするから大丈夫だよ」
「いえ、
なんか力説された。
ここまで言われると断りづらいな。
「じゃあよろしく」
「はいっ!」
そう言った夢花は笑顔だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます